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現世続行〜ご都合な展開とかねぇから  作者: ナナシア
第1章_異界との接触
10/16

10話_消えない不安

奇妙な夢を見た。


自分の部屋にずっと一人ぼっちでいる夢だ。

世界から自分だけが取り残されているような、そんな夢。

ただ奇妙なのが自分が、もう一人の自分を天井から見下ろしているような視点である事だ。

自分の夢なのに、部屋の中でうずくまっている自分の存在というものが酷く薄く感じた。



日曜日の朝。

睡眠導入剤のおかげもあって、目覚めは悪くなかった。

こんなにも眠ることができたのはいつぶりだろうか。


気分転換がてらに散歩に行く事にした。

夢なんてものは突拍子のない事ばかりであるので、気にせず家を出た。


目的地もなくブラブラと歩いていると、寂れた神社が目に入った。

こんな場所あったんだとGoogleマップで確認すると、レビューがなく登録すらされていない場所。


鳥居を見ると、呼人と書かれていた。

呼人神社か。


賽銭をいれ、鈴を鳴らして二礼二拍手一礼をする。

車の音などが聞こえてこない、やけに静かで不思議な場所だ。

境内を散策していると、箒を持って掃除している巫女装束の少女がいた。

そんなに大きな神社でもなく、正月でもないのに神社に巫女さんがいるのは珍しいな。


遠目で見てるのがバレたのか巫女さんがこちらの存在に気づいた。


巫女装束の少女は、まるで熊でも出たかのような形相でこちらを見ていた。

後ろを振り向いても誰も居ないので間違いなく自分の事だ。

あまりにもこちら凝視してくるので、居心地が悪くなり声をかけることにした。


「あの、どうかなさいましたか?」


「どうしてここに入れたんですか?」


質問の意図がわからない。

「どうしてって普通に…入れそうだったので。」

「あの、もしかしてここは入っちゃいけない私有地だったりしました?」


「いえ、そういう訳ではないんです。」


変なものでも見ているかのような表情されて、全身を下から上へ眺めている。


「…貴方、昔事故にあわれて死にかけたりしましたか?」


「いえ、あってないですよ。」


「それでは、人を殺しましたか?」


あまりにも突拍子もない質問を投げかけられて心臓が跳ねる。


「いえ、してないです。」


そんな様子を知ってか知らずか。


「なるほど…わかりました。」


一体何を把握したんだ?

さっきから奇妙な会話しかしてないぞ。


「貴方、黒いモヤみたいなのが視界に入ってると思うんですが、あんまり見たり深く関わらない方がいいですよ。」


「なんで、そんな事がわかるんですか?」


黒いモヤが見えるなんて話を誰かに話してないのに、なんで初対面の人間の事がわかるんだ。


「私は巫女ですから、わかりますよ。」


「巫女さんって凄いんですね。」


嬉しそうに微笑む顔が可愛い。

ご機嫌を良くしてもらったついでに質問。


「すみません、同じ質問で恐縮なんですがどうして自分の視界に黒いモヤが入っている事がわかったんですか?」


「うーん、なんというか。その…秘密です。」


ここまで直接的な質問をして断られたなら諦めもつく。


「ちなみに、なんで関わらない方が良いんですか?」


「…良くないことが起きます。」

さっきまで冗談混じりの会話で笑顔を絶やさなかったが急に真顔になった。


「深淵を覗く時、深淵もこちらを覗いてるってやつですよ。とにかく深入りせず心身共に健康的な生活を送っていれば良いんです。大事なのは自分の存在を強く保つことです。」


「よくわかりませんが、そうします。ありがとうございます。」


別れの挨拶を済ませて、神社を後にした。


先ほどの奇妙な会話を思い返す。


Q何故あの巫女さんは俺の視界に映っていた黒いモヤを知っていたか?

A不明。


Qあの黒いモヤに深く干渉したらどうなるか?

A巫女さん曰く、良くない事が起きる。


まったくわからないけど、とにかく普通にしていろって事だ。


最近は朝食を取らないが、早めの朝昼一緒の食事をチェーン店で食べた。

サラダとパンとスープのモーニングセットだ。

プロジェクトが終わった事で土日に仕事をしなくてもよい事の開放感。

ああ、こんな開放感を得たいために生きていると言っても過言ではない。


支払いを済ませて店の外に出た時、何かの気配を感じ取って後ろを振り向いた。



電柱の傍に誰かがつっ立っている。


あまりに不自然なので目を凝らしてよく見てみると、昨晩見た黒いモヤが立っていた。

2本足で立っていたのだ。

昨日は足なんてものはなく、ガスのようなものだったのが足と口まで生えていた。


この間は一瞬目に映った睡眠不足による幻覚だと思っていたが間違いなくそいつはそこにいた。


本当にゆっくりだが少しずつ動いている。


どこへ向かっている?


こちらだ。


全身の鳥肌が立った。



ここでさっきの巫女さんの話を思い出す。

・とにかく深入りせず心身共に健康的な生活を送ること。

・大事なのは自分の存在を強く保つこと。


こんな気の持ちようだけで、目の前の黒いモヤが消えるなんてありえない。

今やるべきことは、事情を知ってそうなあの巫女さんにもう一度話を聞きに行く事だ。


走って呼人神社のあった場所へ向かうが、そこには何もない空き地だった。

間違いなくこの通りにあったのにどこへ行ってしまったんだ。


あの亀の歩くような移動速度であるなら、しばらくは振り切れる。


でも行く当てなどなく、走って家に帰った。

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