第50話
行ってきます和の国!
どこで嗅ぎ付けたのかクラスメイト達と先生からお土産期待してると見送られたのが昨日。
今からジュリアをお迎えに行きます。
ジュリアのご両親にももう一度挨拶しないとね。
ちなみにジュリアの家族は明るくて優しい人たちです。
でもお母様とお姉様は時々ジュリア以上に暴走します。
お兄様も時々ものすごく羨ましそうにこちらを見てる時がありますが、私を抱きつぶしたお姉様に視線だけで追い払われてます。ちょっとかわいそう。
「ジュリア、瑠璃ちゃん気を付けてね」
「龍哉様、フォンセ様、グレンツェン様、娘をどうぞよろしくお願いいたします」
お土産期待してるわ!と明るいお母様と少し心配そうなお父様に見送られて車で空港に向かう。
ジュリアとしゃべったり仮眠をとったりしている間に飛行機はあっという間に和の国に着いた。
「うわぁすっごく目立ってる……」
それが空港での私の第一声だった。
視線が集まる集まる。
これだけ美男美女がそろってれば当然かもしれないけど、でも視線が痛い。
「瑠璃!」
「龍成!?」
「俺が来いって言ったんだから出迎えにくらいくる。
……よく来たな」
「うん、誘ってくれてありがとう」
「おう。おじ様もお久しぶりです」
「あぁ、久しぶりだね」
「車、用意しているので使ってください」
「ありがとう、使わせてもらうよ」
「みなさんもようこそ和の国へ」
目を細めて笑う龍成に誰これ!? と思いながら、ジュリアたちを振り返るといつもよりずっとにこにこ笑顔のグレンと無表情で挨拶するフォンセが見えて空気が冷える。
ちなみにジュリアはすばやく私のそばへと避難してきた。
「なにこれ、怖いんだけど」
フォンセ様たち、彼と何かあったの? なんて聞かれてもわからない。
助けを求めるようにお父さんを見ても面白そうにうっすら笑ってその様子を眺めてるだけだ。
それでも怯える私とジュリアに気付くと先に行っていようと私たちの荷物をさっと奪ってすたすたと歩きだす。いいの? なんて聞かない。だって怖いもん。
「ちょ、龍! 置いてくなんてひどい!」
「置いていかれたくないならさっさと荷物持ちしなよ。何のためについてきたの?」
「え!? 俺たち荷物持ちのためだけに呼ばれたの!? 嘘!」
置いていかれていることに気がついたグレンがキャンキャン吠える。
フォンセは涼しい顔で私の横に並ぶとさっと残りの荷物を奪い取った。
「フォンセ、」
「俺たちは荷物持ちらしいからな」
そう言うフォンセはもういつも通りで龍成と睨みあっていた時のピリピリした感じはない。
「ジュリアのは俺が持つよ」
「ですが、」
「いいから。こういうのは男の仕事!」
「ありがとう、ございます」
ほぼ手ぶらになってしまった私たちの隣に龍成が並ぶ。
「行きたいところとかあれば案内するよ」
「なっ、テメ」
「荷物持ちは黙っててください」
「龍成!」
「冗談だよ。冗談。
瑠璃のオトモダチも遠慮なく仰ってください、案内してさしあげますよ?」
ホント、嫌味なんだから! どうしてそうフォンセとグレンにつっかかるのかと呆れながらヒクリと笑顔を引きつらせているグレンと無言で龍成を睨み付けているフォンセに目で謝る。空気が悪くなるのを阻止するようにジュリアが引きつった笑みでそっと声を上げた。
「えっと、最終日でいいから家族のお土産とかみたい、です」
「喜んで案内しますよ」
ジュリアに対しては紳士的なんだけどなぁ。
ああ、グレンの笑顔が怖いことになってる。お父さん、笑いごとじゃないよ。フォンセの無表情もそうとう怖いことになってるから。オーラが! 禍々しいオーラが!
「瑠璃は行きたいとこないの?」
「私? うーん、あの辺は全然わからないから龍成に任せるよ」
「あっそ、じゃあ楽しみにしとけば?」
「うん! 楽しみにしてる」
素直に頷いた私に龍成はパチリを目を瞬いたあと照れたようにそっぽを向いてしまった。
耳が赤くなってる。可愛いところもあるじゃん。
その後、龍成に電話がかかってきて用ができてしまいホテルには私たちだけで向かった。
荷物の整理をして今日はホテルでゆっくりしようとのことだったのでこちらにいる間お世話になる綺麗で品のいいお部屋でまったり過ごしました。
和の国編です。
テスト終わってからにしようかと思ったけど書きあがったので1話だけ更新。
続きはテスト後になると思います。
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