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夜闇に咲く花  作者: のどか
サン・リリエール祭編
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第99話

沢山のブクマと評価ありがとうございます!!

とっても嬉しいです。

マイペース更新ですが、お付き合いいただけたら幸いです。

今回のお話も楽しんで頂けますように。

 翌日から早速練習が始まり、私とジュリアは鬼ごっこで獲得した授業免除を有効に利用させられていた。


「もう一回」


 意外とお父さんより隼人先生の方が厳しかったりします。

 和語の授業もっとゆるいじゃん。どうしたの先生?

 そう思ってるのは私だけじゃなくてジュリアもだ。

 休憩時間にコソコソしゃべってるとお父さんがニヤリと意地悪く笑って答えを教えてくれた。


「僕と仕事ができるから嬉しいんだよ」


 サラリと言ったお父さんの言葉に隼人先生がピシリと固まる。

 そして真っ赤になって全力で否定した。


「そそそんなわけあるか!馬鹿じゃねぇの!!」

「昔からそうだよね。君。

 どんなに文句言っても僕とつるんでた」

「それはお前が面倒に巻き込むからだろうが!!」


 ニヤニヤと笑いながら隼人先生をからかい倒すお父さんと必死に交戦する隼人先生にほっこりします。本当に仲いいなぁ。


「隼人先生って実はお父さんのこと大好きですよね」

「私もそう思うわ」

「な!? お前らまで気持ち悪いこと言うんじゃねぇよ!!!」

「事実でしょ」

「お前のその自信はどこから来るんだよ!!!」


 なんだかんだ楽しく練習してます。

 そして当たり前のようにフォンセやグレン、エル先輩たちが覗きに来たりします。

 確かに先輩たちも鬼ごっこで生き残ってたし、授業免除で本当に遊んでても大丈夫な人たちだけど。


「暇なんですか」


 今日も今日とて差し入れを持ってきてくれたレオ先輩にお礼を言っていると、隣でジュリアが真顔でエル先輩に尋ねていた。


「ものすごく忙しい!今は特に聖リリエール祭の準備でてんてこ舞いだよ」

「全然見えないです」


 即答したジュリアにレオ先輩が微苦笑を零す。


「忙しいのは本当だ」

「俺たち監督生だからねー。でも息抜きって大事でしょ?」

「先輩はずーっと息抜き状態だと思います」


 バッサリ切って捨てたジュリアにエル先輩はジュリア姫厳しい!! なんて泣きまねしている。もちろんジュリアは凍えた瞳でそれを見ていた。


「でもまぁ、今回は息抜きだけで来たんじゃないんだよ。ね! レオちゃん」


 復活したエル先輩はどことなく困ったように私たちを見ている。

 話を振られたレオ先輩も同じような顔をしているから、何かあったのかと目を瞬いているとレオ先輩が言いにくそうに口を開いた。


「なんというか……避難、だな」

「グレンツェンが色ボケして使い物になんなくてさー。

 フォンセがそろそろプッツンいきそうなんだよねー。

 ホントは近くで見物してたかったんだけど巻き込まれたら面倒くさいから絶対安全なお姫様たちのところに避難してきたってわけ」

「グレンがご迷惑をお掛けして申し訳ありません!!」


 思わず頭を下げた私の隣でジュリアが遠い目をしてるのはしょうがないと思う。

 ここ数日でフォンセがグレンのリードを何度引っ張ったか知れない。

 頼んでおいてよかったと心から思う。

 だってすぐにジュリアに近づいて甘ったるい空気をまき散らすんだもん。

 それだけならまだしも、フリーズするジュリアへのボディータッチは認めません。

 何故そこで髪にキスしようとする!!どうして、手を握る!!というか全体的に近い!!!ハウス!!そう叫ばなかった私を誰か褒めてほしい。まぁ、当然のようにフォンセがグレンを物理的に黙らせて回収していってくれたおかげなんだけども。

 でもまぁ、グレンの本気は私たちには伝わってるよ。

 ジュリアはイマイチわかってない気がするけど。


「まぁ、そう言うわけだ。瑠璃。頼んだぞ」

「いやいやどういう訳ですか!?

 私じゃグレンの躾はできません!静奈さんに頼まないと」

「あの人なら喜んで息子グレンで遊びそうだけどね」

「お父さん!」


 急に割り込んできた声に振り返ると鋭い目で先輩たちを睨みつけるお父さんがいました。

 先輩たちはここ数日で慣れたようで微苦笑で応対してます。


「もうすぐ休憩終わるよ」

「お前なぁ。瑠璃むすめに近づく男は全部敵とばかりに威嚇するなよ……。

 これじゃどっちが大人か分かったもんじゃね……ぐはっ!!!」


 さっさと帰れと先輩たちを追い出しにかかったお父さんに呆れて声をかけた隼人先生の声は途中で途切れました。合掌。思っても口にしたらダメだよ。

 顔を引きつらせた先輩たちが帰っていくのを見送って私は何かを考え込んでいるジュリアの手を握る。


「大丈夫だよ。ジュリア」

「瑠璃」

「グレンのことは大型犬だとでも思ってればいいよ。

 フォンセがリード握ってるし、ジュリアが嫌がることは絶対にさせないから!」

「ありがとう」


 困ったように笑ったジュリアに首を傾げると頭の上からため息が零れた。


「悪いね、まだまだ子供で」


呆れたようなお父さんの言葉にジュリアは横に首を振る。


「困ったらいつでも言ってくれていいから。

 でもまぁ、本気で困らないうちはあの馬鹿が周りをうろつくのを許してやってくれるとありがたいかな」


 ぽんぽんとジュリアの頭を撫でて背を向けたお父さんに隼人先生が真っ青な顔で続く。

 その口はあの龍哉が父親してるだなんて……。と動いていた。

 先生、いつまでそのネタ続けるの?



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