プロローグ
ちょっと、アナタ、そこの、アナタ。も~、キョロキョロしてるアナタですよ。
そう、ア ナ タ。
アナタ、今、自分がどこに居るか分かってます? 分からない? ぼんやりしてたら、ここに居た? そーでしょうね。そんな感じに見えたから、声を掛けたんですよ。
聞いて驚いて下さい、ここは、この世とあの世を繋ぐ場所。地獄の入口、なぁんて言う人もおりますね。それ以上進むと、もう後へは戻れなくなりますよ? ってゆーか、もう戻れないところまで、十分来てるんですけどねぇ。
え? そんなはずはないって? 自分は健康だし、死ぬつもりもなかったって? 分かりますよ。お客さんみたいに、ぼんやりしたまま、ここいら辺まで片方足を突っ込んじまう人は、結構いらっしゃいますからね。
え? なんですか? もう戻れないなら、なぜ声を掛けたのかって?
いえね、私の知り合いに、ちょいと酔狂な御仁がおりましてね。この辺に、小さな小さな村を創ったんですよ。いつ吹き飛んで無くなるか分からないくらいの、小さな村なんですけどねぇ。そりゃあ、美しくて善い村なんです。そこへアナタをご案内しようかと思ってね、声を掛けたんですよ。その村で、ちょいと修理をしてもらってね。運が良けりゃ戻れますよ。えぇ。無理にとは言いませんけどね。え? 行ってみたい? 承知しました~。
お一人様、ご案内しま~す。