第32話 廃棄穴に潜む魔物ー邪なる神の監獄編
何度、瞬きをしようと目に映るのは等間隔に並んだ金属の棒と苔生した冷たい石の壁のみ。
それにも拘わらず、僅かな気配聞と聞き覚えの有る声、視界にとらえる事はできずとも誰かが其処に存在すると感じ取れた。
ある事を思い出し、皆で周囲を見渡し位置を確かめれば、痺れを切らしたのか舌打ちと溜息が聞こえてくる。女性としては低めの掠れ声、一瞬だけ間が空くと気怠げに喋り出す。
「まあ・・・目的は果たせそうだし。最後に挨拶でもしてやろうかしらね」
何もない空間に細身で長身の女性の輪郭が浮かび上がる、鱗から肌や髪、終いには服や装備に装飾とペトロナの姿がはっきりと現れた。
「ペトロナ?!」
「良かった、助けに来てくれたんだね!」
無邪気に歓喜するティトとマリルーの兄妹であったが、ペトロナは途端に眉根を寄せるとその期待をあっさりと打ち砕く。
ペトロナはゆっくりと鉄格子に近づくと、双子と私達を憐れむように眺めていたが、口元を抑えると「ぷっ」と吹き出すと体を折り肩を震わせ笑い出した。
「そんな訳ないじゃない。裏切り者をわざわざ連れて歩く訳ないでしょ?」
ペトロナは私達を一瞥すると、その意味が解らず呆然とする双子を見る内に気まずげに目を逸らす。
協力者を切り捨て単独で行動を選択したペトロナが双子を裏切り者と言うのは些か疑問だ。
それでは何の為にこの牢を覗きに来たのだろうか。
「じゃあ、わざわざ此処に何をしに来たの?」
ペトロナは一瞬だけ悩む仕草を見せると、口を開きかけた所で口を噤み、何故か私達に指を突き付けた。
「・・・あんた等でしょ?レンコルと組んでオディウムの連中から大事な物盗んだっての?」
何とも煮え切れない反応だが、手を切ったのだから話せない事情も有るのは仕方がない。
やはり大事な物を盗まれたのがレンコルでは無くオディウムと言う点に疑問が湧いた。
取り敢えず、変な誤解がある様なので弁解はしておこう。
「違うわ、これは冤罪よ」
「冤罪ねぇ・・・」
話が噛み合っていないが、正直に事実を伝えるも疑いは晴れる様子は無い。
原因になった本人は自身の失態により投獄され、自尊心をへし折られた事により今は天井を眺めたままで茫然自失と言う様子だ。
そんなテオドロに対する憤りが抑えきれず、ヒューゴーはチラチラと見ては謝罪すらしないテオドロに対し蟀谷に青筋を浮かべると指を突き付け、怪訝そうな顔のペトロナを見上げた。
「お前な、直前まで同行していただろ?原因はそこの奴だし、ともかく間が悪かったんだよ」
見下している異世界人に指をさされ自身の失態を掘り返され、テオドロは膝に埋めていた顔少しだけ上げると、無言のままヒューゴーを睨んだ。
牢の中に気まずい空気が流れるも、ペトロナには誰が原因など気に留めていない。
ペトロナは短く呻き言葉を詰まらせると、気を紛らわせる為か人差し指に引っ掛けた銀の鍵束を軽く一回転させる。
「ふっ、ふぅん、原因とか如何でも良いわ。奴等、宝を盗まれてから神経を尖らせていたんだ。そこにアンタ達が起こした騒動のおかげで巡回の兵が増えたのなんのって話だよ」
如何にも魔族と言う種族は、下に見ている者に下げる頭はないらしい。
ペトロナに関しては自覚が無いのか有るのか、それでも色々と情報を流してくれるのは有難いと思う。
こうやって話を聞く限り、森で起きた戦闘については話題にすら上がらない事が疑問だ。
寧ろ、私達が騒ぎを起こした際に告げられた、窃盗ばかりが注目視されている。
唯一、明確なのはパヴォールの話との相違。
「やはり、此処の現状支配はレンコルじゃないのね」
探る様に訊ねると、ペトロナは肩眉を吊り上げ大きな溜息をつく。
「はぁ、そうだけど?」
さも当然の事を訊ねられていると言う反応。
如何やら自信と無関係の事であれば答えて貰えるらしい、私は勢い任せに質問を続けた。
「盗まれたのって・・・もしかして領主の証?」
「何だい、知っているんじゃないか。まあ、血眼で探すとしたらそれくらいか・・・ってか何かアンタ、アタシが喋るからって調子に乗ってやしないかい?」
喋っていく内に気無しに答えていたと気付いてしまったのだろう、ペトロナは悔しそうに奥歯を噛みしめると此方を睨んできた。
「え?そんな、気のせいよ」
適当にはぐらかしたが疑惑の視線が突き刺さって痛い、これはさすがに調子に乗り過ぎてしまったかな。
ともかく今まで聞いた話を手短に整理すると・・・
現在、インウィンディアを侵略し、実効支配しているのが憎しみ。
然し、レンコルの領民と思われる何者かが潜入した事により、領主の証を盗まれ警戒網が強化中。
判明前は支配する領の名前が違う為、パヴォールの思い違いかと思ったが、証の在処を踏まえるとインウィンディアの支配権はレンコルで間違ってはいない。
ならば、レンコルは証だけ奪って何故、領地をそのままオディウムに支配させているのだろうか?
「まったくもって、狭量な女じゃのう」
コウギョクがペトロナの反応を揶揄うと、扇で口元を覆いつつ反応を楽しむようにじっとりと顔を覗き込んだ。
それでも此処で騒ぐのは危険と判断したのだろう、拳を握りしめ堪えている様だったが、ペトロナは堪え切れず小声で喚き散らした。
「あー、煩いね。此れはあくまで借りを返しただけだよ。良いかい、これ以上は話さないからね!」
そう言い切り啖呵を切ると、踵を返し私達の牢に背を向けるペトロナ。
双子はそんなペトロナを慌てて呼び止めた。
「待ってよ!ボク達も連れてってよ」
「お願い!鍵を開けてー」
同郷で同族のよしみでペトロナに脱獄の手助けを頼むティトとマリルー。
ペトロナは双子の姿を冷やかな眼差しで見ると、呆れながら頭を掻き、先程の裏切り者の意味が此方にも理解できた。
「何言ってんだい、あんた達はそこのガラクタ団ってのに身を寄せたんだろ?」
言い聞かせたつもりが、突き放されたと泣き出すティトとマリルー、それによりペトロナの苛立ちは増したらしい。
「チッ、これだか・・・らっ?!」
そう毒づくペトロナは、指に引っ掛けられ揺れている鍵束を感情任せに握り締める。
然し、鍵束を握ったはずの手には金属のあの冷たい感触はしない、開けばクシャリと形が崩れ、光る木の葉となり風に舞った。
ペトロナは愕然としたまま掌から舞い散る木の葉が薄暗い牢屋に融けるのを、ただ見つめているたが、此方を見るなり目を見開く。
それもその筈、ヒューゴーの指に鍵束が引っ掛かっており、褒められた物じゃないが鍵の奪取に成功した二人は互いの掌を合わせるように打ち付け高々と勝利宣言をしたのだから。
ヒューゴーは鍵束をペトロナに見せつけ、コウギョクはペトロナの表情から優位な立場にあると睨んだらしく大きな顔をしだした。
「さあ、脱獄に協力するが良いぞ!」
「さあ、形勢逆転だぜぇ」
鍵を此方が所持しているとはいえ、この絵面はなかなか酷い。
ペトロナの顔は見る間に怒りで染まり、鉄格子を掴むと隙間へと腕を差し入れ、挑発をするコウギョクとヒューゴーに罵声を浴びせ掛けた。
「それを早く返しな!それが無ければ此処に来た意味が無くなっちまうよ!」
焦るペトロナの怒声を聞いて周囲の牢が騒がしくなる。
気付かれなければ良いが、このままでは上階のオディウムの兵士達に気付かれてしまう。
ペトロナが牢屋の鍵を持っていたのなら、ある程度は推測できるし、此処は沈静化を図る為に交渉を試みた。
「返すけど、私達にも貴方の策に一枚噛ませてくれない?」
断られこそしなかったが当然、私達へのペトロナからの信用はガタ落ちだ。
*************
その直後の流れは酷く慌ただしかった。
地下牢には多くのインウィンディアの兵士と住人が閉じ込められており、牢に近づくにつれて異様な臭いが鼻についた。牢には草の山と薬研、小さな小袋が並べられている。
当然、ペトロナには教えて貰えなかったが、双子が訊ねて回った所によると、得意とする毒の生成を条件に生かされていたのだそうだ。しかも、オディウムの兵により兵士は神術を封じられているらしい。
看守は拘束されて床に寝かされていたが、上階からは人の気配が濃くなった気がする。
先程騒いでしまった事も有るし、何れは交代の看守も来るだろう。
近くから重い何かを引き摺る音が耳にとどく。
「何をやってんだい行くよ・・・」
声に導かれ振り向くと分厚い鉄の蓋を持ち上げ、ペトロナが床下から顔を出す。
私達が慌ててペトロナの許へ駆け寄ると、そこには地下へと続く大きな穴が開いていた。
息を飲み覗き込むと、壁には何の為か不明だが、手足を掛けるのに丁度いい深さの複数の長方形の窪みがあった。
他の兵士や住人達と共に壁面に掘られた窪みに手足をかけ慎重に降りていくと、漸く暗闇の中に床らしい感触が足に伝わる。
照明は有るかどうか不明だが、この場所が何なのか不明な為に迂闊に動けない。
そんな中、足元からは異様な臭いがする風が吹き上げている事に気付く。
耳を澄ませで元を探れば、繰り返し金属が軋む音が聞こえて来る。
上階に在る牢から僅かに差し込む光は正直に言うと頼りない、すると周囲がざわつきだし、急に光り出した紫色の魔結晶が部屋を照した。
ほぼ全員が下りた事を確認すると合図が送られ蓋が閉じられ、最後の一人が恐々と緊張の面持で慎重に下りて来た。
改めて視線を向ければ、中央には大きな金属製の風車が回っており、風は其れにより生み出されたのだと気付く。
「・・・これはいったい?」
回り続ける風車をについて訊ねた所で、ペトロナは壁を手探り見つけると無数の窪みの中から輪が付いた鎖を発見した。返答は当然ないがペトロナは眉間に皺を寄せると、壁に手を突きそれを無言のまま引っ張る。
ガタンと大きな何かが動く音がし、風車はゆっくりと速度を落としながら停止した。
「ここ、たぶんだけど・・・廃棄穴だよ」
「毒を抽出し終えた木片を粉砕するのー」
信用を失い益々、冷たくあしらわれる私達を見兼ねてか、双子のティトとマリルーがこっそりと教えてくれた。
「・・・ありがとうね」
二人は褒められると得意げな顔を私に見せる。
そんな穏やかな時は束の間、ペトロナにより停止しされた風車は何度も大勢に繰り返し踏みつけられた事により、ガコンと言う音をたて傾くと壊れて更に下層へ落ちていった。
かなりの大きさのものが落ちたと言うのに、水音はおろか地面に叩きつけられる音もなく、代わりに何者かの鳴き声が聞こえてきた。
ペトロナ達は壁に設置された魔結晶を引き抜くと中を照らし、互いに頷き合うと次々と穴に飛び込んでいく。
私も降りようとするが、腕を何かで叩かれ其方を振り向くとコウギョクが青白い顔をしていた。
汚いし臭いし下りたくないと言う思いが解りやすい。
コウギョクを元気づけ視線を外せば、テオドロが肩を震わせ穴を覗き込み、ゴクリと生唾を呑んでいた。
「テオドロ・・・・?」
思わず声を掛けると、平静を装い此方を睨み、理不尽な暴言を吐きかけられた。
「チッ、道具風情がたった一度の事で俺を馬鹿にするんじゃねぇ」
先の失態が尾を引いているようだが、テオドロの態度は相も変わらずの尊大な振る舞いだ。
今さら此処で何か言い返す気も起きない。
呆れながら受け流すと、その背中を双子が蹴っ飛ばした。
「ひぃいぎゃああああ!!」
なんて声を出すのだなど言っている場合ではない、不意を突かれて驚いたのもあるだろうけど、酷いのは
双子だ。
ともかく私も追いかけて降りようと飛び込むも、直後に二人の慌てた声が聞こえてくる。
「なっ、なんで何も聞かずに落ちるんだい?!」
「この穴の下は毒を作る時の残りカスを餌にするスライムが飼われているから気を付けてねー」
「なっ!先に言ってよっ!」
眼下には小さな溜池とその周囲を囲みながら伸びる通路、其処にはインウィンディアの住人達待ち構えており、壁に設置された灯が照らしていた。
真下はスライムが出現すると聞いて、そのまま溜池に落ちる未来に絶望しかける。
すると、水面まであと少しと言う所で、私が落ちるのを見上げる人々が一斉に口を開く。
それが何なのか知る由も無く、テラテラと光る複数の長い舌が一斉に伸び、私とテオドロの体は絡め取られると一気に陸へ引き寄せられる。
私は如何にか着地に成功、しかしテオドロは上手く態勢をとれず、舌が滑り外れるとそのまま床に顔から激突した。
「ありがとうございます、おかげで命拾いしました」
頬に汗を滴らせ笑いかけると、兵士達は無表情のまま気にしないで良いと言うだけで反応は素っ気無い。
テオドロは此方を見ながら鼻を抑え、ニヤニヤと笑いながら此方を見ていた。
気持ち悪いわねこいつ・・・
然しまた、周囲は別の意味で騒がしくなる。
コウギョクはヒューゴーに抱き着かれながら何時もの木の葉を纏い、ゆっくりと下降してきた。
「悪いなっ。お前は自分で勝手に降りたんだ、楽をするくらい許してくれよな」
そうせせら笑うヒューゴーから目を逸らし更に上を覗くと、、ティトとマリルーは両手両足を壁や天井に張り付けながらペタペタと音を鳴らし下りてきているのが見えた。
他の人が助けなかったら如何するつもりだったのだろうかと双子の行き過ぎた悪戯に腹を立てつつ、視線を泳がせるとコウギョクと目が合う。
「むむっ、その顔は自分が下りるとき何故に助けてくれなかったと言う所じゃな。すまんの、これ以上は定員の上限を越してしまうのでな」
「はいはい、さっさと下りてこっちに来なさいよ置いて行かれるよ」
呆れる私の前で二人は水面に波立たせながら優雅に下りて来た。
濁った緑色の水面に波紋は広がり、二人が通路に降り立とうとした時、薄明るく照らされる空間の中に巨大な不定形の魔物が姿を現す。
ペトロナは意を決し得物を握ると、迷わずに同族達に対し声を張り上げた。
「全員、排水口へ向かいな!奴の餌になりたくなければ全力疾走するんだよ!」
ペトロナの此の声には当然、反論する者は居なかった。
コウギョクは慌ててヒューゴーと共に通路へ着地を狙うも、その勢いでコウギョクは尻もちをつき、ヒューゴーはコウギョクから離れると軽々と着地する。
こうしている間にも、今まで多くの毒の残骸を食らってきた巨大なスライムは既に私達へと覆い被さろうと押し寄せてきていた。
腰を摩りながらよろよろと立ち上がろうとするコウギョクを横目に私は巨大スライムの先端を剣で薙ぎ払った。
水が限界まで入った皮袋を断ち切るような感覚、切りつけた事によりスライムの体液を浴びる事も一瞬だけ覚悟したが、結果は予想外な物を見てしまう。
キューと甲高い鳴き声のような音が聞こえたかと思うと、何と本体から切り離された部位、正確には数多の小さなスライムへと分裂したのだ。
「何やってんの、逃げるよ!」
天井からティトの声が聞こえ、我に返るとコウギョクを小脇に抱えて私は双子とヒューゴーと共にペトロナ達を追う。ここのスライム達は明らかに私達を餌と認識しているようだ。
背後からは巨大スライムが這いながら迫る音に加え、呑み込んだ物を消化する悪臭と何かが焼かれながら融けていく音まで聞こえる。
ともかく全員で死に物狂いで地下通路を走る、それでも諦めずに追いかけ続けるスライムは初めて見た時の倍の大きさまで成長していた。
「ええい、此れはしつこくて構わん。アメリア、例え熱かろうと髪が焦げても妾を放すでは無いぞ。津軽!富士!」
私に抱きかかえられたまま、コウギョクは扇を振り回し、使い魔のフジとツガルを呼び出す。
「ええっ?!」
驚きに声を上げるのも束の間、耳元で扇がピシャリと音をたてて開く音が響く。
ぽつぽつと火が灯る音と共に聞き馴染の有る二匹の声がした。
「承知ぃ!!」
周囲が熱を持つ青白い光に包まれ、スライムの断末魔が狭い水路に木霊した。
「流石、コウギョクね!」
「ふふふ・・なのじゃ」
すっかり鼻高々と言った感じのコウギョクの返事が返ってくる。
それでも、私も勝利を確信したわけでは無い。
追手には痛恨の一撃をお見舞いしたが、私達の逃走する足は止まらなかった。
「くっそ!なんて大きな声だ!ってかやばいな此の臭・・・い?」
ヒューゴーは顔を顰めつつ不満を零すと、その横から飛んでくるのは緑色の不定形の魔物。
確かにコウギョクが放った火によりスライムは焼き払われた。
然し、全てを消し炭に変えられたわけでは無かったのだ。
飛び散ったスライムがぴょこぴょこと飛び跳ねながら追いかけて来る。
「なんと!いったい、如何程のすらいむが居るのじゃ!」
コウギョクは私の肩越しに背後を目にして身震いをする。
恐らく、通路を流れているのは水では無かったのだろう。
きっと見るに堪えない光景が広がっていると容易く想像できた。
「数える必要は無いわ。ともかく全力で逃げるわよ!」
「うへっ、確かに同意だなこりゃ。ってか、ペトロナ達に離されているぞ!」
ヒューゴーは背後を一瞥すると、すぐさま目を逸らし前方を見て焦りだす。
通路は一本道、迷い様がない訳だが。
如何にかペトロナ達の背中を目で捕らえると、次第に通路は明るくなってくる。
久々の新鮮な空気と光を浴びる事が出来ると解放感に胸を躍らせると、ペトロナ達の背中が見えた。
「如何やら、スライム共は御馳走を食い損ねたようだな・・・。せっかく、生き延びる機会を与えてやったと言うのに詰めが甘いな」
ペトロナ達の背中越しに低く重圧感がある声に脳裏に何かが過る。
見ての通り、予め脱獄を想定されていたうえで泳がされていたのは明白だ。
言い知れぬ不安にヒューゴー達を置き去りにし、人混みを掻き分け前へでると何処となく覚えがある人物が立っていた。
そうは言っても顔を見て居ないから、頼りになるのはテオドロなのだが其処が問題だ。
男は自分の言葉に共感し、笑い声をあげていた部下たちを不愉快そうに諫めると、波の様に周囲は静まり返る。
渋い顔のまま満足そうに頷くと、男は腰に下げた大剣にを引き抜いた。
「ふむ・・・やはりか。俺は今此処に愚かな盗人どもを処刑する」
その宣誓に再び私達を囲むオディウム兵の士気も高まる。
気付けばヒューゴー達が私の横に立っていた。
「あいつ、俺の神術を・・・」
テオドロは苦虫を潰したような顔をし、ギリッと歯軋りをする。
「神術・・・でも今すべき事は決まっているわ」
私は剣をゆっくりと引き抜く、冤罪とはたまった物じゃない。
誤解したままのただで理不尽に殺される何てごめんだ、恐れず逃げず私は剣を引き抜いた。
本日も当作品を最後まで読んで頂き誠にありがとうございます。
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物語は謎も不穏な雰囲気も増してきましたが、それでは次回までゆっくりと待ちください。
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次回も無事に投稿できれば10月28日20時に更新いたします。




