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ヘンゼルと迷いみこ  作者: 絢無晴蘿
そして、グレーテルを
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ジャックのお料理教室



「ジャック君。私、思うのです」


みなさん、御無沙汰しておりました。

実はすご腕巫子にして、毒舌家だったキャンディーです。

いろいろあって略、ジャック君の家に住むことになりました。

もう、ジャック君ったら、あんなことやこんなことを言って引き止めるんだから。


「最後の地の文にすごくつっこみたい。オレは何も言ってねぇよ!!」

鋭いつっこみが入りました。

「まぁ、今日もジャック君は元気そうですなによりです」

「なによりじゃ無くて、訂正しろ。オレは何も言ってないし、引き留めてもねぇよ」

「もう、冗談に決まってるじゃないですか。……半分くらい」

「半分くらい?! 半分も何も、言ってないからな」

「そ、そんな……おまえ、キャンディーちゃんになんてことをっ」

がくがくぶるぶる。

後ろで聞いていたレウスが、持っていた皿をすべて落として驚愕していました。

そう言えば、レウスも一緒について来て、一緒に住むみたいです。

「おい、まて。言ってないって言ったよな、オレ。話、聞いてた? しかも、ちゃっかりこいつの事、キャンディーちゃんとか言わなかったか?!」

「この前、キャンディーちゃんに怒られたんだよ。様付けキモイからやめれって。だから、小さい頃の呼び方にしただけだ」

だって、様づけされても迷惑だもの。

因みに、レウスは私がアズリルに来た当初からの知り合いでしたの。

「おい、キャンディー。最近いろいろとキャラ崩壊激しくないか?」

「ジャック君、それはきっと……気のせいよ」

「……」

「最近キャンディーのキャラを把握できなくなったとか、出てくる人がいつも二人だったのが三人になって勝手がわからないとか、ぜんぜんないのですよ!」

「そうだったのか……」

「ま、まさか、キャンディーちゃんのキャラがおかしくなったのは……僕のせいっ?!」

「あえて、キャンディーは何も言いませんの」

「なん、だと……」

「レウスのせいだとは、言いませんの」

「……」

あら?

なぜかレウスが部屋の隅で体育座りをしています。

ふっ、私にかかれば、レウスなんてこのざまよ。

「ほんと……お前、キャラ変わってる気が」

「そんな、私はそんなに変わっていませんよ?」

「……」

と、本筋から離れてしまいました!!

あぶないあぶない……。

本当に言いたい事は、もっと別にあるんです!

「で、冒頭の言葉に戻りますが、ジャック君、私思うんです」

そう言うと、懐から出刃包丁を出しました。

あ、どうして懐に出刃包丁があるのかという問いには、答えられませんよ!

ちょっとした、マジカルです。

「ちょ、キャンディー? な、なにを……」

なぜか、ジャック君が一歩下がりました。

どうしたのかしら?

とりあえず、出刃包丁を構えます。

そして、一歩ジャック君に近づきました。

「お、おい、キャンディー?」

「ジャック君……私……」

包丁を、突き出しました。

「……人にはそれぞれ役割分担があると」

そう言って、ジャック君の手に出刃庖丁を渡します。

「料理、お願いします」

「お、お前っ……死者であり、ジャック・オ・ランタンであるオレに、料理を作れと言うのかっ?! しかも、シチュエーションが怖いぞ!!」

「だって……私、料理したことないんですもの」

そうなんですよ。

私、料理したことないんです!

あ、孤児院にいたころはちょっと手伝ってたような気も……。

でも、塔に行ってからは、祈らされてるか、巫子としての教育を受けているか、部屋で待機しか出来なかったので……。

あ、でも、その代わり部屋の待機中はずっとお掃除していました!

そのおかげで、何時間でも掃除していることが可能です。

「ところで、どこが怖かったんです?」

「笑顔で包丁を出した所、笑顔で包丁を構えた所、笑顔で包丁持ってこっちに来た所、笑顔で包丁を上向けて差し出した所」

「あら?」

「とりあえず、なんでもいいから作ってみろよ」

「まあ、ジャック君……後悔しても遅いですよ」



数時間後



「すまない。お前が本当にど素人であることを思い知った」

惨劇の現場となったキッチンで、ジャック君が顔をそむけて謝りました。

まあ、どうしたのかしら?

たしかに、ちょっとがんばり過ぎて、いろいろやってしまった気がしますけど。

机の上の皿には、私の最高傑作・カレーがよそられています。

「さあ、ジャック君、食べてください」

「拒否する」

「な、なんでですっ?! こんなにおいしそうなのに……」

「……作られた過程を見てたやつなら、絶対食べない。あの食材のチョイスはないだろ」

「酷いです! ジャック君だって、すごく悪趣味な仮面とかよくわからな物とか、いっぱい持ってるじゃないですか!」

あれに比べれば、私のカレーなんておちゃのこさいさいです!!

「なにがだっ! 意味不明だし、あれはもともとこの家にあったものだからな」

「それに、これのどこが悪いって言うんです?!」

どこからどう見たってカレーなのにっ。

ジャック君ったら、作ってくれって言っといて食べないなんて!!

「……しょうがない。臨床実験をしてやる」

「臨床……?」

まぁ、なにをするのかしら?

「おい、レウス、来い」

「なんだよ!!」

「こいつが作った料理だ、食べろ」

「な、なんだって?! キャンディーちゃんがっ?!」

レウスが食べました。

何も言わず、倒れました。

「わかったか。これがお前の料理というゲテモノの威力だ」

「……なるほど」


うーん、紅茶と栗とチョコレートとトウガラシとマスタードとネギとマル秘とマジカルパウダーを入れただけなのに、何が悪かったのかしら?







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