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理由


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隼人のあの様子、嫉妬?あの隼人が嫉妬!?いやいや、そんな訳がない。


それは、私が服を探して部屋をうろうろしていると、隼人が訊いてきた。

「どうしたの?」

「昨日の服は?」

「…………洗濯……!洗濯機に入れちゃったよ。」


そっか…………それじゃ仕方がない。


「なーんだ。礼於に会いに行くのに昨日の服、また借りようと思ってたのに。」

「あの服は…………似合わないよ。」

「そっか…………じゃ、別の服借りて来てよ。」


私がそう言っても、隼人はいいよ。とは言ってくれなかった。だったらこのままでいい。このままでも会いに行く!!


「どこ行くの?」

私が玄関を出ようとすると、隼人に止められた。

「礼於に会いに行く。」


礼於に会いに行って確かめたかった。今、私の事をどう思っているのか…………


「ダメだよ!!」

「どうして?」

「どうしても!!…………とにかく、今日は休もう。」


そう言って、隼人は1つしかないベッドで眠った。どうしたんだろう?いつもは大きな声なんか出したりしないのに。大丈夫かな?隼人、何だか疲れてるみたいだけど…………


でも、隼人の事は心配だけど、だけど…………


礼於に逢いたい……。


「それでも行くんだ……。」

私が着替えていると、幽子がそう言って雑誌を閉じた。


結局、クローゼットの中にあった隼人の服を借りた。ボーイッシュな格好だけど、実家に行って瑠璃に服を借りればいいよね。


私が鏡で全身のチェックをしていたら、幽子がそれを見て言った。


「梨理はニブいの?良く考えてもみなよ。もし、自分の彼氏が元カノに会いに行くって言い出したらどう?」

「それは嫌!!里梨凜にまた会いたいなんて言われたらムカつくもん!!」

「それが元カノ?まぁいいや、そうでしょ?ムカつくでしょ?」


それは…………そうだけど…………


え!?でもそれって…………隼人は私の事が……好きって事!?いやいや、あり得ない!!マジ!?マジなの!?


「実はさ、隼人は彼氏じゃないんだよね。」

「え?そうなの?」

そう、私が好きなのは礼於。


「これから本当に好きな人に会いに行くの。そっちが彼氏。」

「そうなんだ。え?じゃあ、どうして彼氏の方にとりつかなかったの?」


そう言った瞬間、しまった!という顔をして、幽子はすぐに自分の口を手でふさいだ。


どうして、彼氏にとりつかなかった?…………とりつく?


とりつくって…………幽霊がする事だよね?


私は急いで隼人の部屋を出た。


嫌な予感がした。


心臓がバクバクいってる。いや、これはきっと、走ったから。走ったから!!


電車に乗って、急いでたどり着いた先は…………自分の実家。


確かめなきゃ…………違和感の理由を、ちゃんと受け止めなきゃ……。


この、残酷な現実を。


駅から実家まで歩いていると、途中でふと、花屋のガラス戸に映った自分の姿を見た。


やっぱり…………。


私は実家の目の前に着くと、深く深呼吸をして、震えた手で、インターホンを押した。


「はい。」

お母さんが出た。お母さんの声を聞いたら、涙が出そうだった。


「あの…………」

「隼人君?ちょっと待っててね。」

しばらく玄関で待っていると、お母さんがドアを開けて、中に案内してくれた。お母さん、変わらない。……そんな事ない。よく見ると白髪が目立つようになってる。


「いつも梨理に会いに来てくれてありがとうね。」

そう言って、仏壇のある部屋に通された。


自分の遺影を見るのは…………やっぱり…………


かなり衝撃的だった。


ねぇ、隼人…………


隼人の涙の理由は、これだよね?


『それは…………梨理が…………』


私が…………死んだから。だよね?


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