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第一話 二番目の部屋

 ハートリペア村にある温度屋の美鳥(みどり) さんは働き者です。

 朝早くからお店の前を箒で念入りに掃きます。すっかり色づいた落ち葉で、道路はまるで錦帯のようです。綺麗なのは良いけれど、やっぱり歩くところは掃いておかなくちゃね。歩きにくいですから。

 シャッ シャッ シャッ シャッ

 ツインテールに結んだ黒髪は、ものすごい癖っ毛で、右側は時計回りに渦巻いているし、左側は反時計回りに渦巻いています。美鳥さんが鼻歌交じりに箒を動かすたびに、両方の髪がバネのように踊ります。

「美鳥さん、おはようございますっ」

 声を掛けられて振り向くと、そこにはシロと薄茶色のぶちウサギが立っていました。ウサギと言ってもそんなに小さくないんですよ? 人間で言うなら小学校低学年くらいの身長です。もふもふの手には、葉付きニンジンの束をどっさり抱えています。恐らく畑で収穫してきたのでしょう。

「おはよう、タロさん。立派なニンジンねぇ」

「そうでしょう? これでね、ジュースとサラダとグラッセを作る予定なんです。後で美鳥さんも食べに来ませんか?」

「そうね、開店準備が整ったら伺うわ」

 タロさんは、にっこり笑って隣の『ウサギ食堂』と看板がかかった店の中へ入って行きました。


 美鳥さん、外回りの掃除が終わったようです。それでは温度屋の中をご案内しましょうか。


 温度屋の紺色ののれんをくぐると、まず番台があります。左手にロッカーがあるので、履物はそこで脱いでくださいね。一階の最奥の引戸をがらりと開けると、そこには池みたいに大きな露天風呂があります。これは無料で、誰でも入ることができるんですよ?

 露天風呂の脇に源泉があって、いつでもお湯がこんこんと湧いているんです。ただ、ここの温泉、曲者なんです。日によって泉質ががらっと変わってしまうんです。白く濁っている時もあれは、透明な時もあるし、血のように真っ赤な時もあるし、泥みたいな時もあります。とっても気まぐれなんです。だから前回、お肌がすべすべになったからと言って、今回それを期待してもダメなんです。今日は神経痛が治るのかもしれませんし、筋肉痛になるのかもしれませんし、体が鰻みたいににゅるにゅるになるのかもしれません。当然、何の効果もない場合だってあるんです。そんなですから、とてもお客様から料金をいただく訳にはいかないんです。

 温度屋の仕事場は、二階にあります。二階には五つの部屋があって、それぞれ頑丈な木のドアに真鍮のプレートがかかっています。一~五までの数字を書いただけの簡単なプレートですけどね。

 美鳥さんは、それぞれの部屋のドアを全部開けっ放しにして箒で掃くと、雑巾で念入りに拭き清めていきます。毎日やるんですよ? 清潔第一ですからね。

 全部拭き終わると、部屋の奥に付いているダクトを開きます。このダクトは、どの部屋にも付いているんですが、それぞれの部屋で温度が違います。開いたダクトの前に手をかざすことしばし、出てきた風を確認して頷くと、美鳥さんは部屋のドアを一つ一つきっちり閉めていきました。

「ふぅ 準備完了~。さぁタロさんのところで、ニンジンジュースでもいただいてこよう」

 美鳥さんは、少し汗ばんだ額を腕で押えながら、にっこりほほ笑みました。


■□■


 私は霧の中に立っていた。どこもかしこも真っ白で、自分の足元さえ見えない。まるで霧の川の中に居るみたい。くるぶしで堰き止められた霧が、くるくると渦を巻いて流れていく。どこかでカラカラと風車が回っているような音がした。ひどく寂しくて虚しい、その乾いた音。

 ――ここはどこ?

 確認しようにも、三十センチ先さえよく見えない。仕方なく、つま先に神経を集中しながら、そろそろと歩く。

 ――とにかく、このひどい霧から出なきゃ何も分からないわね。

 しばらく手探りで歩いていると、霧の中に、小さな村の門が忽然と現れた。門の向う側は、まるで結界でも張っているかのように霧がはれている。

 ――変なの。

 門の向う側には、たくさんのお店が軒を連ねているのが見える。私は、少しほっとして門をくぐった。

 門の中にある店は、どれもこれもヘンテコだった。何のお店かは分からないけれど、洋風なお店、和風なお店、誰が入れるの? と疑問に思うくらい小さなドアしかないお店、ドアも窓も全部真っ黒で怪しげなお店、様々だ。店先のワゴンに積まれている商品に目をやるが、何に使うのか分からない奇妙なものばかり。

 ――なぁに? ここ。

「ハートリペア村へようこそ」

 商店街の中ほどにある、インフォメーションコーナーに立っていたツキノワグマの着ぐるみを来た人に、マップを渡された。

「ハートリペア村?」

「お客さん、ここは初めてですね?」

 背の高い人が中に入っているようなのに、随分人懐っこそうな男の子の声だ。私は思わずほほ笑んだ。

「初めてよ。ここはハートリペア村と言うの?」

「はい。ここは心を修理するお店が集まった村なんですよ? ここへ来るお客様は、大抵の場合心が故障してる方なんです。お客さんもそうなんでしょ?」

 ――心が故障……。

 一瞬たじろいで、私は、小さく肩を竦めて苦笑した。

 ――あぁ、なんて私にぴったりな言葉なんだろう。そうだわ。私は、心が故障しているのに違いない。

「初めてのお客様には、まず温度屋へ行くことをおススメしています」

 物思いに沈んでいた私は、ハッとしてクマを見る。

 ――温度屋?

「そこですよ。ほら、温度屋の看板がココからでも見えます」

 クマが指さした方を見ると、竹垣に囲まれた古民家風のお店があった。

「温度屋……変な店名ね。まさか温度を売ってる訳じゃないわよね?」

「行けば分かりますよ。温度屋の美鳥さんは、とっても優しくていい人ですから何も心配いりませんよ? 三日月クマの紹介だって言ったら、サービスしてくれますからね」

 三日月クマの言葉に背中を押されて、私は温度屋へ歩き出した。


 敦也を失ったのは、二カ月前のことだ。結婚して五年目。ようやく授かった男の子は、生まれつき体の弱い子だった。彼の為に良いと言われたことは全部やった。言葉が遅くたって、歩きはじめるのが遅くたって、そんなことは、どうでも良かった。敦也さえ生きていてくれたら、それで良かった。なのに……神様は意地悪だ。まだ三つだったのに。

 再び、あのカラカラと寂しくて虚しい音が聞こえた。

 ――この音、もしかして、私の胸の奥からしてる?


「いらっしゃいませ。温度屋へようこそ」

 紺染めののれんをくぐると、古柄(いにしえがら) の浴衣をしっとりと着こなした女が、にこやかに声をかけてきた。ツインテールに結んだ黒い髪は、ものすごい癖っ毛で、右側は時計回りに渦巻いているし、左側は反時計回りに渦巻いていて、彼女が顔を動かすたびに、びょーんびょょょんとバネのように揺れる。

「あの……三日月クマさんからの紹介で……」

「お待ちしておりました。靴を脱いでボックスに入れてから、奥へお進みくださいね」

 私は女に勧められるまま靴を脱いで上がり、飴色に磨きこまれた板の間をスルスルと進んだ。赤い緋毛せんが敷かれた台に座るように勧められて、腰を下ろすと、オレンジ色のジュースが運ばれてきた。

「これサービスのニンジンジュースです」

 木のトレイに乗せられたジュースからは、とても瑞々しい香りが漂っている。

「あ、ありがとう」

「それを召し上がられたら、二階へご案内致しますね。お客様のお部屋は、二階の二番のお部屋になります」

「え? 部屋? 私、すぐに家に帰るつもりなんです。本当は、道に迷ってこの村に来ただけで……。私、主人に何も言わずに出てきたみたいだし。……というか、ここは宿屋なんですか?」

 困惑したまま辺りをきょときょと見回す。他に客がいる気配は無い。

「ここは温度屋です。宿屋ではありませんよ? お客様の心を適正な温度にするのが、この店の提供するサービスなんです。お客様の心の温度は、少し低くなりすぎているようです。温めるタイプの二番のお部屋が最適だと判断致しましたので」

 にっこりほほ笑む女には、躊躇いがなかった。

「あの……どうして私の心の温度が低いと思うんですか?」

 私は、少し顔を引きつらせながら問いかける。

 ――だって、私、今来たばかりよ? しかも、こんな風に幸せそうに笑ってる人に、私の何が分かるって言うの?

「自分の不幸など誰にも分からない……そうお思いですか?」

「わ、私、そんなこと一言も……」

 私はたじろいだ。

 ――私、そんなこと一言もしゃべってないのに……。

「確かに、私は、あなたの不幸がどんなものか分かりません。でも心の温度はすぐに分かるんですよ? 心の温度が低いと、心は熱を集めようと周りから熱を奪ってしまいます。そうすると奪われた周囲の心もまた、冷えてしまうのです。結果、互いに熱を奪いあうようになってしまい、冷えの悪循環が生じます。思い当ることはございませんか?」

「……熱を奪ってる? 私が?」

「さぁ、どうぞお飲みなさいな。タロさんのニンジンジュースは、無添加で滋養豊富なんですよ? 体に良い食べ物は心にも効きます。さ、どうぞ」

 呆然とする私に、女はにっこり笑んで、ニンジンジュースを勧めた。その美しい笑顔に私は釘づけになり、そして、そうしないといけないような気がしてジュースに口をつけた。女の言葉通り、ジュースは瑞々しくて、ふうわりと甘く滋養のある味がした。

「さぁ、どうぞ奥へ」

 柔らかな、でも有無を言わさぬ声に押されて、私は呆然としたまま二階へ進んだ。


 ドアを開けた途端、ぶわっと暖かな空気に包みこまれた。

 部屋の中に入ったつもりだったのに、辺り一面、どこまでも続く黄色い光の渦。

 ここは外じゃない?

 ――菜の花? 菜の花! いちめん菜の花!

 河原に広がる菜の花の向こうで、夫が手を振った。

『万理! こっちを向いてごらん』

 シャッターを押す音がする。

 赤ちゃんを授かったと分かった日、夫はそれはそれは喜んでくれた。お祝いに和食の美味しいお店に連れて行ってくれて、帰りに、河原一面に咲き誇る菜の花を、一緒に見た。いつも忙しくて、こんな所にしか連れて来れなくてごめん、そう謝る夫に首を振った。実際、そんなことなどちっとも気にしてなかった。そんなことが気にならないくらい、夫は私に優しかった。

 その日は、結婚して一番幸せな日だった。

 これからは、夫と子どもと私、一緒に笑ったり怒ったり悲しんだり喜んだりしながら、絆をもっともっと強くしていくんだって……信じてた。


 ――何を、どこで、間違えてしまったんだろう?


 気づいたら、夫は家に寄りつかなくなっていた。先日、夫が女の人と二人で楽しそうに食事をしている所を見たと、知人が教えてくれた。

 浮気じゃない?

 知人は、興味津津な様子でそう報告した。

 心の温度が一気に下がったのは、あの時だったかもしれない。敦也の具合は良くなる兆しもなく、私の心は、それからずっと冷えきったままだった。

 ――私は敦也のことで手がいっぱいなの。どうして分かってくれないの?

 あれ以降、私は冷たい言葉しか夫にかけていなかったかもしれない。あるいは棘のような痛みのある言葉を……。

 ――私が、夫から温かさを奪い取っていた?

 確かに、敦也にかけた時間の分、夫にかける時間は目減りした。夫は温かい場所を求めていて、それを外で見つけてしまったのだろう。

 ――私が悪いの? 私が間違っていたの?

 涙が溢れた。

 突然、胸の奥に真っ赤に焼けた炭を押しこまれたように熱くなって、そのせいで溢れ出た熱い涙が、頬を焼いていく。体は冷えきっているのに、心が痛いほどに熱くて、熱病に罹っているかのように体が震えた。


 フワリと温かいものに覆われて、ふと気がつくと、夫が私を見下ろしていた。未だに納骨できずにいる敦也のお骨の前で眠り込んでいた私に、毛布を掛けてくれたらしい。

「いつまでそうやって泣いているつもりだ」

 不機嫌そうな声。

 いつからだろうか? 夫がこんな険しい声しか出さなくなったのは……。

 私は手で頬を拭いながら起きあがった。

「正也……さん」

「寝るんならベッドで寝ろ。風邪でも引かれたら迷惑だ」

「正也さん、お話があるの。今、いい?」

「なんだ? またすぐに出かけるんだ。込み入った話なら、またにしてくれないか?」

 私は怯んだ。

 ――でも、言わなきゃ。伝えなきゃ。熱を奪って、冷えきらせてしまったお詫びに……。

 胸に押し込まれた熱が、私の背中を押す。

「今、話しておきたいの」

 私の勢いに、逆に正也さんが怯んだ気がした。

「私、敦也のことで頭がいっぱいになってて、正也さんに寂しい思いをさせちゃったんだよね? だから、正也さんが他に好きな人できても文句言えないって、分かってる。正也さんが望むなら、私、離婚してもいいよ。だから、その人と……幸せに……なっ」

 最後まで笑顔で言おうと思っていたのに、熱い涙が再び頬をつたう。

「……おまえこそ、他に誰か好きな奴ができたんじゃないのか? だから俺と別れたいんじゃないのか?」

 思いもしていなかった言葉に戸惑う。

「ちがう、そんな人いないっ。私は……正也さんが、女の人と外で会ってたって知り合いから聞いて、それで……」

 正也さんは、私の言葉に僅かに眉を顰めると、

「万理、悪いがもう時間が無い。君も出かける支度をしなさい。俺も君に話しておきたいことがある」

 そう言い置くと、正也さんは自室に行ってしまった。

「え?」

 ――出かける支度?


 車に乗せられて連れて行かれたところは、ビルの一室にある会計事務所だった。

「……ここは?」

「所長! 遅いですよぉ」

 中に入ると、綺麗で、いかにも仕事ができる感じの女性が、待ちかねたように夫に駆け寄った。が、私を見て小さく首を傾げる。

 ――所長? この人は正也さんの事をそう呼んだの?

「遅くなってすまない。中川さん、これは妻の万理だ。話が終わるまで俺の部屋で待たせておいてくれ」

 そう言い残すと、正也さんは慌ただしく奥の部屋へ入って行った。

 ――何? どういうことなの?

 夫はサラリーマンのはずだ。大手証券会社の課長だったはずで……。

「すみません奥様、こちらで少しお待ちくださいね。急なお客さまだったもので、私も慌ててしまって……。私、お客様のお茶を入れ替えてきますね。奥様にも後で、お茶、お持ちします」

「あ、あの、お構いなく」

 一人残された部屋を見回す。書類が山積みになったデスク、開きっぱなしになったノートパソコン、その横には、写真立ての中で菜の花に囲まれた私が微笑んでいた。

 お茶を運んでくれた中川さんから、夫が、一年前に会計事務所を開いていたことを知らされた。

「大きな組織の中で働いていると、どうしても家庭がおろそかになってしまうから事務所を開いたんだって所長おっしゃっていましたよ? それを聞いた時、正直、奥様が羨ましかったですよ。でも、こんなに忙しくなるなんて想定外だーって、今はいつもぼやいてますけどね」

 そう中川さんは悪戯っぽく笑ってから続けた。

「今日はご一緒に外食ですか? 羨ましいです」

 中川さんは見かけよりもずっと気さくで話しやすい人らしい。夢中で話をしているうちに、夫が戻ってきた。

「中川さん、悪かったね、遅くまで付き合わせて。もう帰ってもいいよ」

「はい。所長もお疲れさまでした」

 中川さんを見送った後、夫に向かい合う。

「正也さん……ここって……」

 正也さんは、少し困ったように顔をゆがめた。

「悪かったな。君に相談せずに勝手なことやってて……」

 私は力なく首を振った。

「私こそ、ごめんなさい。夫が会社を辞めたことさえ知らない妻なんて……失格ね。さっきも言ったけど、正也さんを支えてくれる人ができたのなら、私は身を引くから……」

「それだ! 聞きたかったのはそれだよ。一体何の話だ? 君は何を勘違いしているんだ?」

「え……だって、あなたがしょっちゅう女性と二人で食事をしてるのを見かけたって近所の人が……。すごく楽しそうだったって……それで……」

 正也さんは、はーっと大きな溜息をついた。

「そりゃ、中川さんだろう。三人しかいない小さな事務所なんだ。三浦君は外回りが多いし、中川さんは秘書業も兼ねてもらっているから、打ち合わせがてら食事ぐらい一緒にするさ」

 彼女は、とても話上手で聞き上手な人なのだ。さっきまで、自分だって楽しく彼女と話をしていたじゃないの。

「敦也の事を、最後まで君に任せっきりで、本当に申し訳なかったと思ってる。計画では、もう少し時間に余裕ができるはずだったんだけど……。すまない」

 悲しげに俯く正也さんの胸に、思わず縋りついた。

「ごめんなさい。私、人の話を鵜呑みにしないで、正也さんに確認するべきだった。自分だけが辛いんだって、一人で悲劇の人になって、自分の辛い気持ちばかり巻き散らしてた……」

 正也さんは、私を抱きしめてくれた。

「……万理、辛いかもしれないけど、今度の週末、一緒に敦也を見送りに行こう? 墓の中で祖父さんが待ってるよ。祖父は敦也が生まれてくるのを楽しみにしていたからな。結局こっちでは会えなかったけど、きっと向うで可愛がってくれる」

 私は、泣きながら何度も何度も頷いた。

 心の中に埋め込まれた真っ赤に燃えた炭は、もうさほど熱くはなかったけれど、穏やかで甘やかな温もりを伝えていた。そう、それはまるで、蜂蜜のように甘くて芳醇な温もり。


■□■


「はぁ~ 今日のお湯はとても良いお湯でしたよ? 甘い香りが漂っていて、蜂蜜みたいな色だったし……最高でした」

 番台に座っている美鳥さんに、三日月クマさんが話しかけます。

 美鳥さんは、にっこり微笑みました。

 実際ね、蜂蜜が湧いていたんです。源泉から、すごく甘くて香りのいい蜂蜜が湧いていたので、美鳥さんは、それをせっせと壺に入れたんです。十五個も採れたんですよ?

「クマさんが良いお客様を紹介してくれたから、良い蜂蜜がたくさん採れました。一つ持って行ってくださいね」

 そう言うと、クマさんはすごく喜びました。ええ、本当にすごく喜んで、その場で三回もでんぐり返りをしたんです。美鳥さんは、蜂蜜の壺にぶつかって割っちゃうんじゃないかって少しハラハラしたそうですけどね。


 ――いらっしゃいませ。ここはハートリペア村の温度屋です。お客様の心を適正な温度にして差し上げます。


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