ジャックとアズリル
第二十五話
ジャックとアズリル
夕刻−−
教主塔アズリルの目の前にジャックはいた。
熱心な使徒が行き来している中、日は落ちていく。
「……で、なんでお前がいるんだ」
「ん?」
横にいたのは、レガート・レント。
プルートとかかわりたくないだとかなんだとか言って逃げたりしてたくせに、なんでいる。
「そりゃ、いい情報が入りそうだから。プルートが言っていた地下組織は、たぶんレジスタンスのことだ。この国の仕組みである巫子制度に反発している組織。その組織がここを襲うんだろ? そしたら、どさくさにまぎれて侵入する」
「……」
「侵入して、情報を盗む」
情報屋って情報を盗むのか。
「言っとくけど、こっちはお前を手伝わないからな」
「別に。手伝ってもらおうとは考えてない」
「それはそれで悲しい」
「あっそ」
だったら言うなよ。
ため息をつき、教主塔アズリルを見上げた。
かなりの大きさの建築物だった。
いくつもの塔が不均等に並んでいる。
このどこかに、あいつがいる……。
見上げるジャックの前で、爆発が起こった。
「……おいおい、嘘だろ」
一番左の塔が爆発したようだ。
破片があたりを飛び、人々の悲鳴が響いた。
「始まったようで……」
平然とした様子のレガート・レントは、楽しそうに笑うと人々が逃げ惑う入口に向かって歩き出した。
「キャンディーちゃんをさっさと見つけないと、大変なことになりそうだぞ」
「わかってる」
言われなくたって。
先ほどの爆発はほんの序章だったようで、大小さまざまな爆発が教主塔アズリルの中で起こっていた。




