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*63* 火加減はご自由に

 なんか『契約』したワイバーンが実はドラゴンで美少年だったという、ジェットコースター級の急展開後。


 あらゆる方位からぶん殴られてボコボコにされた気分のわたしは、現在別の原因によって頭をかかえていた。


「おーはなっ、おーはなっ、きーれいーだなー、あっ、ちょうちょさん!」

「可愛いの権化か?」


 なにを隠そうこちら、自作のお歌を歌ってちょうちょさんを追いかけようとしている、くだんの美少年のせいです。


 あらためてよく観察してみると、見た目はだいたい十歳ほど。背はわたしよりちょっと低いくらい。


 服装がこれまた独特で、いわゆる民族衣装って言われるたぐいの黒装束だったんだけど、不思議なことに、既視感があった。


 というのも、狩衣(かりぎぬ)、だっけ……平安時代の公家さんとかが着てそうな、日本古来の着物に酷似したデザインだったから。


 靴は履いてなくて裸足なんだけど、本人(本竜?)はぜんぜん気にしてなさそうなので、あえてふれないでおく。


 そんな、ぱっちりしたエメラルドの瞳とクリムゾンレッドの髪が印象的な超絶美少年が、わたしとおててをつなぎ、庭園を楽しそうに見わたしている。


「竜人族ではないのでしょうか?」

「俺もそのへんがよくわかんない」


 ユウヒが人間のすがたになったおかげで、冒険者の目を避けて部屋にもどる必要がなくなった。


 だからこうして庭園をお散歩できてるわけなんだけど、連れ立って歩くエル、ノアは、ユウヒに関して疑問が尽きないようで。大丈夫、わたしもだよ。


「竜人族は、ドラゴンにそっくりな亜人のことです。似てるから、そう言われてるだけです。なので、ドラゴンの血は引いてません。ユウヒはとうさまがドラゴンで、かあさまがニンゲンなので、ドラゴンなのです!」

「ドラゴンと人間の混血ってこと!? そんなことあるんだね……」


 言うなればハーフドラゴンってことだよね。そりゃあドラゴンと人間だったら、ドラゴンの血のほうが勝つよね。


「おっきいユウヒだと、すぐヒトに見つかっておおさわぎになっちゃうので、ちっちゃいユウヒになって、あるじさまをさがしにきたのです。でもユウヒ、『せいしんねんれい』がみためにひっぱられちゃうのです……」


 ユウヒによると、からだの大きさを変えられる一方で、ちいさくなると、中身もこどもになってしまうらしい。


『おちびちゃん』は、人間でたとえると赤ちゃんなのだとか。


「でもでも、あるじさまと『契約』してユウヒも強くなったので、中くらいのユウヒになったり、ニンゲンのユウヒになったりもできるようになりましたです!」


 わざわざちっちゃくなって城にもぐり込んでるくらいだから、最初に見た巨大なドラゴンが、ユウヒ本来のすがたってことだよね……?


 この美少年が中くらいのユウヒの人間のすがたなら……おっきいユウヒは、どうなってしまうんだ。


(とりあえず、ユウヒはハーフドラゴンで、ちっちゃいの、中くらいの、おっきいのに自由にからだの大きさを変えられる、と)


 さながら弱火、中火、強火ってか。

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