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「うつくしい……」
初めて、人が戦っている姿を観て美しいと感じた
ここは、隣国トルスタイン王国の辺境伯の闘技場
近年、トルスタインと我がベルサード王国に国境を面したグランツ王国を賑わした大窃盗団がグランツ王国を追われ
トルスタインとベルサードの国境付近にアジトを移した。と噂が出たのが2か月前
それから、両国をまたぎ窃盗、強盗を繰り返し始めた
友好国である2国の王から、それぞれの辺境伯である
父、クリストン伯とトルスタインのハワード伯に討伐の命がくだされた
そして、4日前アジトを急襲
窃盗団をとらえ、アジトにあった強奪品などを回収できたのである
窃盗団の処分、強奪品の分配などは、トルスタイン王家が一度回収して分配にあたる
それは、国力を考えると致し方ないはずであり、両国が共闘するにあたって先に取り決めがされていたことである
ただ、ベルサード王家としては、面白くない
全てを確認したわけではないが、どうやらグランツ王国の国宝に匹敵するものまで含まれていたらしい
それを伝え聞いた、国から派遣されていた文官が待ったをかけ
ベルサード王国の権利を主張し始めた
そんなこともあり
討伐後は、すぐに帰国する予定だった陣頭指揮を執っていたクリストン伯の息子
アルファード子爵がハワード伯の館に文官3人と少数の騎士たちが居残って
強奪品の目録作りを監視?することになった
ハワード伯は無礼な申し出を快諾してくれ
館で客人扱いで滞在を許してくれた
実際、目録作りはトルスタイン側の文官10名とベルサードの3名で行われ
全く暇を持て余すことになるのだが………
そんなアルファードと騎士たちをハワード伯が闘技場に誘ってくれ
その美しい剣士を見ることになったのだ
正確に言うとハワード伯は2人いる
辺境伯である ミカエル・ハワード
伯爵である ガブリエル・ハワード
一卵性の双子である。金髪、群青の目をした美丈夫。天使の名前にふさわしい二人は全く見分けがつかない
それを伝えると、二人は笑った
家族以外でわかるのは、長男ミカエルの嫁である元公爵令嬢のフィラーニ様だけらしい
フィラーニ様は、幼馴染であり、身体が弱かったので療養を兼ねて隣の公爵領で過ごし
度々、ハワード邸に滞在して一緒の時間を過ごしていたから家族に近いのかもしれない
ガブリエル伯の王都に暮らす嫁でも見分けがつかない事が度々あるらしい
内緒だよ?と笑いながら教えてくれた
どうやら、わざと一緒にいて思考、行動をシンクロさせる事にしているようだ
それを、今回の実戦で痛感した
最上級の指揮官であり、武将が同じ時に2か所にいる。
何の合図も必要なく進行、撤退を瞬時に行い、2人がまるで同じ人間のように指揮している
味方にすれば、これほど力強いものはないが
敵にすると脅威以外のなにものでもない
今が平和な時代で本当に感謝をする
『双頭の鷲』と呼ばれているようだが、2頭の獅子のようだと思った
そんなハワード伯が案内してくれた闘技場で美しい騎士を見つけた
伯たちによく似た美しい顔立ちの女騎士が華麗に舞っていたのだ
最初は気が付かなかった
1対1で行われている訓練している騎士たちが 10組
その中の1人だった。目に入ったあとは、視線を外すことが出来なくなっていた
1人に勝ち、次の1人と戦い始めようとしたしたとき
ハワード伯が彼女の声をかけた
「ラフィー!!何人目だ??」
もう一人のハワード伯が教えてくれる
「5人挑戦者を倒すと、自分で指名して対戦ができるんだよ」と
そんな声もかすむくらい、凛と美しい声が告げる
「次で4人目」
そう答え、美しい騎士は相手に向かい始めた