ジャックとハロウィーン
第十四話
ジャックとハロウィーン
「る~るる、るるる、る~るる~」
今日もルンルンでお掃除をしていると、玄関で呼び鈴が鳴らされました。
「あら? どなたかしら?」
「あ、おい! キャンディー、勝手に開けるな!!」
ジャック君よりも素早く扉に……到着!
「はいはい。今開けますね~」
「おや……?」
扉を開けると、男の人が驚いた様子で立っていました。
「噂は本当だったのか」
噂?
なんの噂かしら?
「あら。いらっしゃいませ。ここで立ち話もなんですし、中にどうぞ」
「おっと、すまないね」
「キャ、キャ、キャ、キャンディー!!」
「なんです?」
「せ、せ、せ、せん、ぱいっ……」
頬をひきつらせたジャック君と、にこやかに笑う男性。
何やら、訳ありでしょうか?
「で、君が、噂の生き霊のキャンディーだね」
「はい? まあ、そうですよ。私がジャック君の保護者のキャンディーです」
「そうかそうか。なるほど」
「納得すんなよ! あと、お前はオレの保護者じゃねえ!!」
もう、ジャック君ったらそんなに照れちゃって。
「そんな、照れなくても」
「だ、か、ら、照れてねえよ!」
「まあ、彼女の事はきっとお前がなんとかするだろうから、オレは何も言わんよ」
「ええっ?! な、何も言わないんですかっ?!」
「さて、今度の仕事の話だが」
「……ほ、ほんとに何も言わないのかよ」
どこか呆然としたジャック君。
どうしたのかしら?
キャンディーを別室に押し込めると、ジャックは男に向き直った。
「すみません。騒がしくて」
「いや。で、こんどのハロウィーンの事なんだが」
「は、はい」
ハロウィーンはジャック達にとって一番重要な時期の一つだ。
大勢の死者が故郷に戻ってくる。
その時、彼等が行くべき故郷を忘れてしまったり、迷ってしまう霊がいる。
そんな彼らを導くのがジャック・オ・ランタンの役目の一つだった。
「最近、異変が起こっていることを知っているか?」
「?」
「……霊の動きが、おかしくなった」
「おかしい?」
「あぁ。なんでも、どっかの組織とネクロマンサーとかが派手に動き回ってるらしくてな」
「……」
そういう事は、過去にもあった。
しかし、ジャックはこの屋敷からでないため、ほとんど関係なかったが。
何やら、死者を蘇生させる禁術を操る死霊使いをアーヴェと呼ばれる組織が追い詰めた、があと一歩のところで逃したらしい。
それ以来動きはなかったのだが、もしかしたら今回もそうかもしれない。
「今年は、気をつけろよ」
「あぁ」
「あの女性は……」
「キャンディーがどうした?」
「いや、もしかしたら彼女に害が及ぶかもしれないから。オレ達は、死んだ霊が専門で、生きた霊は干渉外だ。忘れるな」
「それくらいわかってる」
「ま、でも、きちんと最後まできちんと面倒を見るんだぞ」
「う……」
「拾ったものは、最後まできちんと面倒を見るのが筋ってもんだろう? 忘れるな」
「はい」
「ジャック君、ジャック君。さっきの先輩さんはなんの用だったんですか?」
先輩さんが帰った後、ジャック君に問い詰めます。
「あぁ、ハロウィーンのことで」
「ハロウィーン……」
「忙しいから、お前はここで待機だぞ」
「……」
「キャンディー?」
「……あ、はい。わかりました」
ハロウィーン……そう、ハロウィーンですか。
もう、そんな時期なんですね……。




