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夜闇に咲く花  作者: のどか
藤の翁編
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第27話


 いつも通りエアルさんに見送られてフォンセ達と一緒に学校に行く。

 笑顔のエアルさんに昨日のお茶会を思い出してしまって笑みが引きつるのは仕方がないことだと思う。

 瞳を輝かせて期待に満ちた目で詰め寄ってくるエアルさんと静奈さんは最強だ。

 根掘り葉掘り聞いておいて、つまんなぁい! と拗ねるのはやめてほしい。

 私たちはただの幼馴染です。マンガやドラマみたいな展開期待しないでください。

 というか尾行しようと思ったのにおじ様とアルセさんに止められたからって!

 おじ様たちが止めなかったらこっそりついてくるつもりだったんですか!?

 これならまだお父さんの相手(おもちゃ)になったほうが……。


「あれ? そう言えば二人とも元気……?」

「お前は龍をなんだと思ってんだよ」


 呆れ顔のグレンにだってお父さん楽しくなっちゃうと止まらないからというと口元を引きつらせた。


「……学校があってよかったな」


 ボソリと呟いたフォンセにグレンが全力で首を振る。どうやら学校があるからという理由でスイッチが完全に入りきる前に終わったらしい。

 いつものように喋っている間に学校に着いていつものようにフォンセとグレンのファン(主に女の子)にキャーキャー言われながら教室に向かう。……はずだった。


「妹ちゃん、おはよー!」

「姐さん! おはようございますっ!!」

「Aグループの馬鹿共潰したってマジ?」

「ちちち、お菓子あるよ。こっちおいでー。怖くないよー」



 バタン。



 無言で車のドアを閉めた私は悪くないと思います。

 グレン! ドンドンしないで! !降りないから! 絶対に降りないから!!

 フォンセの睨みにも屈しない人たちの中に自分からノコノコ行くとか絶対しないからね!!

 というか最後の明らかに可笑しいよね! 犬猫にする仕草だよね!! お菓子で餌付け!?


「瑠璃、大丈夫だから出てらっしゃい」

「ジュリア!!」


 ぎゅうう!!


 いつもと反対ですが、私から抱きつきました。って苦しい! 絞まってる! 絞まってるよ! ジュリアさん!!


「もう、可愛いんだからっ! お二人が壁になってくださってる間に行きましょう」


 ニッコリ笑うジュリアは強かった。

 本当に群がる人たちを牽制してくれている二人を壁扱いして私の手を引いてスタスタと歩く。え、マジで? 嘘だろ!? というグレンの声も鋭いフォンセの視線も綺麗にスルー。

 強すぎると思う。


「おはよう瑠璃、実は子猫の皮をかぶったトラだったんだね。

 あ、雌豹の方がいい?」

「瑠璃になら狩られたい……!」

「キメェ。つかマジで狩られるぞ。お二人に」

「それは勘弁ってジュリア、なんで剣抜いてんの? 何で俺に向けてんの? ぎゃあああ!」


 教室のドアを開けた途端これです。今日もうちのクラスはマイペース。

 とりあえず教室で抜刀するのはやめようか。ジュリア。

 ジュリアが可笑しなことを言いだした男子をフルボッコにし終わったところで先生が来た。

 目にした光景にヒクリと頬を引きつらせて見なかったことにした先生が、いつも通り適当に連絡事項を告げて1日がはじまる。

 最近本当にジュリアが強すぎる気がするんだけど、私だけ?

 いやそんなことはないはずだ。先生も顔色悪いもの。ジュリアを見る目に怯えが混ざってるもの。

 そのまま何事もなく座学の授業を終えてお昼休みを迎える。


「あー疲れた!」

「ジュリアはほとんど寝てたじゃん」

「バレた?」


 その癖あてられたらスラスラ答えるんだから本当にズルイと思う。

 私なんてこっちの歴史とか国語とかかろうじてついていってるレベルなのに。

 あぁ、テストが怖い……! 赤点だけは阻止せねば!!


「瑠璃?」

「なんでもない。そうだ! これ、お出かけだけだとご褒美にならない気がして」


 差し出したのはフォンセたちにもあげたクッキー。ラッピングは可愛くなるように工夫した。


「っ、」

「ジュリア?」

「いいの?」

「うん! その為に焼いたんだもん」

「瑠璃の手作り、だと……!!」

「味も大丈夫だと思うよ。みんな美味しいって言ってくれたし。社交辞令だったら泣く」

「ふふ、大丈夫よ。たとえ砂糖と塩を間違えても笑顔で食べきるわ!!」

「いや、無理はしなくていいよ? というか普通にクッキーの味したし」


 苦笑いしながら美味しい美味しいと食べるジュリアを眺める。

 本当に美味しそうに食べてくれるから作ったかいがあって嬉しい。


「瑠璃」

「どうしたの?」

「結婚しよう。絶対幸せにするから」

「キリッとした顔で何を言うのかと思ったら」

「だって、美味しいんだもん!! お嫁においでよー」

「クッキーくらいいつでも作ってあげるよ」

「マジで!?」

「じゃあ、次はいんちょの分だけじゃなくてクラス分で」

「き、機会があれば」

「よっしゃ!!! 聞いたか野郎ども!」

「「「「おおおお!!!」」」」


 勝手に盛り上がりだしたクラスに笑みが引きつる。

 特殊科は少数クラスでうちのクラスは十二人だから、多目に焼いて袋分けしなければなんとかなる……?


「放課後は私とデートしようね」


 きゃいきゃい騒ぐクラスメイトたちを見ないふりしてニッコリ笑うジュリアの中では、どうやら放課後デートは決定らしい。

 フォンセたちには連絡しとけばいいだろう。



フォンセたちの扱いが雑すぎるw


今回もお付き合いくださりありがとうございました。

次回はジュリア嬢とのデート(の予定)。


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