ジャックとキャンディー そのさん
第二十七話
ジャックとキャンディー そのさん
気づくと、そこは崩壊した塔の地下だった。
「いたっ……」
落下した時の打ちつけた背が、痛む。
つんと草の匂いがした。
運がいい事に、落下した場所は干し草が積み上げられていたみたいだった。
こんな所で運が良くても、嬉しくないけど。
それよりも、ここはどこ?
小さい頃からこの塔に住んでいたけど、塔の限られた場所にしか行く事が出来なかった。
だから、ここがどこだかわからない。
とにかく、外に出ないと……。
ようやく爆発は収まったようで、人々の叫び声だけが虚しく聞こえる。
「……馬鹿みたい」
ため息をついて、辺りをうかがった。
暗くてよく見えないけど、なにかしらの保管倉庫みたいだった。
このままじゃ仕方ない。
立ちあがって辺りを散策すると、すぐに階段とその先に扉を見つける。
開けた先は、丁度塔の外だった。
綺麗……。
崩れていく塔は炎を纏っていた。
爆発とかで出火したのだろう。
それが、夜空を赤く染め上げる。
一歩、外へと足を踏み出す。
「発見しました!!」
振り向くと、塔の衛兵たちがいた。
「ご無事ですか? レウスはどこに?!」
「……知らない」
たぶん、上の方にいるはず。
「あの、裏切り者めっ」
「……」
裏切り者?
誰が?
「さぁ、こちらへ」
「離れてください!!」
目の前の衛兵が、吹き飛ばされた。
「レウス……」
「キャンディー様、行きましょう」
「……あなた、なんのつもりなの?」
衛兵を気絶させて。
それに、裏切り者って……。
ぎゅっと、腕をつかまれた。
「今なら、貴方は自由になれます。この混乱の中なら、この塔から逃げられる」
「……」
「一緒に、逃げてください」
なんで、そんな事を言うの?
よりにも寄って、見張り番のレウスが。
犬のように宰相や貴族たちに従って、私達を監視して来たレウスが。
それに、私は……。
「嫌」
「どうしてっ。あんなにこの塔を嫌っていたじゃないですか! この塔なんて、崩れてしまえばいいと言ってたじゃないですか! ここから逃げたいって、ずっと、ずっと……」
子どもの頃、ずっとここから逃げ出したかった。
なんども部屋を抜け出して、捕まった。
「もう、昔みたいに子供じゃないの」
この塔から、私は逃げられない。
「なんでっ」
「それは、オレが説明してやろうか」
「っ!!」
「……」
ジャック君……。
彼が、言いました。
「孤児院を守るためだろ」




