無愛想な彼女
「はい、喜んでー!」
元気な声が響き渡る
私はもう少し静かにしたいのにここはやけに騒がしい
「今日はくじ引きやってるんですよ」
変わったイベントもやってるんだな
「おめでとうございます!500円分になります!」
そこそこの景品が貰えるらしい
お金のかからない場所なのにどうやって財源を確保してるのだろう
「783番ですね あちらになります」
あぁ、スタッフに聞けばいいのか
私は自分の不器用さを再認識した
出来れば優しそうな人がいい
「あのー、すみません」
反応がない、声が小さいのかもう一度話しかけてみた
「……はい」
この場に似つかないほどに暗い
髪の毛を薄いブラウンに染め、一見穏やかそうに見える彼女からは、喋りかけるなというオーラが出ていた
「あの、これ探してるんですけど」
「………あの機械使って」
それだけ言うと彼女は去っていった
不親切だと思いつつ、私は慣れない手つきでそれを操作する
「796番…」
私はついにそれを見つけることが出来た
目当てのものをカウンターへ持っていくと、ちょうど先程の彼女が対応するようになった
「………渋いね」
彼女は小言を言うと、くじ引きの箱を出してくる
私は少しいらだちながらもその箱に手を入れ、引いた青色の紙を彼女に見せる
驚いた
無愛想な彼女の表情が、満面の笑みに変わった。そんなにも私を祝ってくれるのか。
「お兄さん、好きな数字なに?」
「…1かな?」
「じゃあこれ運んどいて」