裏三話 ジャックとチグサ
裏三話
ジャックとチグサ
ジャックが目を開けると、そこには幼い女の子がいた。
「ようこそ、ジャック・オ・ランタン……へ……」
「お、おじゃまします?」
「……」
ジャックには、苦手なものがある。
こどもだ……。
例えば、目の前の女の子のような。
「ど、どうしてあなたはここに来たんですか?」
「わかんない」
ですよねー。
営業スマイルが、引きつる。
「お、お母さんやお父さんは?」
「えっと、おかあさんもおとうさんも、お祭りでいそがしくていません」
「お祭り?」
「うん!」
この子は、どうやら祭りの中で死んでしまったようだ。
「そう言えば、お名前は?」
「ちぐさ」
「そう、チグサちゃん……私は、ジャックです」
「じゃっく?」
「はい」
ああ、やっぱり駄目だ。
子どもは苦手だ。
しょうがないので、助けを求めることにする。
「ちょっと、すみません」
そばに会った電話を取ると、あの人の番号にかける。
「アネサン?」
『珍しい。なんの用だ?』
「ちょっと、迎えに来てもらえるか?」
『子どもを?』
「苦手なんだよ」
『まったく。お願いしますは?』
「……お願いします、アネサン」
『わかった』
すると、いきなり扉が叩かれた。
「失礼しまーす」
派手な真紅のスーツに、黒いコートを着た女性。
何やらハイテンションで鼻歌を歌っていた。
「待ったか?」
「ぜんぜん」
むしろ、早すぎてひく。
「こんにちわ。えっと……」
「チグサちゃんって言うみたいです」
「じゃあ、ちぐさちゃん。お姉さんと一緒に、来て欲しいところがあるのだけど」
さすがに、少女は身を引いた。
「しらない人についていっちゃだめって、おかあさんが言ってました」
「そう。でも、いまちぐさちゃんは道に迷ってるんじゃない? 道に迷ったり、ままとはぐれたら、大人の人に聞いたりしない?」
「……」
「大丈夫、ままもぱぱもすぐに来てくれる」
「ほんと?」
「ええ」
ぱっと笑った少女の姿に、思わずため息をする。
自分じゃ、こういう事はできない。
「じゃあ、この子引き取るから」
「お願いします」
扉をくぐって、アネサンは消えた。
そのあとを追って、少女も消えようとした。
しかし、
「ばいばい」
「……」
そう言って、消えて行った。
子どもは苦手だ。
だって、思い出すから。
自分も、彼等と同じだったという事を、思い出すから。
「はあ……」
ため息をついても、どうしようもない。
追加登場人物
アネサン
上司
記載が遅れましたが、裏の付いている話はジャックがキャンディーと会う前の話になっています。
ちなみに、話が繋がっている裏一話と裏二話以外は時間枠がどんどんさかのぼっていきます。
わかりづらく、すみません。




