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ハワード伯が教えてくれた
彼女は伯たちの妹でラファエル・ハワード16歳
伯らとは8歳はなれているが
両ハワード伯の結婚を後押ししたのがラファエルであり
彼女には、誰も逆らえないらしい……
そんな話が終わったころ
美しい声が高らかに
「お兄様、5人目倒したわ!!ぜひ、アルファード様との対戦の許可をお願いします」
と、まさかの自分を指名してきた
ハワード伯らは、予想をしていたようだが
いちおう確認をとってくれた
「どうします?アルファード様?
お断りしていただいてもかまいませんし、刃を削っている刀をつかっているので
妹を打倒していただいてもかまいませんが………」
先ほどまでの戦いをみても
練習相手としては、全く問題もない
刃を削ってあるのであれが、お互い多少のケガがあったとしても命を落とすこともない
実際に、先ほどまでの訓練でも
ラファエルは全てを防御できているわけでなく、数か所の痣は出来ているだろう
彼女の剣舞に魅せられ、戦ってみたいという気が身体の奥の方からムクムクと染み出してくる
「そうですね。伯の許可がおりるのであれば
ただ、私の準備もありますので、出来れば軽食を取り午後からというのはいかがでしょうか?」
準備というより、彼女は5戦を戦ったあとである
休憩をいれて、少しでも万全に近い状態の彼女と戦ってみたかった
伯は、こちらの気持ちを見透かしているようにニヤっと笑いながら
「ラフィ、許可はするが、午後からにしよう」と大きな声で伝えた
成り行きを見守っていた闘技場の中の騎士たちが
「うぉー」とどよめきが上がった
辺境伯の跡取り息子として、幼いころから鍛錬を積んできた
単一の武力であれば、ハワード伯にも劣るとは思っていない
2人合わせればわかならいが、一人ずつでは負けるつもりはない
美しい剣ではあるが、女性で年下のラファエルには負けるはずがないだろう
ただ、相手は辺境伯の妹
大きなケガなどをさせるわけにはいかない
しかし、手を抜いたら、すぐに見透かされそうだ
さて、勢いで受けてしまったのは良いが、どう相手をして差し上げればよいか??
そんな事を考えながら、ハワード伯らと闘技場を後にする
数時間後、自分の考えの甘さを後悔する事は、今はまだ知らない