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2話

夕方と夜にまた更新します。

あとは1ヶ月弱くらいは毎日更新の予定です。


 そして私は、アキラさんを連れて魔法学校の校舎へと向かった。


 学校は煉瓦造りの大きな建物だ。

 高い壁、さらにその上に物見台が築かれていてさながら要塞である。

 というか、実際に要塞をそのまま買い取って学校にしたらしい。

 建築して百年以上経っているそうだが建物としてはまだまだ現役だ。

 外から見ると古ぼけているが、建物の中の教室は意外と綺麗に見える。

 机や備品類が新しいからだろうか。


「……それで、テレサくん」

「はい!」


 ラーディ先生が私の名を呼んだ。

 オールバックの黒髪、高い身長の痩せぎすの男性で、いかにも教師らしい几帳面そうな顔をした先生だ。

 彼は占星術や占術といった古めかしい魔術を専攻する教師だった。

 態度はぶっきらぼうだが教え方が上手く、人気がある方だろう。

 だが今日の彼の役目は少し違う。

 魔術の講師ではなく、魔術以外の教養科目の、試験監督だ。


「その……君が連れてきた彼は、なんだね? これからテストだが?」

「召喚獣です!」

「召喚獣か」

「試験に持ち込み可能な物の欄に 「召喚獣」って書いてあったので……持ち込みました!」


 教室がざわついている。

 大体は「それアリかよ」とか「マジでそれする奴いるの?」みたいな疑問の声だ。


 試験持ち込み可の物品というのは本来、杖や魔道書など、魔法使いとしての必需品を許可するための規定だ。そして召喚獣を召喚できなければ、私のような召喚魔法が得意な魔法使いは思い切り不利になる。

 もっともそれはあくまで魔法の試験のためであって、教養科目の試験のために人間を召喚するというのは裏技や脱法行為に近いと思う。

 が、別にそれを禁止する項目も無い。ちゃんと確認したのだ。

 規則にはあくまで「持ち込み可能なもの:筆記用具、魔道書、杖、召喚獣」としか書かれていない。

 まあ、こんなことをやれるのは後にも先にも私くらいのものだろう。

 先生も、


「だからって人間を召喚獣にするか……?

 この魔法学校で今までそんなことをした生徒は居なかったぞ……?」


 思い切り呆れている。

 だが駄目だ、とは言われていない。


「しかし……確かにルールには抵触してないな……できるだけ静粛に受けるように」

「あっ、良いんですね」


 アキラさんが驚いている。

 よっしゃ、通った!


「じゃあすみませんアキラさん。私の隣に座ってください」

「はい。あ、イスをお借りしても?」


 アキラさんがそう言うと、先生が仕方なく頷く。

 私は教室の奥にある余ったイスを運ぶ。

 これで準備万端だ。


「よし、これから数学の試験を開始する。

 そこの召喚獣くん。話すときはできる限り小声でな」


 ラーディ先生がそう忠告する。

 だが逆に言えば、静かに居住まいを正していればオッケーというお墨付きだ。


「はい。ではテレサさん。私がやるべきは試験への助言ということですね?」

「そうなんです。チキュウの人は数学が得意って聞いたので……。あ、他の試験は大丈夫です。古典教養なんかは難しいでしょうし」

「高校数学くらいまでなら助言はできるかと思います。できる限り手伝いましょう」

「はい、よろしくお願いします!」


 そこでラーディ先生が答案と問題用紙を配り始めた。

 よし……これで、今年の試験もバッチリだ……!



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