久しぶりのふかふかベッド
◆◆◆久しぶりのふかふかベッド◆◆◆
ようやく見つけた宝箱は、ぽつんと罠も魔物もなく置いてあって、開けたら効果不明の指輪が入っていました。
ここにたどり着くだけで、キリコさんの足でも2時間くらいかかっていました。
「帰りませんか?」
私は罠確認用に呼んでいたスケルトンさんを並べながらたずねました。
「×××××××××××××××××。人化。はぁ、我も疲れた。いや、体は疲れてはいないのだがな・・・。」
キリコさんは器用にも、人化しながら荷物をスケルトンさんたちに持たせています。
「この羽、どうやって使えばいいかわかりますか?」
私は無くさないようにとアイテムポーチに入れていた帰還の羽を取り出しました。
「上に掲げて、それっぽいことをいれば発動する、はずだ。実際に使った事は無い。」
「それっぽいこと、ですか?えーと、じゃぁ・・・。」
私は帰還の羽を上に掲げて叫びました。
「はつどー!!」
「そのままではないか。」
それでも帰還の羽は発動したみたいで、周囲の景色がやっと変わっていきます。
視界が晴れると、ダンジョンの入り口にいました。
「この入り口を見るのはなんだか久しぶりですね。」
「久しぶりも何も、一度しか見たことなかろう?」
「えへへ、そうですよね。」
私たちは、さっそく手に入れた宝物を買い取ってもらうために、ギルドへ向かいました。
ダンジョン村のギルドは、町のギルドよりお酒を飲んでいる人が少ないので使いやすいですね。
「これはこれは、ヘンリエッタさん。お元気そうですね?」
突然背後からサリアさんの声がしました。
「あ、サリアさん、こんにちわ。外出中だったんですか?」
なんだかサリアさんのしゃべり方が変ですね?
「しがないギルド員は仕事に忙しくて、動ける時に動ないといけないんですよ。それで?ふらっとダンジョンにいって1日で帰ってくるのかと思えば1週間近くも帰ってこない?いやいや、ヘンリエッタさんは私なんかが気が付かない間に大きく成長・・いや、飛躍なさったんですね。」
「えっと、だいたい5日くらいだったと思いますよ?」
「そんな話をしているわけじゃぁ無いって、分かるよね?」
「は、はい・・。」
どうしよう!私のせいじゃないのに!!
「昼ごはん、奢ってあげるから、ちょっとお話、しようか?」
【使役中のアンデッド 個体名:キリコ が帰還しました。】
「あー!!キリコさんずるい!!!」
ガシッ!と肩を掴まれました。
「もちろんお姉さんの話、聞いてたよね?」
「ハイ、キイテイマシタ。」
「じゃぁ、行こっか。」
「はい・・・。」
その夜。
「もう、疲れました・・・。」
私は、サリアさんが手配してくれていた宿の部屋にたどり着くとパタリとベッドに倒れ込みました。
わあ、ふかふかだぁ・・・。
「ふぅ、危ないところであった。人間の長話は鬱陶しくてかなわぬ。」
「キリコさんだけ逃げるなんてひどいです。そもそも私は入ったその日に帰るつもりだったのに、キリコさんが押し通したんじゃないですか。」
「我は進言したに過ぎぬ。その進言が必ずしも正しいとも限らぬ故、正しく吟味し、誇りをもってより求むるに近い選択肢を選び取らねばならない。主とは大変苦労を伴うものなのだ・・・!!」
キリコさんがなんかいいこと言った!みたいな顔をしながら首を振っています。
「なるほど、素晴らしい心がけですね。ですが、よりよい意見を進言できるよう使える側にも精進が必要なんですよ?」
「む、貴様、どこから湧いた!まて!離さぬか!!」
「アンデッドだから夜は寝なくても大丈夫なんでしょう?さ、行きましょうか。もちろん、暴れたりなんかしませんよね?」
キリコさんがサリアさんに連れていかれました。
「ギルドに預けたたからもの、いくらになるかな~。」
お説教をされている間に、スケルトンさんたちに運んでもらっていた使う予定の無いものはせっせとギルドの査定の人が運んでくれたんです。
「何か買おっかな~?新しい靴とー、帽子に手袋もいいかな~?あ、弓も買うんでした。どんなのがいいかな~?それからそれから・・・」




