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文化祭のトラブルは図書室で解決します ④

 思いがけず充実した文化祭もあとちょっと終わるタイミングで、文芸部二年生の小宮が腕に包帯をして図書室に入ってきたので、文芸部のみんなでかけよった。


「小宮君! おかえり!

 けがの具合はどう?」


「朝日さん、いろいろと迷惑をかけてごめんね!

 腕に少しヒビが入ったんだけど、数週間で治るってさ。

 俺のミスを帳消しにしてくれたどころか、会誌の配布も企画展示も大成功したみたいで、ありがとう。

 さっき部室に顔を出したけど、『会誌・完売御礼』の紙を貼って、みんなで喜んでたよ(笑)」

 会誌『はとらく』は無料配布だけどね(笑)。


「いやー、私は図書室を借りられるように手配しただけだし。たまたま全部うまくいっただけで……」

「ホント、助かったよ。

 でも、まさかすべて江藤の思い通りになるとはなぁ……」

 と、私の横にいた江藤をちらっと見る。


「え、それってどういうこと?」


「あれ、朝日さんは知らなかったっけ?

 江藤は、最初から『展示場所を図書室に変えるべき』だって文句を言ってたんだよ。

 文芸部の展示なんて地味すぎて教室でやっても誰も見に来ないって主張してて。

 割り振られた教室も、3階の奥の教室で場所が悪かったしさ。

『同じ3階でも、一般人向けに公開されてて、学校OBが休憩とかに使う図書室のほうがマシよ』って江藤は言ってたんだけど。

 でも、朝日さんが最近キャンペーンだかなんだかで忙しそうで相談しづらかったし。

 教室を変えたいってお願いして鬼沢に睨まれるのとかもいやだったんで、俺が反対してたんだけど。

 結局、俺が窓ガラスとパネルを壊したことで、江藤の計画をアシストしちゃったな」


 そういうことだったのか!

「江藤! どうりで、やたらてぎわよくトラブルに対応できたはずよね!

 まさか小宮君のケガもあんたが仕組んだんじゃ……」

と、横にいる江藤に見ると、


「梨花、そんなわけないじゃない!

 さすがに私もそこまでひどいことしないよ(笑)」

と、ニヤニヤしながら答える。


 どーかなー!

 江藤ならやりかねないんだけど!

 江藤に納得できないものの、小宮君を囲んで話をしていると、いよいよ文化祭が終了するタイミングになった。


 図書室の入り口がガラッと空いて、

「やっと演劇部の手が空いたから、少し手伝いに来たけど、なにかある?」

「ごめんなさい、私もアニメーション部の手伝いがあって図書室にあまり顔を出せなくて。しおり&POPづくりも体験したかったです」

と、田村と津田さんが図書室に顔を出してくれた。

 それで、江藤にハメられたらしい話をしたんだけど。


「へー、そうだったんだ。

 まあ、文化祭の二日間、普段は閑散としている図書室にすごい数の人が来たんだからいいんじゃない?」

と、のんきな田村。


「図書室なのに、盛り上がりすぎて少しうるさかったかもしれませんね。

 でも、私もいろんな人から、『いつのまにか文芸部と図書委員会がコラボした』ことになってて話題になっていましたよ。

 アニメーション部の部長の呉埼君が『うちもそうすればよかった』って、くやしがっていましたよ(笑)」

と深津さんまで、そんなこと言って!

 いや、アニメーション部はコンプラ違反がグレーゾーンすぎてコラボとかできないから!


 でもまあ、今回は、図書室や図書委員会の評判が良くなるような結果になったから、良しとしようか!


と、思いがけず、充実した図書委員会&文芸部ライフを満喫してしまったけど。

 それも文化祭マジックだったのかな?

 ここからはコツコツした図書委員会の日々になって、図書室定番の読書会と新刊図書の購入で自分が読みたい本を選ばれるか期待するだけの毎日になるかな?

 来月は期末試験もあるし、勉強も頑張らないと!

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