表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
右腕を置き去りに異世界生活  作者: 義手への憧れ
10/10

ギルド長自重しろ

毎日1話投稿のつもりが楽しくて止まりません。

やることいっぱいあるのに・・・

  お店に案内してもらえるとのことだったが、気付けば俺達はギルドの建物の前にいた。


  「ここですか?」


  「そうだよ。ここは安くて美味しいし、すぐにご飯が出てくる。依頼もすぐに受けられるしね」

 

  そうなのか。

  どうやらここは受付があって、食事も出来る非常に便利な施設のようだ。

  建物、いや同業者はギルドと呼んでいるらしいので俺もこれからはそうしよう、の中に入る。

  少し進むと、正面が受付で、右には食事場所、左には通称クエストボードがある。

  クエストボードとは、依頼を書いた羊皮紙が画鋲で止められている大きな板のことだ。


  「さっ、座ろう」


  俺はミーナ達と一緒にカウンターに座る。

 



  平和そのものだったこのときにそれは現れた。

  轟音。

  何かが恐ろしいスピードで迫ってくる。

  俺は席を立ち、急いで外に出る。

  そこに居たのは

 

「【魔解眼】」


  レベル68のワイバーン、状態は狂気。

  俺にとっては大した相手ではない。

  だが、周りの通行人だったろう彼らは、吹き飛ばされて頭を打ったのかほぼ全員が気を失っていた。

  残っている人も恐慌状態に陥っている。

 

  「嘘、どういうことなの?!」

  「こ、これは?!」

 

  遅れてやってきたミーナ達。

  彼女達のレベルでは戦いにならないだろう。

  せっかくレベルを偽装したのに、このイベントはなんなのだろうか、新手の嫌がらせだろうか。

  モタモタしていると被害が拡大してしまう。

  力を出し惜しみして彼らを死なせるよりは、力を使って彼らからアレこれ言われた方がまだマシだ。


「魔法【クリエイト・ソード】、スキル【加速Ⅰ】」


  加速した俺の剣がワイバーンの首を撫でる。

  それで事足りる。

 

  少し遅れてワイバーンの首が落ちた。

  俺は血のついていない剣を見て一言。

 

  「うーん、80点」


  ミーナ達に質問攻めにされるまでそう時間はかからなかった。


 

  ミーナ達からの質問攻めに「頑張ったから」だけでなんとか耐えていると、遠目から見ていた人達だと思うが一斉にこっちに向かってきた。

  勿論逃げようとはしたさ。

  でもミーナが俺の右腕を掴んで離さないもんだから。

  いや、振り切れたけどね、振り切れたけどってヤツだ。

  女の子にそんな事するなんて俺にはできない!


  (女と話せない設定はどうなってるんだ、我は覚えているぞ、おい!)


  外野がうるさい。

  素早く環境に適応することこそが生存するための最大の条件なのだ!

  それにこの流れは「一瞬でワイバーン倒したハルト様かっこいい!」だからな。


  (・・・・・・勝手にしろ)


  アスタと会話している内に人だかりの中心となってしまった。

  うるさくて何を言っているのか分からないが、感謝されているのは分かる。

  人混みに揉みくちゃにされながら、今後について思案する。

  もう、これでは王国で有名人になって面倒事が起きるのは目に見えている。

  どうせそうなるなら、火に油を注いでやろう。

  俺はやるならとことんやるタイプなのだ。

  いっそ、魔王討伐とかいいかもしれない。

 

  (調子に乗るな、今のお前では魔王は倒せん)


  厳しめに言っているようで、言外に出来なくもないと言っているこのアスタはツンデレさんかもしれない。


  あれ?

  人だかりが割れてくる。

  どうやらお偉いさんが来たらしい。


  「私はギルド長のトレランティ・ジェネールだ。ワイバーンを倒した冒険者というのは誰かね?」


  「あっ、はい、俺ですけど」


  「そうか、君がか。本当にありがとう、感謝する」


  ギルド長は50代くらいの髭をたくわえた威厳あるオッサンだった。

  スキル【魔解眼】ではレベル63と出ている。

  今はどうか知らんが、昔はバリバリ冒険者をやっていたみたいな感じだろう。


  「いえいえ、こういう時こそ助け合いですから」


  サラッとイケメンなセリフを、吐いてしまった。

  俺ってば、なんて罪な男なんだ!


  「それはいい心掛けだ。ところで事情を聞かせてもらってもいいかな?」


  「ええ、勿論です」


  いいねぇ。

  ここから俺の伝説がスタートしてしまうんだろうな。


  「わ、私達も行きます」


  「「「えっ?!」」」


  ミーナ達も来てくれるようだ。

  なんだろう、ここから恋が始まるのだろうか。

  もちろん大歓迎です。


  「君達もこの場にいたのかね?」

 

  「そうです、私達はさっきまでハルトくん達とご飯を食べてい、いや食べる直前だったんです。そうしたら、突然轟音がして」


  「ふむ、複数人来てくれるのはこちらとしてもありがたい。最近活躍が目ざましい冒険者 ミーナさんたちとあらば特に」


  こうして俺達はギルド本部へと向かった。


 


  俺はミーナ達とは別に事情聴取された。

  直々にギルド長にだ。

  だが、途中から「本当に俺が倒したのか」みたいな話にだんだんズレてきた。

  いや、最初からその話を聞くつもりだったのかもな。

  ミーナ達を別口にしたのはそのせいかもしれん。

  のらりくらり躱していた俺だが、だんだん面倒になってきた。

  コイツは自重というものを知らないのだろうか。

  「ぐぬ・・・ならばステータス・カードを見せてはもらえないだろうか」

  こんなこともあろうかと既に道中でアスタにカードを偽装してもらった。

  渡すことには何の苦労もない。

 

  「いいですよ、どうぞ」


  「おお、いいのか? ならば遠慮なく見させてもらおう」

 

  だが、そこに書いてあるのは偽装された情報だ。

  しばらく俺のステータス・カードを見るギルド長。

  だが、急に顔を上げて俺に激昂する。


  「こっ、これは、これは一体どういうことだ? レベル45の冒険者がレベル60は下らないといわれるワイバーンを瞬殺など出来るはずがないだろうっ!」


  「・・・・・・・・・・・・」


  今は頑なに情報を秘匿しているが、よく考えたら、偉いさんにツテがあった方が便利なのではないか。

  バレないようにしてきたけど、こういうことが何回もあると面倒なんだよな。

  どうしようか?


  (我を晒すのはやめておけ。何をするか分かったものではない。)

  事情をゲロっちまおうかとも思ったが、先読みされてしまった。

  しかし、俺はそもそも仲間が欲しくてこの王国に来たのだ。

  こんなところで油を売っているわけにもいかないのだ。

  かといって、コイツにいつまでもつきまとわれるのは勘弁である。

  よし、それっぽいことを言っておくか。

駆け引きの描写は私には難しすぎるかもしれません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ