【103】 二学期(アルバイト)
たまにはなーんでもない話を書く。
【祝】総合評価100達成
評価とか怖くて見れないんだけど、いつの間にか超えてた。
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人生初のアルバイトが始まった。
八木君にアルバイトの求人の事を教えてもらって、実際にその求人に電話して、面接して、合否の連絡を受けて……。
採用されるまでそこまで時間はかからなかったが、自分のシフトを決定するのに時間がかかった。
というのもやはり人生で初めて社会に出るわけだし、何かミスしたらどうしようとか上手く接客できなかったらどうしようとか色々考えちゃって覚悟が決まらなかったのだ。
「おっ、鹿沼さん来たね。よろしく!」
しかし採用されたのにずっとシフトを入れないのは迷惑だと思って、学校終わりの今日を初出勤として指定した。
店の従業員専用部屋に入るとそこには30代くらいの男性が立っていて、私を見ると柔らかい笑顔で出迎えてくれた。
この男性はこの店の店長で面接をしてくれた人だ。
「よろしくお願いします!」
「凄い緊張してるね。バイト初めてなんだっけ?」
「はい、人生初です」
「じゃあ僕が付きっきりで丁寧に教えてあげよう」
店長はふふんと腕を組んで得意げな顔になった。
「セクハラですよ店長」
そんな言葉が突然背後からして振り返ると、私とは違う制服姿の女子が部屋に入ってきたところだった。
「優ちゃんー、セクハラとは違うんじゃないー?」
「女子高生好きのオジサンって存在だけでセクハラです」
「ちょっとぉ、別に僕が好んで女子高生ばっか選んでる訳じゃないんだからねー?」
「じゃあ理由は何ですか?」
「ここパフェ屋だよ? 可愛い女子高生が接客した方がお客さんも喜ぶし?」
「にしてはウチの客層、女性ばっかですけど。カッコいい男子高校生を採用した方が喜ばれるんじゃないですかね」
「だって男用の制服用意してないもん……」
「やっぱり店長の性癖が女子高生ってだけじゃないですか」
「うぐっ! 本当に違うからっ!」
30代で女子高生に興味があるのは別に変な事じゃない。
もちろん手を出したら犯罪になってしまうけど、この人から私に向けた好意の目はほとんどないし大丈夫そう。
でも女子高生ばっかり採用しているというのはちょっと引っかかる部分でもある。
「ええっと、あなた名前は?」
店長さんがしょんぼりすると今度は私に声がかかった。
「鹿沼景です」
「どこ高?」
「〇〇高校の一年生です」
この駅には高校が三つある。
一つは私たちの高校でもう一つは佐藤さんの女子高。そして最後に××高校。
この三校はこの駅から北口、東口、南口側に位置していて場所は真反対に近いんだけど距離的にはそこまで遠くない。
目の前にいる女子は××高校の先輩で、私にとって××高校の人と関わるのは初めてだ。
アルバイトを始める事で地域の違う学校の人と知り合えるのは結構良いメリットかもしれない。
「私は××高校の二年。〇〇高校って事は未央の知り合い?」
「実は未央さんに紹介されたんです」
「へー……」
何やら微妙な顔をされた。
「どうかしました?」
「いやね、未央の友達ってだけでちょっと不安で」
「不安? 何がですか?」
「ドジじゃないかなって」
「あぁ、それなら大丈夫です」
佐藤さんは結構なドジ気質があって、この店で何度も商品をこぼしたと聞いた。
前には羽切君の頭に豪快にパフェをこぼしたし、今では簡単な会計を任されているらしい。
「とりあえず更衣室においで。制服の着替え方から教えるから」
「はい」
「着替え終わったら早速接客ね。マニュアルもあるけど、基本的に注文されるメニュー数も少ないし商品とテーブル番号だけ覚えて厨房に言ってくれればいいから」
「わかりました」
私は制服女子と一緒に更衣室へと入る。
入って気づいたが、この人の名前を聞くのを忘れていた。
しかし学校の制服からアルバイトの制服へと着替え、胸にネームプレートを付けた所でその人の名前がわかった。
名前は王優。
制服に着替え終えた後、ある程度の接客方法を学んだ。
そして更衣室から出ると休憩室にはまだ店長が残っていて「ちょうど注文入ったみたい。私作るから、鹿沼さん商品持って行ってくれる?」と言ってきた。
私は「わかりました」と了承し、客のいる表舞台への扉を開ける。
初めてのアルバイトが始まる。
中学時代のあのイジメから怖くて人と関わることを避けてきた私がまさかアルバイトを始めるなんて自分でもびっくりしている。
学校やクラスにしっかりと馴染んできて、信頼できる友達もできた事。そして自分の発作を戸塚家父親の精神科医に診てもらった事で何が起きてるのか理解できたことが大きいんだと思う。
「はい、これ6番テーブルのお客さん。落とさないようにね」
キッチンからプレートに乗った三つのパフェが小窓のような場所から出てきた。
私はそのプレートを持ち、慎重にお客さんの元へと運ぶ。
今日はまだお客さんが少ない。
私はシフトを入れる前一週間にこの店の隣のカフェに入って調査をしていたのだが、この店はもうすぐお客さんが増え始める時間。
主婦だったり若者だったり学生だったり色んな客層が来るけど殆どが女性客。
パフェ専門店である事と女性ばっかの店内の様子で男性は入りずらいんだと思う。
「お待たせしました。こちらパイナップルパフェと――」
お客さんに無事に商品を届けるとピンポーンという音と共に入り口に人が立っていた。
今までの人生で客として色んな接客を受けた事があるから自然と何を言えばいいか脳内に浮かんでくる。
「何名様ですか?」
「二人です」
「では、奥の席へどうぞ」
なんだかやっていけそうな気がする。
だってここにいるのは女性がほとんどだから発作は起きないし、接客もそこまで細かく見られてないからなんとなくでもそれっぽくなる。
「鹿沼さーん、出来たから運んでー!」
「はーい」
動き出さない時が一番怖くて、動き出したら意外とあっけなかったみたいな事はよくある。
この初出勤が終わったら、私もまた一つ成長できると思う。
普通の高校生活、普通の成長曲線。
そんな期待を胸に、再度キッチンへ向かった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
俺の転勤時期が12月25日と決まった。
まさかのクリスマスに俺は日本からイギリスへと旅立つ。
日本はイギリスよりも9時間時間が進んでるし、飛行機でイギリスに行くと大体12時間くらい。
つまり旅立つ時間によっては俺は二日間クリスマスを経験できるという事になる。
転校の時期が決まっても特に何も感じなかった。
もうこれで21回目の転校だから当然だ。
だけど何も心残りが無いというわけではない。
心残りの一つは妹の絵麻が今後どうするのかについて。
進路もそうだけど絵麻は多分、今の家を離れたいと考えていると思う。
今週母さんが帰って来て話したのだが、絵麻は受験で今俺のいる高校を滑り止めとして選んでいるらしい。
これはあくまで俺の予想でしかないが、絵麻は多分滑り止めだと思ってないと思う。
つまり、わざと家から4時間かかるこの高校を受験して進学するという選択をして家を離れるという手段を取ろうとしているという事。
正直、再婚相手の一応形式上母親の女性と一緒に暮らすなんて地獄そのものだし、俺としても実の妹がそんな家で地獄の日々を送ることは望んでいない。
ただもしその手段を取るとしても、実際どうするかに関しては早めに決めておかないといけない。
俺の予想は母さんにも伝えたし何か良い方向に動くといいのだが……。
心残りの二つ目は鹿沼さんについて。
発作は現在、色んな薬を使ってどれに効果があるのかを試している最中だが、正直薬で発作が治まったとしても治った訳じゃないから少し心配なのだ。
一応毎日八木と握手させる事で効いてるか効いてないかの判断をしているが、まだ発作を発現させないという効果は見られない。
俺がいる間にその効果が見られれば少しは安心するのだが。
「おーい、羽切君これ運んでー」
今この時間は鹿沼さんがアルバイトをしているわけだが、俺もまたアルバイトを始めた。
とはいえ、もうすぐいなくなるから長期的な事を見込んだものではなく、日雇いバイト。
時給1600円くれるという事で引越しのバイトを入れたのだが、これがなかなかきつい。
荷物を五階まで運ばないといけないが、エレベーターがない。
つまり家具や段ボールを一個一個階段で運び下に降りを繰り返すのだ。
ちょっと自分の体力を過信してた部分もある。
それに筋トレを高校に入ってから始めた事で筋力的にもいけるかなと思ったのだが全然負荷のレベルが違う。
これでは筋トレを毎日するよりも引越しの日雇いバイトを毎日した方が圧倒的に筋力がつきそうだ。
俺がバイトをしようと思ったのには特に理由はない、何となくだ。
鹿沼さんがアルバイトを始めると言い出した事で俺も何か始めないといけないと思わされ、やってみたくらいの感覚。
しかし何だろう、一番近くにいる人が何かを始めると自分も何かを始めなくてはいけないみたいなこの感覚。
背中を押されてるのか焦らされてるのかよく分からないけど、でも行動を促されるという意味では結果的には良い事かもしれない。
今回の日雇いバイトは学校終わりの16時30分から18時30分までの二時間。
二時間で部屋への積み下ろしを済ませなくては行けないからかなり急足だ。
俺はあくまでバイト要員だし基本的に部屋の中で何かを組み立てたり客が求めている場所に家具を配置したりはしなくても良い。
だけど俺がバイトか社員かは客からはわからないし、一応ちゃんとした立ち振る舞いは大切だ。
「羽切君、お疲れ様」
荷物を全部運び終えると、社員の一人の方が言った。
時計を見ると18時20分を指していて思っていたよりも時間の進みが早い。
「これ、今日の分ね」
封筒を渡され、中を見るとお金が入っていた。
今でも現金で給料を支払うというのにはちょっと驚いたけど、それでも俺にとっては人生初の給料だ。
時給1600円で二時間だから3200円。
多くはないけど、ちょっと嬉しい。
「歩いて帰れる?」
「はい、家近いので」
「じゃあ車の中で着替えて解散ね。お疲れ様」
「ありがとうございます」
俺は一階へと降りて社員さんの車の中で私服へと着替え、家までの道のりを歩く。
空は既に暗い。
鹿沼さんの方は大丈夫だろうか。
確かあっちのシフトは15:40から18:40まで。
急いで向かえば鹿沼さんが働いてる所を見れるかもしれない。
俺は家ではなく、リオンへ向かう事にした。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
初出勤ももうすぐ終わりだ。
私が私がシフトを入れたのは15:40から18:40までで、窓から見える空も暗い。
まだ初日だけどこの店での流れはある程度分かったし、今日もスムーズに業務を遂行するが出来た。
リオン自体が19時15分で終わりだからもう閉店間近。
お客さんももういないから店長と王さんは掃除を始めている。
「鹿沼さん、今日はお疲れ様」
キッチンから出てきた王さんに背中をトンと叩かれた。
初出勤を乗り越えられたことが何だかすごく嬉しいし、これからもやっていけそうな自信が湧き出てくる。
「王さんはシフトいつ入れてるんですか?」
「うん? どうしてそんな事聞くの?」
「私まだ不安だから王さんと同じ日にシフト入れようかなって」
「私は、水木金の学校終わりから閉店までいるよ。っていうか鹿沼さん今日の感じ見てると全然大丈夫そうだけどね」
「少なくとも来週までは王さんと一緒が良いな」
「やだ、キュンとしちゃった」
「不安だからって意味ですよ?」
「わかってるよー」
王さんの雰囲気は美香に似ている。
美香ほど自由奔放な感じはないけど、開放的な感じは一緒だ。
普段遊んでそうな、淫らな事も何の躊躇いもなくしてそうな雰囲気。
この地域の他校がどんな感じなのか私は知らないけど、似たような人はそれぞれの学校に存在しているのは確かだ。
私は今まで何回も転校してるから間違いない。
そんな事を考えてると、ピンポーンという音が鳴った。
この音はお客さんが入ってきた時の音だ。
しかし閉店まで残り15分。
このまま通すか、追い返すか迷いながら対応に向かうと知った顔の二人が立っていた。
「鹿沼さんお疲れ様ー!」
佐藤さんと八木君。
二人はいまだに制服姿で家に帰ってないらしい。
もしかしたら制服デートをしてたのかも。
「えっと、もうすぐ閉店なんだけど」
「食べにきたんじゃないよ。鹿沼さんの初出勤を一目見にきただけ。それより相方王先輩でしょ? 大丈夫だった?」
「大丈夫って……? 凄く優しかったけど?」
「ええっ、私が新人の時は物凄く厳しかったのに」
「それは未央がドジしまくったからじゃないか?」
「そういう事なのかなー?」
今日の王さんの感じだとそれ以外無さそうだ。
「おーい、もう閉店するんだから帰った帰った」
王さんが後ろから歩いてきてシッシッと手で払いながら言った。
「鹿沼さんの初出勤祝いはしたんですか?」
「これから作るところだよ」
「じゃあ私達も入って良いですか? ほら、お祝い事は人数多い方がいいでしょ?」
「まあ……鹿沼さんが良いのなら」
「私は良いですよ」
「やった!」
佐藤さんはお店の扉についている“営業中”の札をひっくり返し“準備中”になった。
そしてみんなで誰もいない店内へと戻った。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
リオンまでの道のりは家よりも遠く、思っていたよりも時間がかかってしまった。
時刻は19時ちょうど。
鹿沼さんのシフト終わりよりも20分も遅れてるしもう働いてはないだろうが、それでももし会ったなら初出勤だったわけだし一緒に話しながら帰ろうかなと思っていた。
リオンの北側入り口に着き、外からガラス張りのパフェ店を覗き見てみる。
そこには何故か八木と佐藤さんがいて、鹿沼さんと知らない女子の四人で楽しそうに談笑していた。
鹿沼さんの表情を見るに、今日の初出勤は問題なく終わることができたのだろう。
俺がいなくても鹿沼さんは問題なくやっていける。
少なくとも人間関係でまたとんでもない標的にされる事はまず無い。
何かあれば事情を知ってる戸塚さんや八木がいる訳だし、相談すれば助けてもらえる。
鹿沼さんの発作を他人に話すたびに心が軽くなると同時になんだか喪失感も感じる。
まるで事情を俺だけが知ってるという特別感みたいなのが無くなっていく感覚。
多分、俺は自分に酔っていただけなんだと思う。
鹿沼さんの隣にいれることは俺が努力して得た立場でもなんでもない。
ただ親が同じ会社の社員で、同じ転勤族で、たまたまあの学校でいじめられてたのを助けて、発作のことをあの学校のことを知ってたから気付けてあげれただけ。
つまり全部、運。
学校だけでも鹿沼さんの事を本気で好きでアピールしたり勇気を出して告白したりと努力している人がいるのに、運で得た地位を手放すのを惜しいと感じている自分がいる事に嫌悪感を感じる。
「あっ、羽切君だ」
隠れながら店内を覗き見ていると、俺の背後から名前を呼ばれてビクッと体が跳ねた。
振り返るとそこにいたのは竹内さん。
「竹内先輩、バイト帰りですか?」
「うん。そっちは……鹿沼さんの浮気調査?」
「違いますよ、鹿沼さんの初バイトを見に来たんです」
「へー、あっ王さんもいるね」
「知ってるんですかあの人」
「うん、××高校の二年生だね。合コンで見かけた」
「竹内先輩も行くんですねそういうの」
「今どき合コンなんて大人でもあまりしないよね。でもこの地域の三校では結構伝統らしくてね、それで彼氏ができたって子も多いんだよ? 私は結局できなかったなぁ……彼氏」
「まだチャンスありますよ」
「無理だよ……一年生の時はたくさん合コン行ってたんだけど全然だめで自信失くしちゃったし、逃げるようにバイト掛け持ちしてるんだもん。それにもう私の高校生活も終わっちゃうし」
竹内さんは三年生。
後半年くらいで大学入試共通テストがあるし、卒業までは7ヶ月くらい。
時間的にも時期的にも恋愛をしている場合ではないし、彼氏ができたとしても高校生としての恋愛は短い。
「じゃあ大学で頑張りましょう。高校よりも彼氏できやすいと思いますよ」
「ううん、私大学行かないかもだし」
「就職ですか?」
「うん、今のアルバイト先の企業が正社員としてこないかって言ってきたの」
「凄いじゃないですか」
「でも悩んでる。学生の間に恋愛できないって一生尾を引きそうだし、かといって大学に進学しても彼氏できるとは限らないし」
就職か進学かという選択は人生を左右する。
基本的に企業から正社員として来てほしいと言われる人はいないから、進学校の学生なら何も考えずに大学へと進学するだろう。
しかし進学したからと言ってその後の人生が高校から働き始めた人よりも豊かになるとは限らない。
それに竹内さんの場合はそういう観点じゃなくて“学生時代の恋愛”というものに憧憬を抱いていて、それが叶ってない現状を進学で取り返せるんじゃないかと考え悩んでいるという事。
「何だったんだろうね、私の高校生活。ほとんどアルバイトに費やしちゃった」
竹内先輩は薄く笑顔を見せるが、そこには諦めと後悔が垣間見える。
しかし俺はかける言葉が思いつかない。
竹内先輩の悩みは高校生活で憧れの恋愛ができなかったという過去にあるからだ。
過去はもう覆らない。
それを認めた上で進路を決めるのが大切なのだ。
しかし進路についても俺が口出しする事ではない。
「帰ろっか。ごめんねなんか」
「いいえ、家近いなら送りますよ」
「いいの? 鹿沼さん送らなくて」
「鹿沼さんは――あっ」
店内に視線を戻すと、ガラスに頬をくっつけてこちらを睨んでいる鹿沼さんと目が合った。
そして口をパクパク開いて何かを言っている。
「見つかっちゃったね。っていうかこれまずくない?」
「まずいとは?」
「浮気だと思われてるかも」
「私服の竹内先輩と制服の俺がですか?」
「それもそうか」
俺達はガラスの向こう側で膨れっ面になる鹿沼さんを見て、ニヤニヤしたり変顔したりして煽って遊んだ。
意外にも竹内先輩も一緒にしてくれて、鹿沼さんの怒っているような仕草を見て笑った。
俺にとって後悔しない高校生活ってなんだろう。
高校生活はただの中学生活の延長に過ぎないと思っていたけど、竹内さんの後悔を聞いてもう少しまじめに自分の高校生活について考えるべきだと思わされた。
中学生という子供でもなく、大学生という大人でもない。
子供のように好奇心旺盛で大人と同じように自由に行動できる時期に俺は何がしたくて、何を求めているのか。
鹿沼さんとの帰り道、そんなことを考えていた。
初めて主人公と鹿沼さんの会話が一切ない回じゃないかな。