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ヘンゼルと迷いみこ  作者: 絢無晴蘿
ジャック・オ・ランタン
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ジャックとアネサン

第九話

ジャックとアネサン



「……」

じー。

ジャック君が、何故かこちらを睨んでいます。

「……ジャック君」

「なんだ?」

「なんで見てくるんですか?」

「監視」

「誰を?」

「お前を」

た、た、た、大変です!

私、キャンディーはジャック君に監視されています!

これって、まさかっ?!

「ジャック君、犯罪者だったのねっ!」

「は? お前が外に行かないかの監視に決まってんだろ!!」

「拉致誘拐監禁だなんて……ジャック君の人で無し!」

「人じゃねえから! それに、拉致も誘拐も監禁もしてねえよ!」

「この、鬼! 悪魔! 血も涙も髪もない人で無し!!」

「ちょっとまて! 髪はあるだろ! ハゲじゃないからな、オレ!!」

ジャック君ったら、犯罪者です。

この、ザビエル禿げ候補めっ……。

女の、いいえ、世界の敵です!!

「へー。あんた、拉致誘拐監禁なんてしたんだ」

「げ。……こんな時に……」

何時の間に、女の人がこちらの様子を見て笑っていました。

なにやら真っ赤なスーツに黒いコートを着ています。

赤と黒が好きなのかしら?

それよりも、住居侵入罪です!

「貴女は……住居侵入罪!」

「はっはっは、違うよ。私は彼の上司。姐さんって呼んでくれ」

「まあ、ジャック君の上司さん。あねさんさんですか」

不思議な名前です。

「私はキャンディーっていいますの」

「そう。ふーん、本当に生き霊なんだ」

こちらを、楽しそうに見てきます。

「なにか、ジャック君にようですか?」

「いや、あんたに」

「私に?」

「あんた、私の所に来ないかい?」

「あねさんさんのところですか?」

なぜかしら?

「こいつはまだ新人だし、この家に引き籠ってるバカだし。私は世界中を廻ってんだ。その方が、あんたの生まれ故郷とかを見つけられるかもしれないし、記憶も戻るかもしれない」

あら?

なぜ、この人は私が記憶喪失なのを知っているのかしら?

私、言って無いわよね?

「こいつに、頼まれたんだ」

ジャック君が言ったようです。

もしかして……

「……私がいるのは邪魔だからですか?」

……ジャック君は、出て行って欲しいと思っていたのね。

思わず、部屋から飛び出してしまいました。


「ジャック君たら、私の気持ちはどうでもいいのね」

家の中でも、一番書斎から離れている二階の物置部屋で私は文句を言ってました。

「……」

あねさんさんについていけば、記憶は戻るかもしれません。

でも……記憶が戻ったら、私はどうなるのかしら?

「また、怒られる…………あら? 誰に怒られるのかしら?」

むむ、何か思い出せそうです。

こう、くしゃみが出そうで出ないような……なんだかすごくおしい感じがします。

「誰に……誰に……?」

そういえば、私は一体誰なのかしら?




「……まったく、不器用だね。あんたは」

「うっさい」

キャンディーが飛び出したのを追う事もせず、ジャックは不機嫌そうに座っていた。

「なんで言わなかったんだい。……生き霊の状態で世界を彷徨い続けたら、体が持たなくなるか霊体が持たなくなるかで死ぬ。ここは元々魔術師の館だから、ふつうの場所よりはましかもしれないけど……でもここにいても彼女の記憶が戻らない。記憶が戻らなければ、元の体に戻れない。だから、私を呼んだのだろう?」

キャンディーはこの館のある国の事を知らなかった。

他の事……戦争とかは覚えていたのに。

だから、きっとシェイランドに住んでいたのではなく、もっと遠い所に住んでいたのだろう。

例えば、旧フェリス皇国や聖フィンドルベーテアルフォンソ神国などに。

故郷や知っている場所に行けば、記憶を思い出すかもしれない。

しかし

「……オレは、ここから離れない。離れる事はない」

ジャックはこの館から離れない。

一緒に居たら、このまま記憶が戻らないかもしれない。

そして、いつか……。

「きちんと言わないと、わからないよ。人間ってのは、不器用なんだから」

「わかってる」

ただ、ジャックにはもう一つ理由があった。

「……オレは、弱いから。あいつを守れる自信もない」

「ばかだねえ」

一人で無茶するのなら、気楽だ。

一人で戦うなら、死んでも自分のせいだ。

一人でだったら、なんだってできる。

でも、守りながらじゃ、そんなことできない。

悪霊に囲まれていたキャンディーを見た時、酷く動揺した。

もしも、あの悪霊がもっと凶暴な奴らだったら……問答無用で人間達を呪う悪霊だったら……。

「……」

「なやめなやめ。どうせ私達には、時間だけはたくさんあるんだから」

「時間だけは、か……」

じゃあ、他は?

「他は何もないな、オレ達……」

「そうだねぇ……」

アネサンは、ただジャックの頭をなぜてさびしそうに笑った。

「子ども扱いすんな」

「おまえ、チビだから手が届きやすいんだよ」

「……」




「おい、キャンディー。アネサンは帰ったぞ」

「え?」

日が暮れた頃、ジャック君は部屋に入らず廊下で声をかけてきました。

「とりあえずは、話は保留にしとくって。さっさと出て来い」

「……ジャック君は、私が邪魔ですか?」

「あぁ、邪魔だ」

やっぱり。

「でも、言っただろ? お前が記憶が戻るまではここにいても良いって」

「本当ですか? 嘘ついたら針千本ですよ」

「この家に針は千本も無い」

「じゃあ、往復びんた千回です」

「……逃げていいか?」





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