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第6幕 こもった気持ち

我が家の猫が狩りを覚えてネズミを狩りまくっています。

農家の猫としては非常に優秀なのですが、たまに生きたまま獲物持ってきて…ということがあるので、せめて家の外で仕留めてほしいものです。

リアル野生のピ○チュウとか誰も得しませんから…

自分の風邪はそこまで重くなく、1週間もすれば治りそうだった。

とはいえ、つらいし他の生徒にうつさないようにしなきゃいけないから、しばらく寮の私室でお休みである。


なお、あの後先生経由で自分の手に渡った、黄瀬からのお見舞いの品だが。


「何で、大判焼きなんだろうな…」


確かに、この世界だと定番のおやつなんだけども。

しかもこれ、袋や包装紙から察するに、そこそこいいやつだよな。自分大して黄瀬と仲良くないし、桃谷としても交流はないし、こんなにいいもの貰うようなことした覚え、無いんだけど…

あ、そうだ。こういう時こそ、「認識」使えばいいんだ。


認識の異能は、サイコメトリー。つまり、物体に宿った思念を読み取る力。

最近使ってなかったから、ちゃんと使えるかどうか、不安だけど。


額に袋ごと押し当てて、意識を集中させる。




『桃谷先輩、風邪ひいちゃったんだ』


『やっぱり、心労、たまってるんだろうな…。風邪が流行ってるとは聞いてたけど、ただでさえ病弱なのに、大丈夫かな…』


『…お見舞い、何か持っていった方がいい、かな』


『体に良さそうなもの…喉が痛いかもしれないし、しょっぱいものはやめておいた方がいいよね』


『じゃあ、最近できた、あのお店の大判焼きにしようかな。あそこ結構おいしいし、先輩確か、甘い物好きだったし』





…黄瀬の純粋な善意と気遣いのたまもの、ということはよくわかった。

別に、特別仲がいいとか、そう言うわけじゃないんだから、そんなに気を使う必要無かったのに。本当に黄瀬は優しい子だ。あんまり優しすぎて、少し心配になってしまうほど。まさか、ちょっと前に何となく言っただけの、味の好みまで覚えているとは思わなかった。

それにしても、自分、そんなに心労溜まってるように見えるのかな?普段からこんな感じのような気がするけど。野ばら様にも言われたなあ。

…もしかして、義妹のことを気にしてるのかな。だとしたらすごく申し訳ない。これのお礼に、何か疲れの取れそうなものを手配して、送ってもらおう。どのみち、お礼の品は送らなきゃいけないし。


まあ、でも。

誰かが、自分を心の底から心配してくれている、というのは…嬉しい。とても。




なお、大判焼き(袋には3つ入ってた。粒餡とこし餡と白餡だった。どれが好きかわからなくて全部買ったと思われる。自分はどれも好きだ)は、非常においしかったことをここに明記しておく。さすが気遣い上手な黄瀬の見立てだ、と感心した。

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