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ヘンゼルと迷いみこ  作者: 絢無晴蘿
そして、グレーテルを
48/51

ジャックと風術師 極悪人に正義の鉄槌を




「……」

「……」

とてとて

「……」

「……」

とてとて

「……」

「……」

とてとてとて……ぴた


「……なんで。なんでついて来るんですか?!」

「えっ」

どうも、キャンディーです。

現在進行形で、ストーカーにあっています。

ジャック君の屋敷から外に出て、それからずっとついて来る黒い影……。

みなさん、一大事ですよっ。犯罪ですよっ。

でも、残念なことにこのあたりに交番はありませんの。

それに、あっても無くてもこの辺の地理が解らない私では何もできません。

まあ、どうしましょう。

「誰かー、ここにストーカーがっ!」

「いやいやいや、ちょっと待って!」

「なんですか、レウス」

「……ひ、酷い」

因みに、周りにいた一般の方々は、温かい視線をこちらに送ってきます。

「毎日毎日、何なんですかっ。人の後をついてこないでください!」

「なんでって、心配だからに決まってます! ただでさえ世間知らずなのに、心配せずにどうしろと?!」

「世間知らずってなんですかっ。私はそこまで世間知らずじゃありません!」

「キャンディーちゃん、さあ胸に手を当てて。目を閉じて思い出してください、これまでやって来た事件事故悪行暴動の数々を」

まあ、私、事件も事故も悪行も暴動もした覚えが無いのに。

「……あらあら」

「あらあらじゃないよ」

「あらまあ」

「いや、言葉変えても」

「まったく。じゃあ、どうしたらいいんです?」

「とりあえず、ストーカーと呼ばないでくだ――」

「誰かー、ここにストーカーがーっ!!」

きゃー、助けてー。

棒読みで叫びます。

言わないでと言われたら、こうするのはセオリーだと私は思います。

「酷いっ」

レウスの目の端に水がたまっているのはきっと気のせいでしょう。

たぶん。きっと。

といっても、周りの方々はいつも通りです。

こんな事を毎日毎日繰り返しているので、みなさん馴れてしまったのでしょうね。

その視線は、どこか生温かいです。

みなさん、優しいです。

「さて、レウス。冗談はここま――」

でも、今日はいつもと違う事が在りました。


「どこだっ、迷える乙女の敵、ストーカーはっ!!」


「……」

「……まあ」

「先ほどの助けを求める絹を裂くような叫びっ、お嬢さん、さあ、極悪人は何処にっ?!」

あら、どうしましょう。

やって来たのは元気そうな少年A的な人。元気そうでなによりです。

「ここです」

ピシッと極悪人を指さします。

「成敗っ!」

「ひ、酷いっ」

レウスが、少年Aによって成敗されました。




数分後


「えっと、すみません。ほんと、すみません。その、すみません。のしちゃってごめんなさい。ほんと、ごめんなさい」

「う、うぅ……」

道の真ん中で呻き声上げるレウスと、平謝りの少年Aの面白い構図が出来上がりました。

レウス、きっと大丈夫だと信じているわ!

「ところで、貴方はどちら様なのかしら? さあ、少年A、名前を!」

「少年A? 私の名はウィルト・フォン・メイザース。誇り高きメイザース家の風術師です!」

「まあ、そうなんですか、少年Aさん」

「そうなんですよ。ウィルトと呼んで下さい」

知らない人だわ。

風術師というと、レウスも風術師だった気がするけど、まあ、あまり関係はないでしょう。

「ところで、探している人がいるのですが。少々良いでしょうか?」

レウスの事は放置です。

けっこう、この人も変わり身が早いようです。

「まあ、どんな人なんです?」

「はい、橙色の髪に」

「オレンジ色の髪ですか」

まあ、珍しい髪色だわ。

いつも見ている気がするけど。

「緑色の瞳」

「ふむふむ」

あら?

なんか見覚えのある。

「十二、三歳ほどの子どもなんですけど、見ませんでした?」

はい。

すごく見覚えがありますの。

「因みに、可愛らしい女の子だったとか」

「……」



橙色の髪+緑眼+十二、三歳=ジャック君


橙色の髪+緑眼+十二、三歳+女の子=?



「まさか、ジャック君の……女装っ?!」









「違ええええええっ!!」

どこかでジャック君が叫びましたとさ。

かなり遅くなりました。

今後も、不定期投稿の予定です。


お読み下さり、ありがとうございました!


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