ジャックと迷い巫女 いち
第十九話
ジャックと迷い巫子
「えっと、なんだって?」
―はい。もう一度繰り返しますね、ジャック。キャンディーさんが、誘拐されました―
「は?」
どういう事だよ?!
イトコお嬢からの報告を聞いたとたん、思わず叫びかけて自制した。
「細かい報告をっ」
―はい。先ほど、約十五分前、突如術師からの干渉を受け、館が現界。直後襲撃して来た術師により、キャンディーさんが誘拐されました―
「術師は判明しているのか?」
―いいえ――少々お待ち下さい。レガート・レントより、通信が入っています―
ジャックの前に画像が現れると、レントの顔が映し出された。
少し焦った様子で、彼は言葉を紡ぐ。
『キャンディーの素性がわかったぞ』
「?」
余りの切羽詰まった様子を見て、思わず眉をひそめる。
キャンディーが、かなりの要人だとでも言うのだろうか。
『彼女……ルクシードベルク巫国の人柱だ』
「え?」
『だから、あの、人柱帝国って通り名で有名な、ルクシードベルク……って、お前は知らんよな。有名って言っても裏道でだし。とにかく、その国の国家機密よりも重要人物なんだよ!!』
「いや、ルクシードは知っている。が、あのほやほや馬鹿が?」
『ほやほやでもぼけぼけでも、重要人物! で、今彼女は?』
「……」
―レガート・レント。今、キャンディーさんは誘拐されました―
『なん、だと?』
大変なことになった気がする。
現在世界に不干渉であるはずのジャック・オ・ランタンが、なんでそんな奴を。
そんな事を考えていると、ぽんと後ろから叩かれた。
「せん、ぱい……」
嫌な予感しかない。
「最後まで、きちんと面倒を見るんだよ」
「ははっ、はい……」
『……がんばれ』
―がんばってください―
「……」
おい。
いささか、他人事すぎないか。




