ヘンゼルとグレーテルは邂逅して
「キャンディー」
「どうしました、ジャック君?」
「お前、変な奴だよな」
「それはお互い様だと思いますよ?」
「……だな」
その日、ジャック君は独りで部屋に閉じこもっていました。
なにか考え事をしているのかしら?
そういえば、昨日レウスと何かお話ししていた様子でしたし、風使いさんとの話もあります。
もしかしたら、ジャック君は――
次の日。
ジャック君の姿が消えました。
朝。
出歩く人の姿がない早朝。
そんな町中で、少年が一人歩いていた。
「……久しぶりだな」
一人でいるのが。
いつの間にか、キャンディーが居ることが当たり前になっていた。
レウス達が五月蝿いのが普通になっていた。
でも、それも今日で終わり。
一人で旅をしようと考えているから。
グレーテルをあの家で待ち続けるのではなく、自分から探しに行こうとしているから。
「で、一人でどこに行くつもりなんですか?」
「そりゃ、グ……ぇ」
「ジャック君? どうしました?」
平然と聞いて来るのは何も言わずに別れようと思っていたキャンディー。
そして
「ったく、なんでこんな朝早くに……」
「キャンディー、レウス?」
なんで、こいつらが?
しかも、ちゃっかり荷物をまとめている。
驚くジャックに、キャンディーはにっこりと笑う。
「まさか、気づかれないとでも思ったんですか? ジャック君は結構分かりやすいので何をしようとしているのかすぐにバレバレです」
「……」
「これで、自宅警備員から卒業ですか。ちょっと灌漑深いです」
「うっせぇ。どうしてお前らがここに居るんだよ」
「そりゃぁもちろん――」
その日、小さな町で三人の旅人が旅立ったとか。
そんな彼等と二人の旅人が擦れ違う。
「……そう、ずっと……ずっと待っててくれていたんだね……お兄ちゃん」
茶髪の女性――アインはそう呟いた。
何度も振り返り、三人組の姿を見送る。
隣にいたのは、不審極まりない白の仮面をかぶった人間。
彼は、アインに向かって聞く。
「取引はこれで完了、でいいのか?」
「えぇ。ありがとう」
「自分がグレーテルだと告げる訳でも、素性を隠して話す訳でもない。それでいいのか?」
「いいのよ。今会った所で、私は……」
そして、また振り返って、もう姿の見えなくなった兄に告げる。
「ありがとう、ずっと待っていてくれて。まだ会えないけど、まだ帰れないけど……いつか必ず、帰るから」
一方は気づかず、一方はわざと知らないふりをして。
とある兄妹の邂逅は終わる。
もう一度、逢えると信じて。
なんだかんだで彼等の物語は完結です。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
この後、グレーテルがヘンゼルと会う事が出来たのか、キャンディーとヘンゼルの関係はどうなったのか、いろいろと謎や放っておいた設定などが多くぐだぐだな終了となってしまいました。
やっぱり、ノリと勢いだけで書くのはダメだな……と、反省中。
そして、もう一つ反省。『ヘンゼルと迷いみこ』は本編『騙る世界のフィリアリア』の番外編の話となります。
ジャック、キャンディー、レウスの三人は本編に出る予定はありませんが、他の登場人物たちのほとんどは本編に登場します。
また、出なくてもちょっとした話は出て来るかもしれません。
そのため、いろいろと設定をぼやかしていることが多く、謎が多くなってしまいました。
……本編終わってないのに番外書くのは行けないことだと反省中。
以下、登場人物たちによる座談会となります。
反省会
キャンディー「と、言う訳で! 祝! ヘンゼルと迷いみこ完結!」
レウス「か、完結、ですか……」
アルト君「わー、いつのまにか終わっちゃったっ。ボクの出番少なかったなー」
レガート・レント「その……いろいろ謎が残っている気がするんだが」
キャンディー「だからこそっ、反省会をしたいと思います」
アルト君「反省会? なにを反省するの?」
キャンディー「例えば、アルト君の正体とか、本編に出てこなかったこととか」
アルト君「ふぎゃっ、だ、だめだ! ボクの正体は永久不滅のトップシークレットなんだからっ!!」
レウス「そういえば、お前の正体……というよりもなんの仕事をしてたのか気になるな」
アルト君「ぎゃふんって言ってあげるからっ、止めてっ!!」
レガート・レント「いや、誰もお前にぎゃふんって言って欲しいと思ってないと思う」
アルト君の正体
アルト君「ボクは謎の過去をもつ美少年! だよ」
レウス「でもって幽霊。近寄らないでくれ」
アルト君「うわーん、キャンディー。レウスがボクをいじめるーっ!!」
キャンディー「あらあら。レウスは恥ずかしがっているだけだと思うわ。だから、あとで猛烈アタックしてみれば、きっとレウスも応えてくれるはず」
アルト君「ほんとっ?! よし、後で突撃してやるぜ! まってろー!」
レガート・レント「……うわぁ。……その、どこをどうつっこめばいいんだ」
キャンディー「自分で謎の美少年と言っているところだと思いますの」
結局、彼の正体は謎。
グレーテルはなんでアインと名乗っているのか
そもそも、いったいなにがどうなってるのか
レガート・レント「……アインねぇ」
キャンディー「知っているんですか?」
レガート・レント「まぁ。旦那が戦っていた敵だから」
キャンディー「そうなんですかっ!」
レウス「旦那って一体何もんなんですか……」
レガート・レント「いや、アーヴェ・ルゥ・シェランという組織に所属する三番目のジョーカーさんですよ?」
レウス「は?」
レガート・レント「詳しくは、『騙る世界のフィリアリア』ででてきます」
いまさらですが、この話は現在連載している『騙る世界のフィリアリア』(旧題 神騙り)の外伝的な話となっています。
本編で出てくる脇役達の裏話。という事で書きはじめたので、あちらの話で出て来る人がこちらにちょこちょこ出てきています。
レウス「なんでだよっ!」
アルト君「で、結局グレーテルちゃんはどうなっちゃったの?」
旦那「……グレーテル。現在アインと呼ばれている彼女は、養父ハンス・ロッドの妻であったイライザの身体に精神(魂)だけ乗り移って蘇った存在だ。ハンス・ロッドの研究は禁術、『黄泉還り』と呼ばれるものだった。その禁術を完成させたのが、『魔術師』となのる者で、その最初の被検体がイライザだったが、失敗して現在の状況になっている。また、『黄泉還り』の術の後遺症でグレーテルはその『魔術師』に使役されている。そして、三番目のジョーカーと呼ばれている私はその施術者と敵対しているためにアインと何度か戦っている」
レウス「だ、誰だっ!」
旦那「レガート・レントの知り合いだ」
レガート・レント「あ、旦那っ」
アルト君「一番出番が少ないはずなのに、なんでいるのっ?! しかも説明役かいなっ」
詳しく説明すると『騙る世界のフィリアリア』のネタバレになるので終了。
キャンディー「それにしても、回収されなかった複線とか人物の過去とか多すぎるんじゃないかしら?」
レウス「しょうがないですよ。もともとこの話は本編の番外編としてノリと勢いだけで書きはじめた物ですから」
レウス「本編が終わってないのに番外書くとか……」
ジャック「ほんと、反省が多い小説になったな」
アルト君「うわっ、ジャックどこ行ってたの?」
ジャック「つっこみ役になるのが苦痛だったから逃げてた」
旦那「捕まえて来た」
ジャック「捕まった……てめぇ、一体何もんなんだよ……」
旦那「レガート・レントの知り合いだ」
レガート・レント「だ、旦那っ? いつの間にっ?!」
キャンディー「そんなこんなで、これにて反省会は終了ですの」
アルト君「はやっ」
レガート・レント「まぁ、だらだらやっても仕方ないですしね」
アルト君「まだボクの武勇伝を話してないのにっ!」
レウス「お前の武勇伝かよ」
ジャック「で、終わりなんだろ?」
キャンディー「はいっ。では、みなさん、また会う日まで!」
ジャック「いや、もう会わないと思うがな」
一同「ありがとうございましたっ」




