廃屋解体
◆◆◆廃屋解体◆◆◆
スケルトンさんたちが持ってきた武器でお家を攻撃しています。凄い音です。
「2階建てだけど、あのまま倒れてもお隣さんまで届かないから大丈夫…だよね?」
でも、こっちに倒れてきたら怖いかも。先にお家の周りのお掃除をやった方がいいのかな?
「やっぱりいいかな。畑で鍛えた草むしりの腕を見せてあげます!」
といっても、これだけ背が高くなったら簡単に引っこ抜けます。
「あれ、引っこ抜いたこれ、どうしよう…。ガレキも…。一緒に置いておいて、おじさまに後で聞こうかな。」
私はお庭の真ん中あたりにまとめて置いておく事にしました。
元々土の手入れが行き届いていたようで、根っこまで簡単に抜けるみたいです。
代わりにたくさん生えてしまうんだけどね。
私は夢中になって草むしりをしました。
「うーん、結構溜まってしまいました。」
積み上げた草は私の背よりも高くなり、燃やせば結構な火ができそうです。
「このままでもいいかもしれないけど、ちょうどいいし、点火棒とお芋さん買ってきますね。」
聞こえているかわからないけど、スケルトンさんたちにそう言い残して私は雑貨屋さんを探しに行きました。
点火棒っていうのは、その名の通り火をつけるための魔法の棒です。
銅貨3枚もするし5回くらいしか使えないけど、ちょっと火が付きにくそうな成木にも火をつけることができる優れものなんです。そのままで時間がたつと消えてしまうので、他にも燃やすものを用意しないといけませんけどね。
「ありました。雑貨屋さんです。」
雑貨屋さんはたくさんあります。どれくらいかと言えば、適当に歩いていたら見つかるくらいです。
食料品も置いているからなかなか潰れないってお母さんが言ってました。
道具袋の看板が目印なので、私でも迷いません!
このお店は、緑の屋根の素敵なお家ですね。
「いらっしゃいませー。」
店員のお…姉さんがあいさつしてくれました。
お野菜は…あっちですね。
私は入り口から右手にあるお野菜コーナーへと進みます。
店員さんの手の届かない所にこんなに商品を置いているって事は、あの店員さんは結構腕利きの人なのでしょうか?
「フッ、アタシが腕利きだったのは10年は昔の話さ。でもま、嬢ちゃんにあっさりやられたりしないよ。」
「え、あ、その・・。」
気にしていたのがばれてしまいました。
腕利きの人じゃないと、商品を盗まれた時に犯人を取り押さえられずに逃がしてしまったりするのです。
逃がしてしまうとだいたいはどうしようもないのです。
「ほらほら、飯かなんか買いに来たんだろ?はやくしないと遅くなっちまうよ。」
「あ、そうでした!」
お芋さんは…1個鉄貨7枚ですか?夏だからちょっと高いです…。
あ、とうもろこしがあります。銅貨1枚………。ちょっと、でも…とうもろこしも買います!
「これと、点火棒ください。」
「点火棒かい?銅貨3枚だよ。芋ととうもろこしと合わせて銅貨4枚と鉄貨7枚だ。」
「えっと、これでお願いします。」
私は報酬でもらった銅貨5枚を出しました。
「はいよ、釣りの鉄貨3枚と点火棒だ。」
店員さんがおつりと点火棒を渡してくれました。
「ありがとうございます。」
「また来な。常連になってくれたら、昔話でもしてやるよ。」
「その時はお願いします!」
さっそく焼いて食べましょう!
私はワクワクで廃屋の所に戻りました。
お家が倒壊していました。スケルトンさんたちが減っています。
元気なスケルトンさんたちはまだお家の形が残った部分を攻撃していました。
「焼きながら考えましょう。うん。」
私は無事だった草の山に点火棒で火をつけ、お芋さんととうもろこしをねじ込みました。
先にお芋さんととうもろこしを入れてしまうと点火棒で火が付いてしまうのです。
「えっと、まずは…巻き込まれた人はいませんよね?」
見晴らしがよくなった土地を回って確認しましたが、倒れているのはスケルトンさんたちだけのようです。
「良かった。でも、お庭が狭かったら危なかったよね…。」
次からはちゃんと気をつけます!
私はそう心に誓いました。
倒れているスケルトンさんたちはどうしよう。
スキルで治せるけど、範囲を広くするとお隣さんに当たっちゃうし、ちょうどいい広さにできるほど使い慣れてもいません。
「あれ、もしかして、治すよりも新しくスケルトンさんたちを呼んだ方が早くありませんか…?」
まだ頑張ってくれているスケルトンさんは8体です。倒れているのが4体で、消えちゃったのが…10体くらい?
ネクロマンサーって、アンデッドさんを作れるくらいだし、Lvを上げたらアンデッドさんたちを治すスキルとか覚えるよね?
「も、もしかして、私のスキル……意味ない?」
そ、そうだ、範囲攻撃使えるから弱くないもん!!
「あ、とうもろこし焼けてる…アフっ。おいしいです~。」
私はとうもろこしとお芋さんをおいしくいただいた後、スケルトンさんたちには帰ってもらい、おじさまに完了報告をしに行きました。
「もう終わられたのですか?お早い対応誠にありがとうございます。確認でき次第、完了札をお渡し致しますので、しばらくお待ちください。」
「スケルトンさんたちはすっごく力持ちなのです。」
「なるほど、ネクロマンサーの方でしたか。それでしたら、家屋解体はお手の物にございますね。スケルトンはどれくらい使われたのですか?」
「えっと、22体・・・くらいだった気がします。」
「ほう、なかなか才能がおありのようですね。っと、確認が取れました。報酬の小金貨2枚になります。」
「小金貨!そ、そんなにもらってもいいのですか?」
「ええ、構いません。そもそも家屋解体には時間と労力、それに人数がかかるので、業者に頼めば同じ物件でも小金貨4枚は固いですよ。」
「4枚?!壊すだけなのに高いんですね…。」
「よろしければ、今後も家屋解体を請け負ってはいただけませんか?」
「え、いいんですか!私、ネクロマンサーですよ?!」
土地に悪霊が~って言われると思っていました。嬉しいです。
「もともと、家を建てる前に除霊を行うのが通例ですので、その様なご心配は不要ですよ。とは言いましても、今回の依頼を受けるものがいなかったので、他は業者に頼んだ後であまりいい物件が残っていないのですが、一応確認していかれますか?」
「はい!お願いします!」
20体も出せば何体かハンマーや斧や両手剣という名の鉄の塊持ちが出るので家の様にスケルトンでも壊せて動かない的相手には大活躍してくれます。片手剣持ちは柱伐採ですかね?あまり役に立たない気がします。素手?槍?ナイフ?弓?チェンジした方がいいのではないでしょうか。
ちなみに、弓持ちのスケルトンはいますが彼らは弓の使い方を覚えていません…。