アンデッドのいるダンジョン
しばらく歩いてようやくダンジョンへの入り口に辿り着いた俺は中へと入ることにした。ここに来るまでに大量のスケルトンと戦ったがどれも鎧袖一触であった。そもそも骨でできているスケルトンは脆いのだ。硬さで最高を誇る剣の精霊の剣に打ち勝てるはずもなかったのだ。
ダンジョン内はとても暗かったが光の精霊が明かりを出してくれる。中には変わらずスケルトンがいて、稀に剣を持つ個体がいるのが見えた。
「こりゃあまたたくさんいるな。ダンジョンってのはこんなものなのか?」
(ここが異常なだけだよ。普通はかなり魔物も少ないものさ)
「ならいいんだけどな。さてと、軽く屠って行きますか」
(頑張れ~)
相変わらず適当な光の精霊に呆れながらも俺は剣を持ってスケルトンを攻撃していく。太陽の光に当たっていなくとも反応が鈍いスケルトンは一撃で粉砕していく。目の前で起こる仲間の惨劇にも動じた様子はなく、スケルトンは次々に手を、あるいは剣を伸ばしてくる。数だけは多いので俺は剣の精霊に剣を生成させることにした。
「ラル、剣を生成してくれ。ウル、足止めだ」
(承知)
(かしこまりました、王よ)
ラルが剣を生成しそれを異能で浮かせてスケルトンを攻撃していく。ウルがスケルトンの後方へ種子を飛ばして成長させて足止めをする。そんな事をしている間に俺は次々とスケルトンを粉砕していったのだった。
それから一時間程経ってようやくスケルトンを倒し終わった。数だけが多いスケルトンであったが下から次々に湧き出てくるので際限なく現れて面倒であったが今は階段のところでウルの作った植物で封鎖してあるので問題はない。大量のスケルトンの原因が下にあるらしい事が分かったのは収穫だがこの後もかなり大変そうだと溜め息を吐く。
「スケルトンってめんどうだな。光の精霊の攻撃で倒せないのか?」
(無理ではないけど、今の僕は弱いからね。君が伴侶を持ったら強くなれるよ。そういう制約だからね)
「またその話か。まぁ考えておくよ。俺も、少しくらいは覚悟はできてるし」
(なんだい。この間までは無理だとか言ってたのに)
「無理だとは言ってないだろ。ただ少し自信が無いだけだ。幸せにしてやらないと俺と一緒にいる意味がないだろ?」
(固いねぇ。ルルリールって子はそこまで考えなくても勝手に幸せになると思うけど。人間の考えはいまいち分からないや)
「俺はそういう性分なの。そもそも結婚だってまだ早いんだよ。それなのに再三催促しやがって」
(まぁまぁ。君が一人にならないためだよ。精霊が伴侶を持つなんてのは本来ないんだからさ)
ルルリール様との事については散々考えたが明確な覚悟はついぞ出なかった。あの人は俺の隣で輝けるのか、幸せになれるのかなんて考えていてもよく分からなかったのだ。俺が出すべき答えでもないし、ルルリール様が出すべき答えなのだから当たり前なのだがどうしても怖くなってしまうのだ。ルルリール様には幸せになってほしい。それが俺といることでそうなるのであれば、喜んで一緒にいたいと思えるようになったのは俺の中では進歩だろう。
「まぁなるようになるさ。答えはルルリール様が持っているからな」
他人任せの糞野郎な俺だがそれでもやはり自分で答えを出すのが怖かった。俺の幸せなら自分で見つけられる。だが、彼女の幸せは俺には見えなくて、分からないのだ。胃が痛くなるような問答を頭から追いやった俺は二階層へと足を踏み入れるために休憩を終えて立ち上がった。
それから二階層、三階層も同じようにスケルトンの駆逐作業になった。変わることのない景色と変わることのないスケルトンの量。もはや定番となったそれに俺は辟易しつつもスケルトンを砕く作業へと入っていく。
四階層を過ぎ、五階層へと辿り着いた辺りでスケルトンに変化が現れた。弓を持つスケルトンが現れたのだ。最も俺に弓を使うなど使ってくださいと言っているようなものだ。何故なら俺には物を自在に操る異能がある。それは飛んでくる矢でさえも対象であるのだ。飛んでくる矢を異能で抑えて、それらをスケルトンへ飛ばし返す。矢はあまり効果はないので意味はないがそれでもスケルトンの矢筒を狙って破壊することができるので役に立っている。
「呆気なさすぎるな。スケルトンってこんなにも弱いものなのか?」
(君が特別なんだよ。普通の人ならこうはならないさ。精霊の力が馴染んできたおかげで身体能力が上がってるのさ)
「なるほど、な!」
会話をしている間にもスケルトンを粉砕していく。粉々に砕けたスケルトンは地面へと骨となって転がるだけだが量が量となると邪魔になってくる。足場もなくなってくる頃には大概のスケルトンは死体となっているがこの階層ではスケルトンが途切れる様子がない。うんざりしながらも俺はラルの力も借りてこの階層のスケルトンを片付ける事にしたのであった。




