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右腕を置き去りに異世界生活  作者: 義手への憧れ
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ステータス・カード

早くハルトを人と会話させてあげたい。

  ようやくアスタのスキルを借りて翼を得ることに成功した。

  しかし、この魔法は結構なスピードで魔力を消費するようだ。

  せっかく飛べるのだから、燃費まで気にすると怒られてしまうかもしれんな。


  (さあ、その翼で飛んでみるがいい)


  新しく生えた翼は肩甲骨の辺りから伸びている。

  だがら、飛ぼうとするとどうしても肩がワキワキしてしまう。


  (違う、そうではない。翼だけを独立して動かすのだ。)


  そんなことを言われても、この翼は新感覚で思うように羽ばたくことが出来ない。


  (仕方ない、我が教えてやろう。)


  そういうことになった。


 -30分後-


  俺は自由自在に空を飛べるようになった。

  これはコツを掴めばとても簡単で、肩まで動かす必要はまるでなかった。

  最初の10分で、翼の扱いはマスターしたので、残った時間は飛行練習していたぐらいだ。

  だが、30分も練習していたことで俺の魔力はほぼ尽きてしまった。

  これでは人里まで行くのは無理だろう。

 

  (そう落ち込むことはない、もう夕方だ。明日はすぐに来る。)


  熱中していたから分からなかったが、もうそんな時間か。

  だが、ほぼこの状態で寝れるだろう。

  俺は背中の剣帯ごと剣を外し、横に置いた。

  次に魔法【アース・ウォール】を利用し、土版のかまくらを作った。

  もちろん耐久性はかまくらの比ではない。

  これは持っていた魔核を砕いて魔力を捻出した。

  魔核には一定量の魔力が含まれているのだ。

  俺はその中で横になり、魔法【スリープ】を自分に向けて発動させる。

 

  (朝になったら起こしてやるから安心しろ)


  そんな声を聞きながら俺は眠りについた。




  朝だ。

  そして魔力は完全回復している。

  昨日は本当は魔法【スリープ】がなければ寝れないほど、寝るのが心惜しかったのだが、ようやく行動に移せるようだ。

  装備を確認し、はやる気持ちを抑えて、昨日でものにした魔法を唱える。


  「【黒魔翼】」

 

  お気づきの人もいるかもしれない。

  昨日アスタの使ったスキルは【悪魔之王】ではなかったか?

  実はアスタのこのスキルは色々な能力の詰め合わせのようで、俺はその1つの【黒魔翼】を得たというわけだ。

  翼が顕現し、昨日練習したことを思いだしながら飛行を開始する。

  俺は魔力を節約すべくすぐさま高度を上げる。

  10秒程で、高度1000メートルぐらいに到達する。


  少々周りの雲がうざったいので、魔法【ストーム・ブラスト】の応用で、吹き飛ばす。

  そして、地上を観察する。

  見つけた。

  名前など分からないが「〜〜王国」みたいな雰囲気のある都市だ。

  立派なもので、都市の周りには頑丈そうな城壁がぐるっと一周し、城も大きくていかにもという印象を受ける。

  早速、門の近くまで飛んでいく。



  ある程度まで近づいたところで、地上に降り立つ。

  右腕を偽装しなければならないからだ。

  あの都市は見た感じは人間が主な住民出会ったから、この右腕は余りにも物騒すぎる。

  アスタ、何かいい方法はないか?


  (常時魔法を使うのは難しいだろうから、防具で隠すのがいいかもしれん。)


  俺は背負っていたマジック・バッグから目的のブツを探す。

  今俺が使っているこのコート【ネロ・モナーク・コート】は、右腕の部分が綺麗になくなってしまっている。

  それもそのはず、今の俺の右腕は左よりも一回りは大きく、棘や隆起している部分がゴツゴツトゲトゲなのでコートが耐えきれなかったのだ。

  そのため、今は右腕だけが露出している。

  それを隠すための防具という訳だが・・・


  「おっ、これなんかどうだろ、マジックアイテム【グリモワラル・ガード】。篭手なんだが、アスタがすっぽり収まるぞ」


  (それでいいだろう。よく馴染むし、悪くない性能だ。)


  それでは早速入国といこうか。




  「悪いな、ステータス・カードがないヤツを入国させることは出来ねぇんだよ。」


  「そんな殺生な・・・」

 

  「この国の決まりなんだよ、諦めてくれ」


  とまあ、身元確認証のようなものがないなら帰れと言われて、絶賛困惑中である。

  そんなこと言われても迷宮に転移させられた俺にどうしろってんだ。


  (こういう面倒事こそ魔法の出番だろう? 我に任せてみよ)


  俺は身体の主導権をアスタに変える。

  これも迷宮での特訓の成果だが、アスタに負担がかかるらしく滅多にやらない。

  だが、アスタが、主導権を握ることでアスタはアスタの持つスキルを使えるようになる。

  とはいっても、魔力が少ないために大したことは出来ないのだが。


  「【ベディーネン・マインド】」


  聞いたことのない魔法だが、恐らく催眠系の魔法をかけたのだろう。

  魔法をかけられた衛兵の目から光が消える。

  成功したようだ。


  「我のためにそのステータス・カードを作れ」


  「・・・はい」


  俺達は門をくぐって、ギルドまで案内された。

  道中では、案内させている衛兵にこの国のことについて話させた。

  この国の名は「ガランツィーア王国」で、冒険者が多く滞在しているらしい。

  ガランツィーア王国は豊かな国で、農業、畜産が盛んに行われていて、この周辺国家の中では「食」において右に出るところはないとのこと。

  また、この国からそう遠くない場所に迷宮アスタのものではないがあるらしく、冒険者もたくさん来るので武器や防具の店も充実しているとのこと。

  ハッキリいって、超当たりである。

  最初からこんな好条件な国を引き当てるとは、俺の幸運度が極まっているのではないだろうか。

 


  そうこうしているうちに、王都を過ぎて冒険者たちの集まるギルドまでついた。

  ギルドとは、冒険者をサポートしてくれるありがたーい組織であり、依頼の受付から依頼達成による報酬受け渡しまで執り行ってくれるのだ。

  俺の想像していた理想とピタリである。

  そしてここでステータス・カードを作るようなのだが、銀貨1枚必要のようだ。

  この世界共通の銅貨、銀貨、金貨、そしてその上白金貨を利用するらしい。

  銅貨が日本でいうと大体100円で、銀貨が1000円、金貨は10万で、白金貨は1000万円。

  白金貨なんて怖くて持ち運べないな・・・なんて思った。

  だが、俺は金を持っていない。

  アスタはどうするのだろう。


  「おい貴様、銀貨5枚寄越せ」

 

  悪魔には情け容赦というものがなかった。

  どうやら逆らえないようで、あっさり銀貨5枚を渡してくれた。

  「では元の場所に戻るがいい。そうすれば貴様の催眠はとけ、この記憶はなくなる。」

 

  案内させて金を毟ったら、さあ帰れとは流石悪魔だ。

  罪悪感もないわけではないが、必要なことだったのだし金を稼いだら返してやろう。


  さて、ようやくギルドに着いたので、ステータス・カードを作ってもらうとするか。

 


このステータス・カード作ったら、ようやくステータスを皆さんに見てもらうことが出来ます。頑張らなくては。

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