表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜闇に咲く花  作者: のどか
和の国編
48/129

第47話


 今日はジュリアを招待します。

 といっても私がお世話になっている侯爵家のほうじゃなくて浴衣がたくさんあるグレンのお家に、なんだけど。

 本当はお迎えに行くつもりだったんだけど、緊張で死ぬからやめてくれと言われたのでグレンのお家でジュリアが来るのを待ってます。


「どんなお嬢さんかしら!」

「楽しみですね!」


 わくわくと楽しそうなエアルさんと静奈さんも一緒です。

 ちなみにグレンは邪魔だからと笑顔の静奈さんに追い出されました。

 たぶんフォンセのところに行ってるんじゃないかと思います。私と入れ違いに車に乗ったからそのままお屋敷でフォンセに愚痴るかお仕事のお手伝いをするかお父さんにおもちゃにされてることでしょう。


「そんなに緊張しなくてもいいよ」


 着いたという知らせを受けて迎えに行くとジュリアは見たことないくらいに緊張していた。


「無理よ! だって静奈様だけじゃなくエアル様もいらっしゃるんでしょう!?」

「うん? お二人とも楽しみにしてるよ」

「もうダメだわ。向日葵の君だけでも緊張でどうにかなりそうなのに白薔薇姫も一緒だなんて緊張で死ねる」

「え? ちょ、ジュリア!?」


 というか向日葵の君って! 白薔薇姫って! おふたりともそんな風に呼ばれてるの!?

 緊張でどこかおかしくなったジュリアを連れてなんとか玄関につくと待ちきれなかったお二人が出迎えてくれた。

 そしてジュリアは普段の強かさが嘘のようにガチガチになって挨拶していた。後から聞いたらなにも覚えてないって言うんじゃないかってくらいに。


「ジュリア、大丈夫?」

「ダイジョウブヨ」

「大丈夫じゃないよ、それ……」

「うふふふ、私もちゃんと伯爵令嬢だったんだって改めて思ったわ」


 もっとちゃんと社交の勉強しておくんだった。

 パーティーをサボったつけが今来てる感じよと乾いた笑みを漏らすジュリアになんとなく気持ちがわかってしまってポンポンと肩を叩く。

 小声で話していたにも関わらず、それを聞いていた静奈さんとエアルさんがにっこり笑顔で追い打ちをかけた。


「あら、いつものジュリアちゃんでいいのよ」

「そうですよ。今日は堅苦しいのは抜きです」

「で、ですが、」

「私たちからのお願い、ね?」

「は、はい」


 そう答えたもののそれができれば苦労はしないです。というジュリアの心の声が聞こえた気がした。

 それでも女同士、お話をしている間にどんどん打ち解けていく。

 盛り上がる話題はなぜか私のものばかりだけど。

 なにこの親ばか集団。というかジュリアはどうしてそんなに楽しそうに私の話してるの!?

 私を着せ替え人形にできるなんて羨ましいです! ってなにそれ。

 静奈さんとエアルさんも私と買い物に行けるなんて、あわよくば、好みの服装に誘導できるなんて羨ましい! って話題がおかしいことにどうして誰も気づかないの!?

 というか無言で羞恥に耐える私に誰か気づいてください!!


「そういえば、向日葵の君と白薔薇姫ってなんですか?」


 いよいよ耐えられなくなって話題転換にと思った言葉に静奈さんとエアルさんが笑顔で固まった。


「やだ! こんな若い子にまでそんな恥ずかしい呼び名が知られてるの!?」

「恥ずかしすぎます……」

「で、なんなんですか?」


 焦る静奈さんと遠い目をするエアルさんに仕返しとばかりにとってもいい笑顔を浮かべて聞いてみる。

 ジュリア、そんなに呆れた顔しないで。


 だって恥ずかしかったんだもん!

 すっごくすっごく恥ずかしかったんだもん!

 ジュリアの緊張がほぐれたのはいいことだけどね!


「あー、なんというか、ね?」

「そうですね。なんといいますか、ね?」

「向日葵は太陽の花って言われるでしょう? それで」

「いやぁああ! ジュリアちゃんやめて! というか私がアルセのものなんじゃなくてアルセが私のものなのよ!!!」

「あ、静奈さん……」

「ごちそうさまです」

「です」

「………。

 エアルだって公の場に出るたびにイヴェールが毎回自分のものだとばかりに白バ」

「きゃあああ! 静奈さんなに言ってるんですか! 瑠璃ちゃんとジュリアちゃんの前で!!」

「こうなったら道連れよ!!」

「ようするにおふたりともおじ様たちにとおっても愛されてるということですよね」

「瑠璃!」

「瑠璃ちゃん!!」


いや、さすがにこれ以上はなにも言いませんよ。私もおなか一杯なんで。


「そのうちあんただって妙なあだ名つけられるんだから!」

「そうですよ。恥ずかしい呼び名がつけられちゃうんですからね!」

「え、ちょ、静奈さん? エアルさん?」

「ふふふ、そうよ! 社交に出れば一発で妙なあだ名がつけられるわ!!」

「次回のパーティー出てみますか??」

「え、遠慮します。ごめんなさい」

「あら、瑠璃だってもうお姫様って呼ばれてるじゃない」

「……。ジュリアさん、」


今このタイミングでそれをいいますか。

見事に食いついた静奈さんとエアルさんによって学校での私とフォンセ、グレンの様子が事細かに報告されてしまい、お二人は興奮したりダメだししたり、呆れたりととても忙しそうだった。


ジュリアもどうしてそんなに楽しそうなの?

また私だけアウェイですか。




浴衣を選ばせるつもりが…。

何故こうなった!?


きっと次回は浴衣の話になります!たぶん!きっと!!


では、今回もお付き合いくださりありがとうございましたー!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ