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金色の瞳の剣姫は今日も世界を奔走する  作者: 世良きょう
第六章 奔走ー真実と闇の祭殿を求めて
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第 5話 魔風の都ー???????編

密約をしてから船に乗り数週間、私達は少しでも多く彼等の事を知ろうと食事の際の雑談や手伝いなどを申出るするが、半分捕虜の様な存在の私達への不信感は強く、其れでも如何にか情報を得られる事ができたが簡単な物しか集まらなかった。

一番の成果としては、セレスは無事で酷い扱は受けていないらしいと言う事。特に憎悪を剥き出しにしていたエルフとの関係は創世記より因縁があり、45年前の種族戦争後に判明したある事が決定打となり完全に決裂したそうだ。そして、いよいよ船を降り、陰鬱(いんうつ)な空が広がる孤島へと足を付けた。


「何やら詮索をして居た様だけど・・・・逃げられるなんて思わない事ね」


サエルミアからの疑念は薄まらず、私達の船内での動向に目を光らせていたもよう。フェリクスさんと陸に着き次第、更に深く調べようと思っていたが予想以上の警戒心を見せられてしまった。


「此れから協力関係を結ぶわけですし、色々と知る必要があるかと思っただけですよ」


「・・・そう言う詭弁(きべん)は止める事ね。それと、協力では無く強制労働であり、対等な関係では無い事を自覚すべきだわ。貴方達はただ、道具として役目を黙って果たせばいいのよ」


私の言葉を跳ね除ける様にそう言いのけ背を向けると、私達に待つ様に指示をし、港で待ち受ける魔法使いらしい一段の許へ歩いて行った。

その後姿を私と共に見送るフェリクスさんはヤレヤレと言った表情を浮かべ、口笛を吹いた。


「これは中々、守備は堅牢なようで・・・。まっ!オレもただ手を(こまね)いている訳じゃないけどね」


「そうですね・・・しかし()だ・・・」


妙な視線を感じ、開いた口を閉じると、小柄なダークエルフの少女が興味津々と言った様子で此方を(のぞ)き込んでいた。癖の強い銀色の髪に褐色の肌、人懐こそうな赤銅色の瞳を爛々(らんらん)と輝かせている。


「やっほー、初めまして!アタシはメルロス!サエルミア副団長に君達のお目付け役を任されたよー、ヨロシクねー!アメりん!フェリ君!」


メルロスは初対面にも(かかわ)らず、困惑する私達を他所に、何やら捕虜と主の垣根どころでは無く、色々な物を飛び越えて距離を縮めて来た。サエルミアが副団長と言う事は、あの魔術師の集まりは魔術兵団と言う事だろうか?

そんな私達の空気もお構いも無く、彼女は不思議そうに私達を見て小首を傾げる。


「もしかして、アメりんって・・・・私の事?そんなに私達と馴合っても良いの?」


「そうだよ!硬いな~!どうせ此処から出られないんだし、長い付き合いになるならアンタって呼ぶより良いでしょ?」


何と言うか・・・サエルミアの部下にしては対照的な性格の子だな。ケレブリエルさんもそうだけど、エルフは見た目で年齢や大人子供の判断が人間の私達では解りづらい。

どう接した物かと戸惑って居ると、フェリクスさんは屈みこみ、メルロスに笑顔で手を差し出した。


「そうか、宜しく頼むよメルちゃん」


「おっと!フェリ君、勘違いしちゃ駄目だよ。アタシとフェリ君達は友達じゃないんだからね」


握手はあっさりと拒絶。如何やら自分と私達の間には一線を引いている様だ。捕虜と雇い主との距離感は忘れていないらしい。

その後、私達はそんな彼女に連れられて港を離れる事になった。坂道を登り、両脇にうっそうと茂る草木を掻き分けると、遠目から見ても判るほどの巨木が目に映った。

見間違う事は無い、あれは世界樹だ・・・間違いない!予想通り、此処はエリン・ラスガレンに違いない。しかし何故か、(かつて)て美しく咲き誇った筈の姿は無く、葉が色褪(いろあせ)せて見えた。


「あの大きな木は何かな?」


「ん?世界樹だよー。本当にエルフ(あいつら)のせいで、風を望む祈りが不足しているんだ。まったく、許せないよ!」


メルロスは世界樹を悲しそうに見つめたが、エルフの事を話すとなると、その目つきは鋭い物になった。一体、風を望む祈りの不足とはどういう事なのだろうか?

彼女に導かれるままに荒れ地を進むと、目の前に茨に覆われた城郭都市(じょうかくとし)が現れた。

メルロスは門番と何やら話し込んだ後、「お疲れさーん」と声を掛けると、笑みを浮かべながら此方へと手招きをする。


「ようこそ!魔風の都、闇の森(ミュルクヴィズ)へ」


導かれた先に見える光景は、今まで旅した街には無い不思議な光景が広がっていた。



***********************************



街の中には角や翼などを持つ者がチラホラ見える。ダークエルフの他に混血児(ハーフブリード)らしき人々が当たり前の様に生活していた。種族戦争後も混血児や先祖返り(スローバック)は未だ世界的に警戒視され居住区を隔離されているのが実情だが、此処ではその壁が無い。

更に驚かされたのは、闇魔法が魔道具や見世物や医術の一つとして日常に溶け込んでいる所だ。


「あの、メルロスさん・・・訊いても良いかな?」


「んー、メルでいいよ?硬いなアメりんはー」


「じゃあ、メル。此処は闇の精霊王(シェイド)様を崇拝しているの?」


そう言うとメルロスは複雑そうな表情を浮かべ黙り込み、黙って歩き出した。何か不味い事を聞いてしまったかな?そう思いつつ、フェリクスさんと顔を見合わせ、後を追うと彼女は呟き出した。


「正しくは()()()かな?今は混じった血も薄まって、魔法や文化の一部が残っているだけって感じ・・・。でも、罪人を捕らえたり尋問とかで使用する事もあるよ」


そう言い、彼女は振り向きざまにニヤリと不敵な笑みを浮かべると、私達の反応を見てお腹を抱えて笑いだした。


「う・・・」


「あはは、怖い?ビビリすぎだよー、()()そんな事態じゃないしさ」


如何やら揶揄(からか)われたらしい、しかし真実も混ざっている気もする。しかし到着次第、魔結晶集めの狩りについて説明があると記憶しているが、何処に連れて行かれるのだろうか?


「それで・・・メルちゃん、オレ達を何処に案内してくれるんだ?」


フェリクスさんが優しく尋ねると、何かを思い浮かべる様な仕草をした後、申し訳なさそうな表情を浮かべた。


「それは公共の場(ここ)では話せないかな。なんたって此れ自体、公にしちゃいけないって団長もいってるし。でも安心して、騙し討ちして行き成り天国へ二名様ご案内ーって事は無いからさ」


真面目に話していたかと思えば、唐突な性質(たち)の悪い冗談。天真爛漫な性格の様だが、その心内は掴めそうにない。


「つまり、黙ってメルちゃんに付いて来いと言う事か」


「そーそー」


彼女はフェリクスさんの問いかけに応え頷くと、鼻歌交じりに再び街中を歩き出す。其処からは寄り道もあったが、何度もの兵とのやり取りと門や扉を潜りぬけ、奥の大きな建物へと案内される。

入り口前まで来ると、メルロスは私達を手招きし呼び寄せると、小声で喋りだした。


「さて、此処は秘匿(ひとく)研究所だよ。私語は厳禁だから気を付けてね。判るでしょ、うちの副団長とか」


メルロスは指で目を吊り上げ、サエルミアの顔真似をして見せる。


「そう・・・だね」


「はは・・・」


思わずサエルミアの顔が浮かび、私はつられて笑いそうになってしまった。確かにメルロスの振る舞いは人間嫌いのサエルミアの逆鱗(げきりん)に触れかねないだろう。



***************************************



いざ敵の本陣へと意気込み入った研究所は、大小様々な建物が合わさる区画の奥に在り、人の行き来も少なく隠し場所に相応しい場所だった。

冷やかな視線を浴びながら入室すると、中は砕かれた魔結晶と水の中に浮かべられた脈打つ赤黒い塊が筒状の硝子に入れられ並べられていた。


「秘匿か・・・。もしかして、此れは予想以上にやばい事に巻き込まれている?」


フェリクスさんは硝子に近付くと、中を覗き込み顔を引きつらせている。確かに見ていて気分が良いものじゃ無い。結晶獣と照らし合わせて考えると此れが、合成獣の材料だとするなら・・・世界樹の根に替わる媒体なのだろうか?


「・・・もう巻き込まれていますよ、十分にね」


などと苦笑しつつ、話しているとメルロスから静かにするように、唇の前に人差し指を立てられる。

其れに気が付き、慌てて口を(つぐ)んだ所、研究者らしき数人に睨まれている事に気が付いた。


「あんまり騒いだり物に触ると兵士が来るよ」


メルロスがそう言った直後、金属性のガチャガチャと言う足音が、慌ただしく辺りに響いた。今ので警戒された?徐々にその数は増えていく。


「え、今ので・・?」


「いや、違うようだよ」


フェリクスさんに(たしな)められ落ち着くと、私達では無く兵士達は一斉に入口の方へ向かっているる事が判明した。外が騒がしくなり、怒声が響く「賊が侵入した」と。


「そう易々と情報が漏れるようあ場所とは思えないし、こんな所に何の為に侵入したんでしょ・・・?」


「・・・まあ、武器も防具も無いし、オレ達の(あずか)り知る事じゃないよ」


フェリクスさんは落ち着きなく入口の方へ視線を向け、苦笑いを浮かべる。

静観していると騒ぎは治まり、負傷した兵が通り過ぎたかと思うと、縄で腕を縛られた一人の少年が現れた。同年代ぐらいだろうか、黒髪で私達と同じ人族のようだ。

しかし、それは見覚えの有る人物だった。顔半分を覆う見覚えの有る仮面が確信させた。

幾度か私達の行く先々に現れて助力になってくれる、私の対になる存在。


妖精の盾(フェーシルト)・・・?」


私の漏らした疑問の声は当人に届かず、彼を取り囲む声に呑まれて行った。

風と種族間の争いが入り混じる問題に巻き込まれた私達に更なる、波乱を予感させて。

本日も最後まで当作品を読んで頂き真にありがとうございます!

再びのエリン・ラスガレンですが今回は少々、複雑な問題が絡んでいく事になりそうです。


*******************************


捕らわれ巻き込まれる最中、予想外の人物の登場に驚愕するアメリア達。

そもそもの発端は二種族間の溝が関係しているもよう。

さて、風がマナが満ちる大地に何が起こるのだろうか?

*次回へ続きます

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