ジャックと風術師 極悪人に正義の鉄槌を
「……」
「……」
とてとて
「……」
「……」
とてとて
「……」
「……」
とてとてとて……ぴた
「……なんで。なんでついて来るんですか?!」
「えっ」
どうも、キャンディーです。
現在進行形で、ストーカーにあっています。
ジャック君の屋敷から外に出て、それからずっとついて来る黒い影……。
みなさん、一大事ですよっ。犯罪ですよっ。
でも、残念なことにこのあたりに交番はありませんの。
それに、あっても無くてもこの辺の地理が解らない私では何もできません。
まあ、どうしましょう。
「誰かー、ここにストーカーがっ!」
「いやいやいや、ちょっと待って!」
「なんですか、レウス」
「……ひ、酷い」
因みに、周りにいた一般の方々は、温かい視線をこちらに送ってきます。
「毎日毎日、何なんですかっ。人の後をついてこないでください!」
「なんでって、心配だからに決まってます! ただでさえ世間知らずなのに、心配せずにどうしろと?!」
「世間知らずってなんですかっ。私はそこまで世間知らずじゃありません!」
「キャンディーちゃん、さあ胸に手を当てて。目を閉じて思い出してください、これまでやって来た事件事故悪行暴動の数々を」
まあ、私、事件も事故も悪行も暴動もした覚えが無いのに。
「……あらあら」
「あらあらじゃないよ」
「あらまあ」
「いや、言葉変えても」
「まったく。じゃあ、どうしたらいいんです?」
「とりあえず、ストーカーと呼ばないでくだ――」
「誰かー、ここにストーカーがーっ!!」
きゃー、助けてー。
棒読みで叫びます。
言わないでと言われたら、こうするのはセオリーだと私は思います。
「酷いっ」
レウスの目の端に水がたまっているのはきっと気のせいでしょう。
たぶん。きっと。
といっても、周りの方々はいつも通りです。
こんな事を毎日毎日繰り返しているので、みなさん馴れてしまったのでしょうね。
その視線は、どこか生温かいです。
みなさん、優しいです。
「さて、レウス。冗談はここま――」
でも、今日はいつもと違う事が在りました。
「どこだっ、迷える乙女の敵、ストーカーはっ!!」
「……」
「……まあ」
「先ほどの助けを求める絹を裂くような叫びっ、お嬢さん、さあ、極悪人は何処にっ?!」
あら、どうしましょう。
やって来たのは元気そうな少年A的な人。元気そうでなによりです。
「ここです」
ピシッと極悪人を指さします。
「成敗っ!」
「ひ、酷いっ」
レウスが、少年Aによって成敗されました。
数分後
「えっと、すみません。ほんと、すみません。その、すみません。のしちゃってごめんなさい。ほんと、ごめんなさい」
「う、うぅ……」
道の真ん中で呻き声上げるレウスと、平謝りの少年Aの面白い構図が出来上がりました。
レウス、きっと大丈夫だと信じているわ!
「ところで、貴方はどちら様なのかしら? さあ、少年A、名前を!」
「少年A? 私の名はウィルト・フォン・メイザース。誇り高きメイザース家の風術師です!」
「まあ、そうなんですか、少年Aさん」
「そうなんですよ。ウィルトと呼んで下さい」
知らない人だわ。
風術師というと、レウスも風術師だった気がするけど、まあ、あまり関係はないでしょう。
「ところで、探している人がいるのですが。少々良いでしょうか?」
レウスの事は放置です。
けっこう、この人も変わり身が早いようです。
「まあ、どんな人なんです?」
「はい、橙色の髪に」
「オレンジ色の髪ですか」
まあ、珍しい髪色だわ。
いつも見ている気がするけど。
「緑色の瞳」
「ふむふむ」
あら?
なんか見覚えのある。
「十二、三歳ほどの子どもなんですけど、見ませんでした?」
はい。
すごく見覚えがありますの。
「因みに、可愛らしい女の子だったとか」
「……」
橙色の髪+緑眼+十二、三歳=ジャック君
橙色の髪+緑眼+十二、三歳+女の子=?
「まさか、ジャック君の……女装っ?!」
「違ええええええっ!!」
どこかでジャック君が叫びましたとさ。
かなり遅くなりました。
今後も、不定期投稿の予定です。
お読み下さり、ありがとうございました!




