お隣さんが近い家
◆◆◆お隣さんが近い家◆◆◆
「次にお願いいたしたいのはこちらの物件になります。」
紹介されたのは、普通の1階建てのお家でした。今回はお庭もないみたいです。
「隣の家が近く、正面の道も狭いので工事がやりづらいのです。ですが、少し歩けば大通りに出るので立地だけはいいのです。」
「お隣さんが近いけど、スケルトンさんがやっても大丈夫かなぁ?でも、やれるだけやってみます!」
「引き受けていただけるんですね。ありがとうございます。とはいえ、今日はもう遅くなってしまいました。この物件も急ぎませんので、ご自由に解体を進めてください。指名依頼は明日の朝早くにギルドに出しておきますので、お忘れなく。えっと、お名前をお聞きしておりませんでしたね。」
「あ、私、ヘンリエッタです。よろしくお願いします。」
「ヘンリエッタ様ですね。こちらこそ、ジョージ不動産屋を御贔屓にしていただきますようよろしくお願い申し上げます。」
私たちは挨拶もそこそこにお別れしました。
おばあちゃんに金貨を見せてあげたらびっくりするかな?
翌日の朝、私は指名依頼を受けにギルドへ行きました。
「サリアさんおはようございます!」
「おはよう、ヘンリエッタちゃん。そうそう、ヘンリエッタちゃんに指名依頼が来てるわよ。相当気に入られたみたいね。」
「えへへ、昨日はいっぱいお金をもらいました!あれ、そういえば、なんで完了札じゃなかったんでしょうか?」
ドブさらいをするといつも完了札をもらうのに不思議です。
いつもって言っても、まだ2回しかやっていませんでしたね。
「ああそれは、ギルドにお金を預けているかどうかの違いね。
依頼料を先に渡してもらっていれば安心して冒険者に回せるから、手数料を少しだけ安くしているのよ。でも、商売をやっている人たちは少しでも長く手元にお金を置いておきたい人が結構いるの。
昨日の依頼みたいに、受ける人がいるかよくわからないときは尚更ね。」
「そうなんですか、いろいろあるんですね。」
「そういう事。それで、ヘンリエッタちゃんはこの指名依頼を受けるのかな?」
「はい!がんばります!」
早速行きましょう!
私は昨日案内された所に来ていました。
1度道を間違えて泣きそうになったけどたどり着けたから大丈夫です。
「おいで!スケルトンさんたち!」
私はスケルトンさんたちを呼び出しました。
今回呼んだのは10体くらいです。
「今日はお隣さんが近いので、中を先に壊そうと思います。」
お家の中の柱と壁を壊して真ん中に向けてお家を倒すのです。
「まず、入り口を壊してください。そこから広げていきますよ。」
ガレキは置きっぱなしでも良いそうなのでそのままです。
私がガレキの上を歩いたら危ないかもしれないけど、スケルトンさんたちなら大丈夫です。
私はスケルトンさんたちに指示を出して、お家をくり抜いていきました。
「なかなか倒れません。結構丈夫なんですね。」
一部崩壊したところはありましたが、外から見ればだいたいはそのままの形を保っています。
こうなったら、いっぱいスケルトンさんを呼んで外側から押し倒しましょう!
「スケルトンさん大集合です!」
20、30、40…
「あれ、これって何体出せるんだろう?でも、もう多すぎる気がするし、今度広い所に行ったら試してみようかな。」
50体くらいになったのでやめました。道がスケルトンさんだらけです。
「あなたはあっちの奥。あなたたちはさっきのスケルトンさんに並んでついていって。あなたは向こうの奥で…。」
たくさん呼んだので大忙しです。
「あ、先に残ってる天井壊した方がいいかな?」
真ん中の方は勝手に落ちちゃったけど、他は残っています。
「どうやって登ろう…あ、最初から屋根の上に呼べばいいんだ。」
私はさっそく屋根の上にスケルトンさんを呼びました。成功です!
「このままたくさん呼んだら、重さで壊れるよね?あ、上にいるスケルトンさんは屋根を攻撃してください。」
スケルトンさんたちは武器を持っているので意外と重いのです。
加えて攻撃すれば、天井を壊せるはずです。
私の作戦はうまくいって、天井部分をだいたい壊すことが出来ました。
壊れた天井と一緒にスケルトンさんも落ちてしまいましたが、スケルトンさんはこのくらいへっちゃらです。
バラバラにはなってしまいましたけど…。
「みなさん、外側から壁を押し倒してください!」
これで完了です!なかなかうまくいきましたね。
「みなさん、お疲れ様です。また次もお願いしますね。」
わたしは結果を不動産屋さんに報告して、また小金貨2枚もらえました。
たまったお金、何に使いましょう?
日本では家屋解体にだいたい100万円くらいかかるみたいです。
魔法とかが使えるなら作業員の人数を減らせられるのですが、作業員が優秀過ぎると給料が高くなるので半値の50万くらいが妥当…?