さいしょのきおく
16
結子の体で礼於に会った後、意識を失った。
すると、あの夜の、さくらのきおくに戻った。
私は、動かなくなったその体を、アスファルトに置いたまま…………空を見上げた。体が鉛のように重くなっていくのがわかった。
痛い?痛くない?よくわからない。
やがて、体が軽くなっていくのを感じた。
虚空の時の中で、満開の桜の花が見えた。…………いや、あれは星?
桜なのか、星なのか…………今の私にはどうでもいい事だった。
ライトアップされた夜桜は、目映い光で溢れていた。
その光が……涙で滲んで見えた。
風が撫でるように桜の木を揺らしている。なんてきらびやかなショーなんだろう。
「誰か警察!」
静かな夜の空に、花は歌うように揺れ、葉はその美しさに喝采を送るようにざわめいていた。
「巻き込まれた人がいる!先に救急車!」
その降り注ぐ拍手のようなざわめきだけが…………耳に残った。
「うわ…………こんなに破損してたんじゃ中の人も助からないんじゃない?」
夢の世界か現実の世界かわからなくなるほど、恐ろしく綺麗な桜だった。
何だか…………怖い。
否応なしに、視線を奪われる。
そうじゃない。
本当はもう、視線を外す事さえできなくなっていた。
まるであの空に、自分自身が吸い込まれてしまいそうだった。
だから…………桜は嫌い。
「リリー!」
どこからか、誰からか、名前を呼ばれた気がした。礼於?きっと礼於だ。
気がつけば、静まりかえった暗い部屋にいた。何もない、暗い部屋だった。
礼於が呼んでる!礼於、私はここだよ?呼ぶ声の方に無我夢中で手を伸ばしても…………誰も、何も…………何一つ掴めない。
「梨理!!梨理!!」
礼於、私はここだよ!ここだってば!!
礼於だけじゃない。私の声は誰にも届かなかった。
礼於…………泣いてるの?
私も…………泣いてる?
私の頬に、礼於の涙の一滴が落ちた。
ねぇ、その涙の理由を教えて。
だって、私、ずっと礼於の事を探してたの。礼於の側にいたくて、もう一度その声を聞きたくて、その背中に抱きつきたくて…………。
ねぇ、この涙の理由を教えて。
今は全部覚えてる。すべてを思い出した。
でも、あなたの名前を呼んだ私は…………
きっと、この世のどこにもいない。そんな気がした。
最後まで、お付き合いいただきありがとうございました。今回はおふざけ無しで、ネタ封印でちゃんと書いてみようと思ったのですが…………やっぱり物語を書くって難しい~!描写とか構成とか苦手な所が露呈しまくって、最後は諦め半分、投げ出し半分、なんとか最後まで書きあげた感じです。頭の中の映像を言葉にするのって本当に難しい……。力不足ですみません……。やっぱり書くだけじゃなくて読んで勉強しないといけない、そう感じました。




