2話_独白と自己問答
長い長い1週間が終わり、土曜日の朝。
この2日間は仕事をしなく済むと思うと、清々しく目覚められる。
ようやく生きた心地がする。
そして多分日曜日の夕方には死にたくなってる。
この繰り返しが人生だと思うと絶望しかない。
俺は一体何がしたくてこの会社に入った?
少しばかりPCを弄るのが得意で、1人でWEBシステムを開発できる力を身に付けたくてこの会社に入った。
だが、やってるのは単なる資料作りと、先輩の言葉を又聞きして上に伝えるだけのクッション役。
同期はガッツリと開発に関わらせてもらっている。きっと今頃は、彼女彼氏とディズニーへ出かけているのだろう。
そんな中俺は1人、彼女も友達もいない・・・
なんだ腹が立ってきた。
やる事もないので、自己啓発系のYouTubeを見る事にした。
自信満々の男が、悩みがあるなら紙に書き出せという事を伝えるのに10分も動画時間があった。
「紙に書き出す事で、脳が整理されるんですよ…」
10分以上の動画なら広告が美味しいのだろう。まるで紙に書く事、世紀の大発見かのようなテンションだ。
話を延長させるのも才能だよな。校長先生の話が長いのと同じことだ。
このモヤモヤした気持ちをずっと抱えたまま終わると、毎週の繰り返しになる。
「まぁ、やらずに批判するのもよくないよな。」
という事で、A4の紙を棚から引っ張り出して鉛筆で書き出してみる。
大事なのは正直になる事らしい。誰かに見せる訳でもないしね…
【俺は何がしたいのか。】
・やりたくもない仕事に縛られて生きたくない。
・1人で稼ぎたい。
・自分で何かを成し遂げたという実感が欲しい。
・道を踏み外したい。
・仕事が嫌だと嘆く日々を変えたい。
こんなところか…
俺は昔から真面目に生きてきたつもりだが、今こんなに大変な思いをしている。
死ぬ勇気も、死ぬ気もないが、楽になりたいという願望はずっと持ってる。
仮にこの大変な日々に耐えて、仕事が出来るようになったところで、自分は報われる日は来ない。
誰かに敷かれたレールの上を走る事で得た平穏な生活というもので、満足できるのか?
いや、できない。
平穏な暮らしを手に入れる事が目標だとする。
それは、今会社に飼殺しにされている状態でも達成はできている。
だけど、これがもし自分の手で試行錯誤を繰り替えして掴み取った結果なのだとしたら、
今の暮らしも大事にできる気がする。
与えられたものではなく、自らつかみ取るという経験が欲しいんだ。
そういうわけで俺は、会社を辞めて1人で生きていく術を模索する事にした。
「さて、どうしようかな。転職っていうか、仕事にしても雇われる形から抜け出したいんだよ。」
A4紙の裏面に、具体的にどう行動するかを書き出す事にした。
元手が必要なくて、始められそうな事・・・
【金になりそうな仕事】
・ビットコインマイニング
・Youtuber
・農業
・転売ヤー
・エセ占いサイト作成し、信者に塩とか買わせる
・生活保護
・偽札作る
書いていて気づいたのだが、思考が社会不適合者なんだよな。
反社会性パーソナリティ障害とでも言うのかもしれない。
でも、ワクワクするな。
あぁ、そういえばあのYouTuber言ってたな。
やらない後悔より、やる後悔だっけ。
鏡を見なくてもわかる、今の俺はとても薄気味悪い笑いをしている。




