表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/94

落ち込んでなんかない

 次にドリーネは木の器に手をかざした。

『ウォータ』

 てのひらに溢れた水が器に溜まっていく。透明だ。見た目は完全に普通の水である。よし、と気合を入れてベルも手をかざした。

『ウォータ!』

 少しずつではあるが確かに水が出ている!

「できました!」

 ドリーネも安心した様子で頷いた。

「よろしい。では次です」

 目の前に置かれたのは小さな種子だ。

『グロウ』

 すると今度は種子からぴょこんと芽が出た。水や火が出せる時点で今更だが魔力で芽が出るなんて、本当にこの世界はどうなっているのだろう。水、光、最適な温度はどうした。

その後も枯れ葉を土に変える魔法や微風を起こす魔法を行ったが、その結果は全てダメだった。水しか出せない現状に、ドリーネは渋い顔をして何か考え込んでいる。きっとこれは想定外だったのだろう。しかし属性はあと二つあるはずだが......。

「あの先生、光と闇属性の基礎はないのですか?」

 尋ねたところ、返ってきたのは意外な答えだった。

「ええ。その二つは特殊な扱いになりますので、得意属性でない者は欠片も行使することはできません。それら以外の属性なら、個人差はありますが、誰でも使うことができるはずなのです。それがなぜここまで偏るのか......。」

 あれ?でも光を出す初級魔法があったはずだ。それは光属性ではないのか?

 そう思って尋ねると、彼女はああ、と手を打った。

「良い質問です。それは初級魔法のライトですね。よく間違われるのですが、光属性の力は癒しであり、無属性のライトとは関わりがありません。今回は除くつもりだったのですが、せっかくなのでやってみましょう」


『ライト』

 ほわっと水色の光球が現れる。そこでベルはふと疑問に思った。

 リーナは黄色だったけれど先生は水色なんだ。

「先生、光の色は人によって違うのですか?」

「イメージによって色を変えることは可能ですよ」

 水色から黄、緑、茶、赤と次々色を変えていく。

「ですが特にイメージせずに行使した場合、自身の得意属性の色になるのです」

「つまり先生は水属性ってことですね!」

「その通りです」

 羨ましい。生まれつきだからしょうがないとはいえ、自分だけ外れくじを引いたような気分だ。しかも魔法使いとして最初からつまずいている。先行きに不安しかない。

「それでは自身の属性の色で光を出してみてください」

「はい!」

「そんなに気負わなくても大丈夫ですよ」

 いや、前に使って盛大に失敗した経験がある以上、慎重にならざるをえない。ふー、と息を吐き、水晶の中に見えた色をイメージする。黒い光って何?それは光なのか?

『ライト!』

 瞬間、視界が黒に染まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ