ジャックと迷い巫女 さん
第二十二話
ジャックと迷い巫女 さん
レガート・レント指定された場所にあったのは、孤児院だった。
「……」
子どもたちが、辺りを駆け巡って遊んでいた。
どこか新しい孤児院は、活気があった。
それを見ないようにしながら、ジャックはレガート・レントを探す。
「ここが、キャンディーの育った場所だと」
「え?」
いつの間に?
後ろにレガート・レントがいた。
「孤児院が?」
「そうだよ」
「……」
あいつも、孤児だったのか。
「十数年前まで、この孤児院は酷い状況だったらしい。経営難で、それこそ、子どもたちに労働させたり、奴隷として売ってしまう事もあったらしい」
「……いつの時代も、大人は自分勝手だからな」
「でも、この孤児院から巫子が出た。その事で劣悪の環境だった孤児院が問題になり国が援助した。その後、巫子は流行病で死亡。その慰謝料として多額の金が孤児院に渡されたそうだ」
「それが、キャンディーだと?」
「そういうことになるね。あと、慰謝料って言ってるけど、口止め料みたいなもんだと思う」
「だから?」
「彼女は、二度と外には出られないだろうね。もう死んだことにされているし、裏の巫子のことは国家機密にもなっているから。真実を知っている彼女は、決して自由になれない」
「……だから、オレに何だって言うんだ?」
「本当に、このままでいいのか?」
「……」
「そうだね。本当に、それでいいのかな?」
「?」
誰だ?
突然かけられた声に二人が振り向くと、青年が嗤ってこちらを見ていた。
「はじめまして。私はプルート。君達の話をたまたま聞いてしまったんだが。良い話があるんだが、どうかな?」
あからさまに胡散臭い彼に、レガート・レントはなぜかジャックと盾にした。
「おまっ」
「おい、やばいぞ。あいつ、セレスティンだ」
小さな声で、プルートを睨みながらレガート・レントは言った。
「はぁ?」
なんだそれ?
聞いた事も無い。
「知らないのか? 裏じゃ有名だぞ。って、お前はひきこもりだったな」
「うるさい」
「とにかく、やばい。から、オレ逃げる」
「ちょ」
理由を聞く前に、レガート・レントは全速力で走って行ってしまった。
その後ろ姿を、ただ茫然と見つめる。
「あいつ……」
逃げやがった。
「で、君はどうする?」
「……」
プルートは、ただ嗤って手を差し出した。
「私達と、手を組まないか?」




