プロローグ
二作品目書きました
ダンジョンマスターそれは、迷宮の維持・管理を任された者。選ばれた者は、殺人を厭わない『β』寄りの思考となってしまう。自分が殺されないために殺そうとする人を殺す。それは、人間世界に於いては『正当防衛』という形で殺人という犯罪行為をなかったことにしてくれる。
「うーん。ここ、どこ?」
目が醒めると突然、見知らぬ小部屋に寝かされていた。
「私の名前は、………………桜 深鈴。うん、覚えてる。で、なんだろこの状況」
私は、起き上がり小部屋を散策することにした。すると、壁に埋め込まれている大きな宝石?のような物を見つけた。それに触れた瞬間様々なことが起きた。
〈ダンジョンマスターの登録を確認しました。異世界からの転移者と判明。ダンジョンマスターとしての知識・思考を埋め込みます……………失敗しました。再試行します……………失敗しました〉
「へ?ダンジョンマスター…………それって、私人殺さないといけないの?このダンジョンにやってくる『人たち』を?」
彼女は、ラノベやアニメ、漫画が好きな部類だったので理解した。してしまった。
「いやぁぁぁぁぁ!!いや、いやぁぁ!私、殺したくない!殺したくないよぉ」
パニックになり、泣き叫ぶ彼女。すると、褐色の肌がそこにあった。
「大丈夫、大丈夫だからね?」
「グス、ヒッグ。あぁ、あの誰ですか?すみません、泣き叫んで」
「うん、気にしてないから大丈夫だよ。私は、《魅惑の魔女》とでも呼んでくれたらいいわ。まぁ、渾名だけど。本名は、そうねもうちょっと仲良くなってからね」
彼女は、一言で言うとエロかった。その、なんというかその色々あかん!《魅惑の魔女》という渾名の通り数々の男性を魅了し惑わせてきたのだろう。
「…………ごめんね、あなたをダンジョンマスターの宿命から解放したかったけど無理だったみたい」
「そんな………」
「だから、あなたはダンジョンを作成して1ヶ月後のダンジョン解放に備えなければならない」
「なんとか、なんとかならないんですか?私、殺したくない!」
この後に及んで、彼女は『殺したくない!』とのたまったのだ。ダンジョンマスターとしての覚悟はないのだろうか?
「………………そう、わかったわ」
「失望しましたか?そりゃ、そうですよね。この後に及んで『殺したくない!』だなんて、ダンジョンマスターとしての『覚悟』がないですよね…………」
彼女は、ようやく理解したようだ。そうだ、ダンジョンマスターたる者侵入者を殺すそれが生き残るための唯一の方法だ。
「生き残る為には、「黙りなさい!」———ッッ!!」
唐突に思考が止まった。魔女の大声によるものだろうか、小部屋がある空間全体が軋みをあげ『揺れていた』。空間の揺れが収まった後、魔女は彼女にこう言った。
「あなた、『殺したくない!』って言ってたわよね?」
「はい。やっぱりダメでしょうか?」
「…………どうして?」
「だって、ダンジョンマスターは侵入者を排除するのが『普通』だから………」
「あなた異世界からの転移者よね?元の世界にダンジョンなんてもの存在した?」
「空想の中では存在してた。空想の物語では、ダンジョンマスターは侵入者を殺してた。それが『普通』なんだから私も環境に適応しないと『生き残れない』」
「『生き残りたいから』いままでの『普通』を壊して『殺す』か」
「うん、そうだよ。私、『覚悟』きまったよ。今なら私侵入者を「それは、『覚悟』とは言わない。『逃げ』と言うの」……………」
彼女は、魔女の言葉に言い返すことができなかった。
「本当の『覚悟』は、そんな甘いものじゃない。本当の『覚悟』というのは、例え、他人から理解されなくても、『異常者』だと罵られようと、決して曲がることのない自分自身の『意思』のことよ!これから、あなたには数々の試練が襲いかかると思う。でもね、『覚悟』を持っていれば乗り越えられる。《魅惑の魔女》が予言するわ!あなたは、この世界の『普通』を書き換えることができると!」
この言葉により、彼女の行く方向が決まった。
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