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ヘンゼルと迷いみこ  作者: 絢無晴蘿
迷い巫女は何処に?
29/51

ジャックと迷い巫子 に

第二十話

ジャックと迷い巫子



ルクシードベルク巫国。

かの国は、巫子の国と呼ばれている。

一部の子供は、生まれた時の啓示により、巫子として神殿に預けられる。

そして、預けられた彼等は、巫子として教育を受ける。

彼等は、二十になるまで国に保護され、祭事を行う。


一部は。


「一部?」

『あぁ。一部は、死んだことにされて、人柱にされる』

レガート・レントは苦々しそうに言う。

「は?」

『人柱。国の為に、一生影の巫子になるんだよ。表の巫子の決してしない裏行事の数々を行い。死ぬまで祈り続ける。自由はない。あるのは、幽閉生活。拘束されて、一生を過ごす。キャンディーはそのうちの一人だ』

「……」

あいつが?

あんな、ほややんが?

レガート・レントの説明に、かなりショックを受ける。

あの性格が考えつかなかった。

『本名、キャンディー・メディッカ。現在、原因不明の病気で意識不明の重体』

「あいつが、巫子だと?」

『しかも、かなりの腕きき』

「……」

『オレの情報にひっかからなかったのは、影の巫子の存在がかなり厳重に隠されていて、写真なんかを手に入れんのが難しくてな。しかも、生涯外に出る事は許されないから、どんな外見なのかも話されなくて……って、いいわけはだめか』

「とりあえず、どうも。んじゃ、行くわ。オレ」

『どこに?』

「あいつを、探しに」

『場所もわからないのにか?』

「オレの屋敷は、特別製だぞ」


ジャックの屋敷は、ジャックが……いや、ヘンゼルが生前住んでいた屋敷だ。

同時に、その時同居していた魔術師の屋敷でもある。

その魔術師が残していったのは、大量の本やガラクタ、屋敷に施された魔術。

「connect.LULLABY.起動せよ」

最初から決められている魔術詩を唱えると、ぼんやりと机が光りはじめる。

いつも、ジャックが使っている机。

その上が水面のように変わっていく。

「迷い人の検索を始める」

水面から、何かの画面のように変わっていく。

始めに世界地図が映され、さらに中央大陸地図、中央南地区地図、そして、ルクシードベルク国地図。

「やはりか」

さらに、地図は細かく細分化し、首都の詳細地図に変わり、赤い星がつけられた。

―そこに、キャンディーさんはいるのですか?―

「たぶん」

この屋敷には、幾つもの魔術が施されている。

霊的加護や魔術結界、屋敷に来た者の足取りや現在位置を十日まで追う事が出来るなどはまだ実用的だが、飴を振らせる魔術など意味不明なものまで。

今行っているのは、まさにそれだ。

キャンディーが今どこにいるのか、調べたのだ。

―そこは、教主塔の『アズリル』ですね。キャンディーさんの体もそこにある筈です―

「アズリル?」

―巫女達の総本山です―

「なるほど」

そこに、キャンディーは……。


でも、それは彼女が元いた場所に戻ったという事ではないだろうか。


だって、彼女はもともとそこにいるはずの存在。


そもそも、ジャックのこの屋敷にいること自体おかしかった。


キャンディーは、誘拐されたんじゃなくて……連れ戻されたのでは?


だって、もともとここでは無く、そのアズなんちゃらに住んでいたはずなのだから。




じゃあ――




彼女が元いた場所に帰れたなら、もうオレとは関係ないのではないだろうか。





「……」

―ジャック? どうかしました?―

「オレは、行かない方がいいんじゃないか?」

―……―

「あいつは、元いた場所に戻ったんだろ?」

―そう、ですね―

「なら……」

『おい、ジャック』

レガート・レントが真剣な顔で言った。

『ちょっと、出て来い』

「は?」

『いいから、来い』

また、この屋敷を離れて?

「……わかった。どこに?」

『ルクシードベルクに』

「お前、ここからどれだけ遠いと思ってる?」

『列車で一時間だっけ?』

「二日だ」






いろいろ超展開です。

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