大物がいるぞ?
◆◆◆大物がいるぞ?◆◆◆
適当に歩いていると、だんだんアンデッドの数が増えてきて、気絶付与が忙しくなってきました。
キリコさんが倒すと、私がもらえる経験値が少なくなってしまうので、食料とMPがあるうちは私が倒すことにしています。
気絶付与を初級にしてあるので、5回に1回くらいは効果を発揮してくれます。
アンデッドだから気絶なんてしない・・・どころか、肉体との結びつきが弱いので簡単に意識が飛んでしまうみたいです。
「お、かなりの大物がいるぞ?」
「どれです?」
【霊体を捉えました。魂を吸収しますか?】
「あれだ、わかるか?」
「あ、はい。なんだか、霊体みたいですね。」
背丈は遠いからなんとなくですが3mくらいはあるように見えます。
黒くて長いローブを羽織り顔は見えず、常に浮遊しているみたいで足もありません。
おかげで言われるまで気が付きませんでした。
影に当たる部分にはなんだか深い闇が広がっているようにも見えます。
右手に持つランタンからはほんのりと青い光が漏れているようで、左手には私よりも大きそうな鎌を携えています。
「“命を刈り取る亡者”とはレアだな。
ああ見えて鎌ですら霊体だから物理攻撃の効果が薄い。
加えて高位アンデッド特有の高すぎるHPも備えているし、あのランタンで周囲の生者からHPを吸い取って回復まで出来る。
極めつけは鎌を使った魂攻撃だ。
魂の防御力などそう簡単に鍛えらえるものではないし、
特殊なスキルでも持っていない限り一撃で命を刈り取られてしまうだろうな。」
「み、見るからに強そうなので、魂をきゅうしゅ」
「まぁ待て。間抜けな事に霊体だからな。主であれば一撃で倒せるのだろう?ならば・・・メイクアンデッドくらい試しても良いのではないか?」
「えー・・・・。襲い掛かってきたら嫌ですよ。やめましょう?」
「パッとアンデッド化を試して必要素材を確認しすぐに魂を吸収すればよかろう?それに、かつての我とは違い今はキングベヒーモストゥルーヴァンパイア。無傷で殴り勝つことが出来なくもない。」
「当たったらダメな攻撃をしてくるんですよね?危ないです。やめましょうよ、ね?」
「主がやらぬというのであれば少々小手調べでも」
「もう、キリコさんは頑固です!」
「騒ぐとバレるやもしれぬぞ?」
「うー、キリコさんはいじわるです。わかりました。やります。いいですか?」
「良し、いつでも来い。」
「メイクアンデッド。」
【“魂を刈り取る亡者”を“魂を刈り取る亡者”として復活させますか?魂9999 魂が足りません。】
“魂を刈り取る亡者”が私に気付き、急接近してきます。
青くランタンを輝かせ、私たちの目をくらまそうとしています。
あ、青い
「ふむ、この程度か。肉体がない分、腕力が足りないな。」
キリコさんが“魂を刈り取る亡者”の腕を取り、鎌を止めてくれました。
「その様子だと仲間に出来ぬようだな。もったいないが仕方あるまい。吸収しておけ。」
「は、はい。魂を吸ち・・・・吸収します。」
【強靭な魂を吸収しました。強靭な魂を1獲得。】
「噛んだな。」
「うー、忘れてください。」
「ん、あれは・・・帰還の羽か・・・・・。しけているな。」
「え、帰還アイテムですか?!いいじゃないですか!あたりですよ?早く使って帰りましょう?」
「何を言っている?帰還アイテムを手に入れてからの探索が本番だろう?」
「えー、帰ってお風呂入りたいです。あったかいお布団で寝たいです。」
「はぁ、この階の宝箱くらいは回収していかぬか?おそらくここは裏ステージのようなものだ、いいものが見つかるやもしれぬ。拾った弁当箱ですら豪華だったであろう?」
「う、うーん、じゃぁ、その、ちょっとだけ・・・。あ、帰還アイテム手に入ったし、このお弁当は食べてもいいですよね?」
「無論だ。」
「えへへ、久しぶりにいいものが食べられますー。」
「5階で食べただろう。」
私は、とっても豪華な弁当箱にはいった比較的ふつうのお弁当をいただきました。
木の実ばっかりだったので、とっても美味しかったです。
空になった弁当箱はいちおうスケルトンさんに持ってもらいました。
宝石だけでも売れますからね。
やったーこれで帰れ・・・るわけないですよねー。
不思議のダンジョンに帰還アイテム忘れて入った時ほどいいものが手に入っていたりしません?




