ずっと,,,
どれくらい,,,
どれくらい歩いただろう。
あの人に会えるはずがないのに。
私は探し続けている。
空から大量の雨粒が降ってくる。
空が泣いているように思えて
少し悲しくなる。
あの人も泣いているのだろうか。
私は今泣いているのだろうか。
「あーっ!可愛い猫ちゃんがいる!」
沢山の子どもが私に群がる。
この子達は確か幼稚園児と言うやつだ。
幾年もの月日を過ごしてきた中で
聞いたことがある。
何故、この子達は私を怖がらないのだろう。
そうか、私には今普通の猫と同じように
一本しか尻尾がないからか。
私はかつて【猫また】と言われる
人間界で言う妖怪の部類だった。
昔は沢山尻尾があった。
その分、他の猫よりも沢山の命を持っていた。
初めは人間に可愛がられる猫達と一緒にいた。
しかし、仲間は時が経つと共に死んでいった。
1人,,,2人,,,3人,,,と,,,。
最後に死んだ私の親友は言った。
『あなたのように生きたい,,,死にたくない』
人間を恨んでいた私の親友は
人間に命を奪われた。
みんながいなくなり、寂しさと憎しみと悲しみと
色々な感情が私の身体中を駆け巡った。
《置いていかないで、寂しいよ》
私は寂しさにかられて高いところから
飛び降りた。
皆のところに行きたい,,,それだけだった。
死ねると思っていた。
でも、いつの間にかお寺の近くの庭に寝ていて
起きたときには尻尾が1つ減っていた。
その後、何度も何度も何度も何度も
繰り返した。
尻尾が二本の時,,,第二次世界対戦の時だ。
1人の美しい女性と会った。
尻尾が二本ある私を拾ってくれた。
彼女は私に唄を歌い、話を聞かせ
寝るときには抱き締めてくれた。
温かくて、柔らかくて、心地よくて
親友に対して罪悪感は感じていたが幸せだった。
なのに、突然何もかもがなくなった。
彼女は私を抱き抱えて建物の下敷きに,,,
私は死なないというのに,,,彼女は,,,
私を抱えて逃げようとした。
でも、間に合わなかった。
私は彼女が他の人間に見つかるまで待ち
何処かへと歩き続けた。
途中で水溜まりに写っている自分を見て
涙が溢れた。
尻尾が一本になっていた。
あぁ、彼女と共に逝きたかった。
また1人になってしまった。
みんな、みんな
私をおいて消えてしまう。
,,,あれ?
おかしい、嘘だ、そんなはずはない。
幼稚園児が連れてきた女性は,,,
昔あった彼女だった。
違う、にている人だとはわかっているが
本当にそっくりだった。
彼女が手を伸ばして私を抱き抱える。
あぁ、あぁ、同じだ。
あのときと同じだ。
やっと,,,やっと会えた。
大好きな,,,あなたに,,,。
これからはあなたの命が絶えるまで,,,ずっと,,,