第79話
短いです。ごめんなさいm(__)m
瑠璃と荷物を部屋に送り届けてからフォンセたちはイヴェールの執務室に向かった。
待っていたのはイヴェールとアルセ、ちゃっかり荷物を自分たちに押し付けた龍哉。そして何故かエアルと静奈もいた。
仕事関連なら母親たちがこの部屋にいることは滅多にない。彼女たちに関わりのある仕事なんて滅多にないからだ。あくまで彼女たちは守るべきものである。仕事に関わらせたりはしない。
フォンセとグレンは二人の姿を見て無意識に眉間に皺を寄せた。
「安心なさいな」
「今回の私たちはあくまで保険だから」
優しく微笑む母親たちとは裏腹にイヴェールはため息を吐き、アルセは苦笑いを零した。
嫌な予感しかしない。
「面倒事ですか」
「それ以外でここに呼ばれたことがあるか?」
「……」
黙り込んだフォンセにグレンも倣う。
「単刀直入に言う」
「王女殿下がお前らの学校に編入なさる」
「……。は?」
「え、ちょ、マジで?」
ヒクリ、盛大に顔を引きつらせたフォンセとグレンは、まじまじとイヴェールとアルセを凝視した。
どう見ても彼らは嘘を言っているようには見えないし、龍哉も否定しない。
それどころかどうして母親たちが保険なのかという理由さえ見つかってしまった気がする。
「……しばらく仕事に専念することにする」
そうすれば関わることは最小限で済む。いい考えだと思ったそれはイヴェールの冷ややかな視線と共に却下された。
「チビがいびられてもいいのか」
「ちっ、」
それを言われてしまえばフォンセはどうしようもない。
なによりも瑠璃が大事で最優先だ。瑠璃に嫌な思いをさせるわけにはいかない。
そのためには自分が我慢するほかない。
「グレン、お前もだぞ。滅多に社交界に顔を出さないジュリアちゃんが絡まれてもいいのか?」
「ジュリアはむしろ返り討ちにしそう……」
瑠璃のためなら俺たちにだって容赦なく刀を向けてきそうな彼女のことだ。その可能性は十二分にある。
アハハ、と乾いた笑みを零すとアルセはバシンと容赦なくその頭を叩いた。
「現実逃避すんな!」
「なんにせよ、ガキの面倒事まで俺たちは見るつもりはねぇからな」
テメェらの代のことがテメェらでなんとかしろ。話はそれで終いだ。と部屋を追い出されたフォンセとグレンはそろって大きなため息を吐いた。どうやら新学期は憂鬱な日々の幕開けとなりそうだ。