第11話
お気に入り登録ありがとうございます!!
私の無知さ加減に(お父さんの説明不足加減ともいう)二人が頭を抱えている間に学校についた。
……これは学校と呼んでもいいのかな。侯爵家のお屋敷を見た時も思ったけど、これはもう城だと思う。侯爵家を上回るレベルで城だと思う。
車で登校する意味がよーくわかった。門から校舎までの距離が普通じゃない。
校舎の近くまでくると歩いている生徒も見かけるけれど、それは寮生で決して徒歩や自転車、公共機関を利用しての通学者ではない。
もともと寄宿舎学校だったこの学校は学校の敷地内、校舎から程遠くないところに寮がある。
全寮制が廃止された今でも遠方や国外からの進学を望む生徒のために寮は運営されている。
彼らはそこから学校に通っている生徒たちだ。
それよりも。
どうして窓の向こう側に芸能人の出待ちみたいな集団が見えるの?
私の目が可笑しくなったの? ココって学校だよね? テレビ局とかロケ現場とかじゃないよね?
なにこれ怖い。
「あー、大丈夫だよ瑠璃。いつものことだから」
苦笑いのグレン曰くこの光景はいつものことらしい。どういうことだ。
「うぜぇ」
「そう言うなって。お前は目立つんだから仕方ないだろ?」
「お前が愛想振りまくからだろ」
顔を顰めるフォンセ。
なんとなくそうかなとは思っていたけれど、やっぱりこの騒ぎの原因は二人らしい。
そりゃそうだ。集まった人はほとんどが女の子だし。ちらほらとふたりの名前が聞こえるし。
エアルさんに参加させてもらったパーティーでも思ったけどこの二人はモテる。
もういっそモデルか何かになったらいいんじゃないかな。
芸能人と扱い変わらないし。二人なら余裕でやっていけると思う。
「瑠璃ー? 帰って来い。降りるぞ」
「……えっと?」
「お手をどうぞ。お姫様」
妙なところにトリップしていた私の思考を呼びもどして、手を差し出しながらサラリと恥ずかしいことをいうグレン。
こういうところは本当にアルセさんの血だと思う。
というかどうしてフォンセまで手を差し出してるの?
その手をとれって? その手をとって二人に車から降ろしてもらえって?
なにその羞恥プレイ。
というかこの人盛りが二人の取り巻き(仮)なの分かってるくせになんのイジメですか!
そう思いながらも差し出された手をとってしまう私は馬鹿なのかもしれない。
でもしかたないよね、これは。うん、しかたないよ。
グレンの瞳がこれでもかってくらいに期待に輝いてるんだもの。
フォンセの目がさっさとしろって急かすんだもの。
つまり私に拒否権なんてないんです。
予想通り車を降りた瞬間、劈くような悲鳴が上がる。
とっさにフォンセを盾にした私は悪くない。と思いたい。だって怖い。
私に盾にされたフォンセが不機嫌そうに声を発した。
「うるせぇ」
ざわついていた人たちがピタリと静まり返る。その反応に顔を引きつらせた私に気付くことなく、フォンセは私の手を引いて歩きだした。
打ち合わせでもしてるんじゃないかってくらいに綺麗に開けられた道をフォンセ迷いなく進んでいく。
じろじろと向けられる視線は怖いし鬱陶しいけど、繋がれた手になんとなく安心して、なんとなく守られてるような気さえした。
……この間からなんか変だ。久しぶりに会った、それもほとんど覚えてない相手に安心感を覚えるなんて、私、どうしたんだろう。
そんなことを思っていると置いてきぼりにされていたグレンが慌てて駆け寄ってくる。
「この子、俺たちのお姫様だから手をださないでね」
もう片方の手をするりと掴んでにっこりと笑ったグレンに顔が引きつる。
フォンセが否定してくれるのを期待したけど、呆れた顔でグレンを見ただけで何も言ってくれなかった。
嘘でしょ!? どういうことよ!! とざわめく人たちに一言。
それ、私のセリフです。
何がどうしてこうなった!?
どことなくご機嫌な二人に手を引かれる私は、守ってもらってるみたいな安心感から連行されている宇宙人の気持ちに早変わりした。
これからの学校生活がものすごく不安です。
お父さん、やっぱり私、普通の学校がいいです。
今からでも転校できたりしませんか。
オフがドタバタしてまして、落ち着くまで更新が今以上に遅くなります。
申し訳ないです。