第102話
改めて王女殿下が強烈な方だと認識した帰り道。ぶすくれてるフォンセとグレンとは裏腹にお父さんは底意地の悪い顔で二人にチクチクしていました。
ちなみにグレンのトドメは君のダメっぷりはしっかり静奈に報告しておいてあげるだったと思います。魂の抜けたグレンを送るためにお父さんが車に残って私とフォンセは侯爵家で降りる。
「……悪かったな」
フォンセがぽつりと呟く。
私は目を瞬いて首を振る。
「フォンセたちはちゃんと守ってくれたよ!
それに、行かないでくれてなんか嬉しかったし……」
「……そうか」
「うん!だから大丈夫」
なんとなく、本当になんとなく腕に抱き着くとフォンセはビックリしたみたいに目を瞬いたけど、私の好きにさせてくれるらしくて私のペースに合わせてゆっくり歩いてくれました。
「まぁ! まぁ!! ……イヴェールさん!」
そのままお屋敷に入るとエアルさんが目を輝かせました。
なんだかちょっと怖い。
満面の笑みでバックに花が咲き乱れているエアルさんに呼ばれたおじ様は私とフォンセを見てパチリと目を瞬いた。
「なんだ、くっついたのか。お前ら」
「??」
意味が分からなくて首を傾げると苦笑いが返ってくる。
「チビ、お前は悪い女だな。振り回すのはこいつだけにしとけよ?」
「おじ様?」
「そう言う訳で勘違いだ。エアル」
その言葉にエアルさんはしゅんと萎れてから恨めしそうにフォンセを睨みつける。
「龍哉はどうした?」
「魂の抜けたグレンを送ってます。
そしてたぶんダメっぷりを静奈さんに報告してます」
「そうか」
おじ様はクツクツ笑って私の頭をくしゃくしゃと撫でました。
「フォンセもグレンくんもちょっとイヴェールさんとアルセさんに女性の扱い方を学んだ方がいいかもしれませんね。
お二人とも無駄に経験豊富ですし」
「おい」
困り顔で爆弾を落としたエアルさんにイヴェールさんが半眼になる。
それしきのことで動じないというか気づいてさえないかもしれないエアルさんはお母さんは心配ですと真剣な顔だ。
私はそっとフォンセの腕を解放してじっとフォンセを見つめた。
女性の扱い方ってどういうことだろう。
口説き方的な? それはなんか嫌だな。モヤっとする。
「必要ない」
キッパリ言い切ったフォンセに安心してまた腕に抱き着く。
ぽんぽんと頭を撫でられた。
「……これで付き合ってないんですか?」
「無自覚って恐ろしいな」
コソコソとおじ様たちが何か言っているけど、とりあえずフォンセが誰か女の子を口説くことはなさそうだと安心する。
あれ? なんで安心??
「瑠璃?」
「なんでもない!」
とりあえずフォンセの側は安心するから当分彼女は作らないでほしい。
なんてひどい願いを胸の中でこっそり呟いた。