第1話
またしても突発的にはじめてしまいました。
完全な俺得・自己満(むしろ自己満足もできない)小説ですが、お付き合いくだされば嬉しいです。
それではどうぞ♪
私の世界はお父さんを中心にまわっている。
物心ついた頃にはもう孤児院で生活していた私を見つけて引き取ってくれたのがお父さんだった。
孤児院での生活はあまり覚えていないけど、お父さんが私に手を差しのべてくれた時のことは覚えている。
孤児院にいられなくなって途方に暮れていた私にお父さんが「一緒に来るかい?」って大きな手を差し出してくれた。差し出された手を握りしめて泣きじゃくる私を抱き上げて温かな今の家に連れて帰ってくれた。
その時からお父さんは私の神様で一番大事で大好きな人。
でも、でもね、これはちょっと可笑しいと思うんだ。
「ねぇ、お父さん。私、明日もまだ学校あるんだけど。
というか明日終業式で春休みは明後日からなんだけど」
じとりと睨んでみてもお父さんはどこ吹く風で知らんぷり。
ちなみに私は校門で待ちかまえていたお父さんに拉致られて現在、飛行機の中です。
こういう人だって知ってたけどね! 横暴でも我がままでもGoing my way! でも大好きだけどね!
だけどせめてあと一日待ってくれてもいいと思うんだ。そしたら春休みだし、心おきなくお父さんに付き合えるし文句だって言わないよ。というか飛行機に乗らなきゃいけない距離の移動なら事前に一言あってもいいと思うんだ。
そういうわけで、お父さん、ちょっとくらい説明してくれてもいいんじゃないですか!?
「……はぁ、学校の心配ならいらないよ。今日からあの人たちのところに住むからね」
私の睨みに根負けしたお父さんがまたひとつ爆弾を投下した。
今この人、なんて言った? 学校の心配がいらない? あの人たちのところに住む? しかも今日から!?
「ちょ、ま、なに言っちゃってんの!?
私、スクールバックしか持ってないんだけど!
引越しの用意なんて全くしてないんだけど! ていうか今日から!?」
「煩い。騒ぐな」
騒ぎたくもなるわ!! ぼーっとしてた私も悪いけど、飛行機にまで乗ってどこまで行くんだろうとか思っただけで行き先確認しなかった私も悪いけど! でもこの場合可笑しいのは私じゃなくてお父さんだよね!?
しかも、いきなり引っ越しってナニゴト!?
今日からあの人たちのところに住むよ。ってあの人たちってあの人たちでしょ? お父さんの上司でモルゲンデンメルング、通称黎明の国のお屋敷(むしろ城)に住んでらっしゃる侯爵さまで、強面だけど私のことチビとしか呼んでくれないけど、でも優しいおじ様とそのご家族のことでしょ?
それともやっぱりおじ様やお父さんと一緒にお仕事してて、いつもいろんな国のお土産をくれるアルセさんの方? 自称兄貴なアルセさんと一緒に住むの?
どっちにしてもこんな姿(制服)で会いに行くのも失礼な気がするんですけど。いやでも制服は一応正装だからいいのかな。じゃなくて! いきなり手ぶらでお世話になりまーす! なんて許される訳ないっ!! お二人とも呆れた顔で受け入れてくれそうだけどそういう問題じゃない。
お父さんがぶっ飛んでるのは知ってたけど、せめてもうすこし常識の範疇で動いて欲しいです。
もう驚きすぎて意味がわからないよ。私。
「……心配しなくていい。日用品は揃えてくれるっていってたし、必要なものはまた取りに帰ればいい。
まだ時間がかかる。少しお休み」
「うん」
大きな手で視界を遮って優しくそう囁かれれば、どうでもよくなってしまう。
お父さんが心配しなくていいっていうのなら大丈夫だろうなんて思って、瞼が重くなる私も相当なものだろう。
それでも、隣でクスリと笑う声がしてお休みなんて言われてしまえば私はもう考えることを放棄して夢の世界へ旅立つしかないのです。
「お休み、瑠璃。よい夢を」
お父さんの声に包まれて見た夢はなんだかとっても懐かしい、これからの生活を予感させるようなものだった気がした。