やな予感しか無い
もはや絶望
地獄とはこう言う状況を言うのだろう。
金蘭豪華な広い部屋(きっと狭いほうなのだろうけど)で、三方それぞれ独自の空気を纏っている。
無理矢理召喚されて泣いて怒って疲れ切った不機嫌なおばさんと女子高生。
召喚したものの、無関係な人物だったという無能っぷりを披露してしまい立場のない魔術相の方々。
部下の無能っぷりに怒りを隠せない陛下。
空気が悪すぎる。
そこへ、メイド長直々の指示の元、いくつものワゴンが運ばれた。
「皆様、お召し上がりください」
怒りに食欲は無いけれど、時間からすればお腹が空いているはずの時間だ。
見た目は硬そうなパンを薄く切り、その上に煮た野菜や煮たお肉が乗っている。
微妙に嫌な予感がする。
煮た物しか乗っていない。料理の幅が狭いし、世界的に生鮮野菜は期待できない。味が単調ならまだマシだけど、偏っていたら最悪。
そして、それは確信に変わる。
塩っぱい。
舞ちゃんの表情が翳る。飲み物は葡萄酒だし十代女子からすれば、好みから遠い。というか、水が怪しい。
そして、代わりに水をもらうも……
「これ?」
薄暗い室内でもわかるほど濁っている。
衛生概念とか以前に、食べ物の確保にも慎重を要するとは。
その可能性も考えなかった訳じゃないけど、ここまで、ここまで酷いか〜!
異世界転生ものだと、割と環境がいい話もあるけどここはそうじゃない方か。
オタク脳をフル回転する。
「果汁で何かあります?」
「少々お待ちを」
出されたのは少し黄色っぽい甘い香りの液体で、舞ちゃん恐る恐る口にする。
「飲めそう?」
「はい。これなら飲めます」
周囲が安堵する。私もホッとした。
しかし、水食べ物に関して大きな問題がある事を確認した。
この先、かなりキツイ事が確定。
明日は水と食べ物の確保を優先するしかない。
はぁ、疲れた。
もう、休みたい。
体力の限界