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【52話】 夏休み⑫ (海)

本当に申し訳ございません!!!!!!

読み直してて思ったんですが、流石に性犯罪に巻き込まれたなんて内容良くないと思い、内容の後半を大きく書き換えました。



修正前の【52話】を読んだ方は、最後の⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎の下から読み始めると【53話】の内容へと違和感なく進めます。



ちなみに【53話】は今日(7月7日)の11時過ぎに投稿予定です。

「どうですか? お客さん」

「すごく気持ちいいです」



 俺は今、ビーチマットにうつ伏せで寝ている。



 さっきの仕返しがしたいのか、鹿沼さんが俺の背中をぎこちない手つき撫でている。

 チューと冷たい日焼け止めクリームが背中に垂らされ、そこを中心に広く伸ばしながら塗ってくれている。

 


「景、体全体で塗ってあげた方が喜ぶよ~?」

「体全体で? どういうこと?」

「水着を脱いで、羽切君の背中に胸を押し付けながら寝転ぶの。そして押し付けたままの状態で体を上下左右に動か――」

「そんな事できるわけないでしょ!?」



 そりゃできるわけない。

 しかし想像してみるとエロイ。

 背中に感じる柔らかい感触と、その中にある二つの点。

 布の抵抗が全くない胸が上下左右に動く。

 あっ、やばい想像してたら下半身が反応してきた。



「ちょっと羽切君?」

「はいっ?」



 突然声をかけられて、ドキッとした。

 

 

「今変な事考えてたでしょ?」

「か、考えてません」

「ふーん?」



 鹿沼さんが立ち上がった音が聞こえたので、俺は上半身を少し曲げて見上げる。

 太もも股下、へそ、胸と順番に視線を動かして行って、最後に鹿沼さんの顔を見上げると、悪戯っ子の顔になっていた。



「な、なに?」

「まだ終わってないから寝ててくださいお客さん?」

「わかりました……」



 俺は再度顔を横にして体をうつぶせになった。

 正直何をしてくるのかわからなくて、怖い。

 俺の視線の先にいる戸塚さんは、スマホを俺に向けていた。



 後ろで鹿沼さんは何やらもぞもぞと動いている。

 少しの間、戸塚さんの方を見ていたら、背中に柔らかいものがグッとくっついた。

 まるでさっき想像していたような感触。

 


「うわああああっ!?」



 俺は思わず悲鳴をあげる。



「羽切君は、こういうのが好きなんだ?」



 耳元で囁かれる鹿沼さんの声。

 その声が脳に届いた瞬間、体がゾクゾクとした。



「と、戸塚さん! 鹿沼さんの暴走止めてっ!」



 戸塚さんはスマホを向けるのをやめると、ニヤニヤとトロッが混じった顔でこちらを見た。



「景、大胆でいいよ~! 羽切君喜んでるよ~」



 さすがに下半身が完全に反応しているが、すぐ下が地面なので大きくなると体重がかかって痛い。

 鹿沼さんが俺の背中から離れたので、俺は首だけで振り返る。

 俺の腰に跨っている鹿沼さんは腕で自分の胸を隠し、真っ赤な顔で悪戯に笑っていた。

 さすがに水着は脱いでいなかったが、それでも想像を越えた柔らかさがあった。

 


「さっきのやり返しだから」

「これがやり返し?」

「ドキドキしたでしょ?」

「そりゃもうとんでもなく」

「なら大成功だね」



 これでは復讐ではなく、ご褒美だけどな。

 それに鹿沼さんも相当恥ずかしかっただろうに。

 


 鹿沼さんが俺の腰からどいても、俺はしばらく体を動かせなかった。

 下半身がビンビンだったからだ。



「じゃあ、続き塗っていきますね」

「は、はい……」



 鹿沼さんは再度ぎこちない手つきで、俺の背中に日焼け止めを塗り始めた。



「羽切君、後でチャット教えてよ~」



 1ヶ月以上戸塚さんと仲良くさせてもらっているが、実は連絡先を知らない。

 基本的に戸塚さんと何かをするときは鹿沼さん同伴なので、特に必要が無いと思っていたからだ。



「いいよ」

「さっきの動画と写真送ってあげるね~」

「動画も取ってたのか」

「景が水着姿で男子の背中に胸を押し付けてる動画は相当貴重だからね~」

「絶対、SNSとかに投稿しちゃだめだからね?」

「わかってるよ~」

 

 

 スマホを向けられた時から俺の背中にある鹿沼さんの手は震えていた。

 俺は発作が起きている鹿沼さんに声をかける事はせず、鹿沼さんが塗り終えるのを待った。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 海の中は冷たくて気持ち良い。

 私達は足首まで海に浸かって、フリスビーで遊んでいる。

 フリスビーをまっすぐ飛ばすのは意外と難しくて、離すタイミングを間違えると明後日の方向へ飛んで行ってしまう。

 しかもビーチボールなどとは違って、かなりの飛距離飛ぶので最悪の場合岸からはなれた場所まで飛んで行って紛失してしまう場合もある。



 最初はまっすぐ飛ばすのに手間取ったが、15分程遊ぶとだいぶ慣れてきて85%くらいの確率でまっすぐ飛ばせるようになった。

 羽切君と美香も最初は変な所に飛ばしていて、私は海岸から少し離れたところまでフリスビーを取りに行ったので、ヘソまで海水で濡れた。

 


 美香だけが浜辺にいて、私と羽切君は海に入った状態の▽の配置で投げ合っている。

 フリスビーの素材はかなり柔らかいので、人に当たっても大丈夫だと判断してかなりの距離をとって投げ合っている。


 

 今は羽切君がフリスビーを持っていて、私が受ける番。

 


「いくぞー」



 羽切君はそう言うと、フリスビーが空高くまっすぐと私の方へ飛んでくる。

 どうやら羽切君は力の加減を間違えたようで、私は少し後ろに下がる。

 すると、お尻にむにっと何かが当たった。

 私はそこで立ち止まり、振り返る。

 そこにいたのは小さな男の子。



「ごめんね」



 私は男の子の顔の位置まで屈んで、謝る。

 男の子は私の顔を見るなり、徐々に泣き出しそうな顔つきに変わっていった。

 その顔を見て、私はドキッとした。



「泣かないでお願い……」



 私の懇願も空しく、男の子の下瞼に涙が溜まっていく。

 ああっ、どうしよう……。

 男の子を泣かせて、親が怖い人で怒鳴られたら……。



「そうだ! アイス買ってあげるから泣かないで?」



 男の子はアイスという言葉を聞いて一瞬、瞳を輝かさせたけど、すぐに警戒色に変わった。



「お姉ちゃん、悪い人?」

「ううん、悪い人じゃないよ?」



 さすがに平和な日本でも知らない人に物を貰ってはいけないという教育は浸透しているみたいだ。

 これでは私が誘拐しているみたいじゃないか。

 それにしても、こんな小さな子が一人で歩いてるなんて変だ。

 周りを見渡しても親らしき存在も見えないし。



「君、お母さんは?」

「お母さん……いなくなっちゃった」

「ええっ!?」

 

 

 どうやら迷子になったみたいだ。

 

 

「どうした?」



 私を心配して羽切君と美香が駆け寄ってきた。

 

 

「この子、迷子みたいなの」

「景はつくづく男に好かれるね~」

「全くだ」

「そんな事ないって!」


 

 とは言ったものの、自分が男性の視線を集めているのは自覚している。

 もちろん男性に限ったことではなく、女性からもジロジロ見られることが多いのだが、その割合は男性からの方がやはり多い。



 それにいつもは服を着ているが、今日は海で水着姿。

 露出が多いし、いつもより視線がねちっこい。

 そのせいでパラソルの陰から出てからずっと手が震えっぱなしだ。

 もし羽切君が近くにいなかったら、耐えられてはいないだろう。

 

 

「とりあえず、迷子センターに連れていくか」

「そうだね」

「おっけ~」



 私は男の子の手を握る。

 そして迷子センターまで歩き出した。



☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆



 海での迷子は親にとって怖いものだ。

 夏の時期は毎年のように水での事故がニュースになるので、親としては自分の子から目が離せないだろう。

 しかし子供の好奇心や冒険心というのは中々予測できない行動へと搔き立てる。

 そしてその行動が、よくある親が一瞬目を離した隙にいなくなってしまったという事につながるわけだ。



「お姉ちゃん」

「うん?」



 迷子の子供が立ち止まった。

 俺の目の前には迷子の子供とその左右で手を繋ぐ鹿沼さんと戸塚さんの姿。

 やはり子供の相手は女性の方が慣れてるし、警戒されにくい。

 それにもしこの時点で親が見つかったとしても、俺が手を繋いでいるよりも女子高校生二人と手を繋いでいた方が疑われなくて済むし。



 いつも一緒にいる二人のビキニ姿。

 そして子供を連れて歩くその後ろ姿はどこかそそるものがある。

 


「アイス」



 子供は鹿沼さんを見上げて言った。

 

 

「あ……ああ、アイスね。約束したもんね」



 いつそんな約束したのかわからないが、鹿沼さんは忘れていたみたいだ。

 鹿沼さんは子供の目線まで腰を下ろした。



「どんなアイスがいいの?」

「抹茶アイス!」

「抹茶……」



 鹿沼さんが俺を見た。

 この年齢で抹茶が好きとは珍しい。

 いや、俺もこのくらいの時から好きだったか。



 鹿沼さんが俺を見たことで、子供もつられて俺を見た。

 俺と目が合うと、隠れるように鹿沼さんの体に引っ付く。 


 

「羽切君、怖がられてるね」

「男だから仕方ないな」

「子供が苦手って雰囲気出てるからだと思うけど」

「別に苦手じゃないけどな」

「ふーん?」



 俺は別に子供嫌いじゃないけど、子供が怖がってるから距離をとってるだけだ。

 それに鹿沼さんが子供と一緒にいる姿を見ていると、なんだか嬉しいようなほのぼのするような……。

 子供を見る鹿沼さんの横顔とか、態度とか今まで見れなかった一面を見れて何か不思議な感情が湧いてきていて、それが何かわからずモヤモヤしている。

 


「羽切君は子供が嫌いなんじゃなくて、景が子供と楽しくしているのを見て内心羨ましがってるんだよね~」

「それは違うと思う」

「へー、羽切君は子供にライバル心抱いてるんだ?」



 鹿沼さんは悪戯な顔で俺を見上げた。

 ライバル心ではないけど、ちょっと羨ましいとは思っていた。

 子供だからどれだけ近づいても、どれだけ触っても許されるし。



「間違っては無いかもな」

「そ、そっか」

「それより鹿沼さん」

「うん?」



 俺は横の腰骨辺りを手でトントンと叩くジェスチャーをする。



「水着脱げそうだよ」

「へ!?」



 鹿沼さんの体に隠れていた子供が、鹿沼さんの水着の紐を引っ張っているのだ。

 それもアンダーの両端にある蝶々結びされた部分。

 片方でもここが解かれると、水着が地面に落ちて下半身を完全に露出することになってしまう。



「ちょっ!? ここは引っ張っちゃダメだってば!」



 子供の好奇心と行動力は時に素晴らしい仕事をしてくれるみたいだ。

 俺と戸塚さんは鹿沼さんが焦っている姿を見て、大笑いした。

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