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夜闇に咲く花  作者: のどか
サン・リリエール祭編
90/129

第89話

それから一週間をダンスのレッスンとジュリアと一緒鬼ごっこの作戦会議に費やし、とうとう今日、授業免除を賭けた鬼ごっこが始まります!

今回は敵が先生なので前回みたいにお姉様方に囲まれないで済むと少し安心してます。


「瑠璃、はぐれたら分かってるわね?」

「うん!」

「よしっ! じゃあ今回も授業免除を目指して」

「頑張ろう!」


制限時間は二時間。

思ったよりも少ない。

これなら生き残る生徒がたくさんいるんじゃないだろうか。

始まる前はそう考えていた。

けれど、その考えはすぐに覆される。

開始五分で既に生徒の三分の一が捕まり鬼に変わったというお知らせが届いた。


「これは、思っていたよりも」

「過酷かもね」


そう言っている間にも遠くから悲鳴が聞こえてくる。

気を引き締めなければ、そう思った瞬間。

何かが飛んでくる気配を感じて慌ててその場を飛びのいた。


「弓矢……これって、本物、だよね?」

「殺す気か!!!」


顔を引きつらせた私と、ジュリアの叫びに応えるように第二撃、三撃と私たちを狙って弓が射られる。


「あんのクソ教師!一体どこから……!」

「角度的にあの辺?」

「瑠璃!」

「うん!」

「「逃げるが勝ち!!」」

「え、逃げるの? お姫様たちなら突っ込んでくと思ったのに」


そう言って逃げようとした私たちに不思議そうな声がかかる。

その間も弓矢の雨は降っているが全部エル先輩とレオ先輩が切り落としてくれている。


「エル先輩? レオ先輩?」

「どうして?」

「んー、昼寝してたら女の子たちに囲まれててねぇ」

「言ってる場合か! 瑠璃、ジュリア逃げるぞ!!」

「いたわよ!」

「エルせんぱぁい!待ってぇ!」

「レオ様ぁあ!!」

その光景を見て私とジュリアは青ざめた。

恐ろしい。

ただひたすらに恐ろしい女子の群れに私たちは走り出した。


「「エル先輩のばかぁああああ!!!」」

「ちょ、なんで俺だけ!? レオちゃんは!?」

「フン、日頃の行いの差だ」

「むかつくーーーー!!」


憤慨しながらも何故か私たちと同じ方向に走ってくるレオ先輩たち。

そうなれば当然女子生徒たちも追いかけてくるわけで……。


「ていうか追いかけてこないでください!!!」

「あのお姉様たち連れてどこか行ってください! お願いします!!」

「お姫様たち結構ひどいね」


ぐすん、と泣きまねしながらもちゃっかりついてくるのはやめない。

私とジュリアは顔を見合わせて頷き、左右に分かれて走るスピードをあげた。


「え! ちょ、お姫様たち!?」

「逃げられたな」

「えー。あのお嬢さんたちどうするの?」

「……。瑠璃たちに手伝ってもらおうと思ったんだがな」


ビュンビュン

足元に突き刺さる弓矢。

背後に迫る女子生徒の群れ。


「ジ・エンドって感じ?」

「そういう顔には見えないが?」

「レオちゃんもね」

「教師を相手にするよりも群れの方が楽だな」

「あの群れの中だと弓でも狙えないしね」

「「行きますか」」



背後から先輩たちの呼び声が聞こえたが全力で無視してひたすら走ってます。

目的地はジュリアとはぐれた時の集合場所でもある薔薇園。

あそこなら薔薇が盾になって弓や銃では狙われにくいし、襲撃されたとしても通路が狭いから必然的に相手にするのも少人数になる。

挟み撃ちにされたり、噴水広場まで出てしまって囲まれたら厄介だけど、そんなこと言ったらどこにも逃げ場がないので、その時は力でねじ伏せると決めている。

途中で銃撃(銃を扱う先生はペイント弾で参加。当たるとアウト)されたり、鬼になった生徒に襲撃されたりしながら気づけば残りあと五分です。

薔薇園までたどりつけそうにありません。

ごめん! ジュリア!!

でも生き残れるように頑張るから、ジュリアもファイトだよー!!

ってことでまた木の陰から出てきた生徒を斬り伏せて先を急ぎます!


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