ジャックとレガート・レントそのに
第十三話
ジャックとレガート・レントそのに
その日、レガート・レントさんが来ました。
「失礼しまーす。まいど、情報屋のレガート・レントでーす」
「まあ、情報屋さん。 お久しぶりです」
「帰れ」
「ひどっ。なんでっ?!」
まあ、ジャック君ったら、いきなり帰れなんて……。
ここは、保護者として、きちんと言わなければ!!
「もう、お客さんにそんな事言っちゃダメですよ。おしりぺんぺんです」
「ちょっと待て。なんで前より子ども扱いする!」
「やっちゃえー、いけいけキャンディーちゃん!!」
「はいっ。キャンディーはジャック君を更生させます!!」
「更生しなくていいから。レントものるな!!」
「えー。ジャック君のいけず……」
もう、面白かったのに。
ジャック君ったら恥ずかしがり屋さんなんだから。
「まったく、女の子を泣かせるとは、男の風上にも置けないやつだな」
「いやいやいや、こいつ泣いてないだろ。つか、早く話進めろ」
「……そうだったな」
そう言うと、レガート・レントさんは真剣な顔になりました。
お仕事モード全開です。
「オレ、やばい件に首突っ込んだ。もしかしたら、近日中に幽霊になって挨拶に来るかもしれないが、よろしく」
「はぁっ?!」
「あら、大変ねぇ」
「まあ、冗談だ」
「冗談かよ!!!」
ジャック君、今日もつっこみご苦労様です。
いつもそんなに叫んでいて、疲れないのかしら?
「ジャック君、いつも元気ですね」
「誰のせいだ。って、レント。オレんち来たのは何か用があるんじゃないのかよ!!」
「あぁ、じつは、キャンディーさんの件で」
「まあ、私?」
なにかしら?
ちょっとドキドキです。
「まさか、こいつの素性がわかったのか?」
まあ、そうなのかしら?
「反対だ。まったく分からない」
どや顔でいいました。
「……なんでここに来た」
ジャック君の声が、一段と低くなります。
あらあら、怒っているみたいだわ。
「いや、まったく分からないことを報告しようかと」
「まあ、そうだったんですか。ありがとうございます」
「いえいえ。キャンディーさんのような綺麗なお嬢さんにお礼を言われるなんて、恥ずかしいです」
「もう、いいから帰れ!!」
「まったく、来た意味はきちんとあるんだぞ」
「じゃあ、とっとと終わらせて帰れ」
もう、ジャック君ったら、どうしてそんなにレガート・レントさんにそんな事言うのかしら?
「じゃあ、キャンディーさん」
「なんですか?」
「ここまでで、何か思い出したこととかありませんか? はっきり言って、情報が少なすぎて、どこから調べればいいのか」
「そうですね……」
思い出したこと……うーん。
何かあったかしら?
うーん。
「あ……」
「なんかあんのか?」
ジャック君が、ちらりとこちらを見て聞いてきます。
「はい。たぶん」
「教えてもらえますか?」
「えっと……怒られます」
「は?」
「私、たぶん、怒られます」
「いや、誰に?」
「さあ?」
「そこ重要だろ!!!」
まあ、ジャック君ったら、私記憶喪失なんだからしょうがないじゃない。
なぜか怒っているジャック君とは反対に、レガート・レントさんは真剣です。
あら、真剣に考えてくれてるのね、嬉しいわ。
「ジャックの方は、気づいたことないのか?」
「こいつのことで?」
「ああ。お前のことを聞いても仕方ないだろ」
「うっせー、ほっとけ。……こいつの事か……まあ、異常に霊力が強いのと、この変な性格ぐらいか」
「まあ、ジャック君! 人に変なんて酷いです! もう、私怒りましたよ! おしりぺんぺんです!!」
もう、ジャック君ったら、人を変だなんて!!
「さっきの話蒸し返すなよ!」
「いけいけ☆キャンディーちゃん!」
「お前ものるな!!」
「はいはい。で、他にはないのか」
「……ない……けど」
「?」
あら?
なんだかジャック君、思い出したみたいです。
ちょっと、考え込み始めました。
「レント……アルトって知ってるか?」
「アルト? い、あ……ま、まあ、知ってるって言ったら知ってるが……その、関わり合いたくないというか……関わったら殺されそうって言うか……」
「は?」
「正直、旦那の件でいろいろ言われたんで、勘弁してください」
なぜか、レガート・レントさん、土下座です。
まあ、どうしたのかしら?
なにか、大変なことがあるのでしょうか。
「誰だよ、旦那って。つか、話かみ合って無い」
「アルトって、あのアルトだろ?」
「いや、あのアルトって誰だよ」
「お、音川の」
「? 違う。誰だ?」
「なんだ、違うのか! よかった……考えてみればそうだよな。ひきこもりが異国のことなんて知らんよな!!」
「ほっとけ」
急に元気になったレガート・レントさんの代わりに、ジャック君が不機嫌になりました。
そんな、不機嫌になるなら、外に出て脱ひきこもりすればいいのに。
「アルトか……音川のアルトは知ってるが、ほかのアルトは知らないな。調べないと」
「そうか……。一応、そいつ霊なんだが、キャンディーを見て言ったんだ」
「なにを?」
「……危険、だとさ。このぽややん女」
あら、いつの間に?
「危険? あら私、危険なの? まあ、危険人物ってちょっと憧れるわね」
「いや、憧れる事じゃねえだろ」
「危険か……他には何か言ってたか?」
「後ろの組織のほうがもっと危険とか何とか」
アルト君、いろいろジャック君と話していたのね。
私の知らないことばかりだわ。
「組織……そのアルトって……誰なんだ?」
「知るか」
「幽霊さんですよ?」




