表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

75/97

雪原の洞窟

◆◆◆雪原の洞窟◆◆◆

ざくざく、ざくざく。


オーク村を後にした私たちはあてもなく雪原を歩いています。


「この積もった雪の下に階段があったらどうしましょう?」


「ありえないとは言い切れぬ。だが、この広いフロアの雪を掘ってまで次へ進むより、他のダンジョンに挑戦した方が早いだろうな。」


今いる階はこれまでと違ってとても広くて、高低差もあるのであの山?丘?を超えた先にもきっと雪原が広がっているのかな?って気がします。


「やっぱりそうですよね?それじゃぁ、ここまでにしていったん帰りませんか?」


「そうしてもいいかもしれぬ。だが、もう時間的に良くないだろう。今引き返すとカビがうろつくエリアで睡眠をとらなければならなくなってしまう。」


「そ、れは、ちょっといやです。」


カビはいつの間にか生えているんです。ちょっと風通しが悪かっただけで私が大事にしていたしいたけにカビが生えてしまったことがありました。


「このエリアは寒いかも知れぬがそれは暖を取れば良いし、魔物も少なそうだ。手ごろな場所を見つけて野営の準備をした方が良いだろう。」


「手ごろな場所、ですか?洞窟で一晩明かすのも冒険者っぽくていいですね!」


洞窟の入り口の方で焚き火をたいて魔物除けにするんですよね?


「まぁ、睡眠が必要なのは主だけなのだがな。」


「キリコさんは寝ないんですか?」


「もちろん寝る。我々アンデッドにとって睡眠は必要ではないが娯楽の一つだ。しかしそれは危険を冒した状態では幾分落ちよう。惰眠をむさぼるのはもっと余裕のある時とさせてもらおうか。」


「眠くなったら言ってくださいね?私だって、夜の見張り番くらいできるんです!」


「ん?・・・ああ、その時は頼むとしよう。さて、洞窟ならばいい考えがある。あそこの、すこし崖の切り立ったところまでは進もうか。」


「いい考え、ですか?」


魔法か何かで洞窟を探したりするのでしょうか?


切り立った崖に近づいてみると、遠くから見ていてもわかっていたように洞窟らしきところはありません。


入り口部分が雪に埋もれているだけという事もなさそうです。


ちゃんと調べてみないことには解りませんけれど。


「リトルブラックホール。」


なんだかよくわからない黒い球体が現れ、触れた土を吸い込んでいきました。


その球体は崖の中へゆっくりと進んでいきます。


「なかなかきれいに掘れたぞ。ただ、洞窟というにはまだ小さすぎるな。もう2、3回やっておくか。」


削り取られた土の断面はツルツルになっていて、なんだか手触りが良さそうです。


「厳密には本来のブラックホールとは全くの別物なのだが、我が使うとこうなってしまうのだ。かつては寝床を均すのによく使っていた。砂利がむき出しなのと奇麗に平らになっているのとでは安眠具合が段違いだからな。」


「そういえば、創造神様が言うには、キリコさんは闇魔法が得意・・・なんですよね?」


「我らキングベヒーモスは闇属性魔法を得意としている。

 のだが、我はあまり得意な方ではない。

 もちろん有象無象のそれに負ける気はないが、

 キングベヒーモスという種族においては・・まぁ、情けないが下の方から数えた方が早いだろう。

 今は幾分良くなった気がするがな。

 ともかく、闇属性魔法はそうなのだが、そのかわり我は火属性と土属性が得意でな。

 我らキングベヒーモスの中では10指には入ると自負している。

 とはいえ、我以外に火属性や土属性を使っているキングベヒーモスなど見た事は無いのだが。

 そもそも我以外のキングベヒーモスを見かけたのも4体のみだ。」


「4体もいたんですか?!いったいどこに・・・?」


キングベヒーモス5体なんて現れたら大変です!


あ、洞窟はもうできたみたいです。


「当然、ダンジョンだ。どこかと言われれば、自分の足でここまで移動してきたわけでもなく、ダンジョンの外へ出たのも一度きり。故に答えようもない。我がそうであったように、ひとたびダンジョンの外へとでてしまえば瞬く間に討伐されてしまうのであろう。」


「他の4体のキングベヒーモスさんがすごかっただけで、キリコさんの闇魔法が弱いと決まったわけではないと思います。」


「気遣いは嬉しいが、それは無い。

同じ魔法を使ってみても絶望的なほどに差が開いていた。

しかも、あいつらが特別優れていたようには見えぬし、逆に我の闇属性魔法が弱かったから間引かれてしまったのだろう。

本来、勝手に外へ出ようとしても戻されて終わりなのだからな。」


「え?でも、キリコさんみたいに強いキングベヒーモスを間引くなんてことがあるんですか?」


「ある、当然だ。

我らは巨体故によく食う。

あまりに食いすぎて食事の供給を渋られるほどだ。

食事の供給を渋るくらいだから経営もあまりうまくいってなかったのかもしれぬ。

いかに強くとも、いや、強いが故に5体が4体に減っても良いと、そう思われてしまったのだろう。」


「でも・・・。」


「良い良い。我とて外に出たくて出たのだ。好きなだけ食べ好きなだけ自由に過ごせる、そんな外の世界にあこがれていた。愚かで浅はかで短絡的な好奇心に過ぎぬようなくだらん意思であったとしても、我の意志で外に出たことに間違いはない。一度死んだとはいえ、今は好きにやっている。むしろ運がいいというべきだ。」


「そう、ですか?えへへ、じゃぁ、これからもいっぱい冒険しましょうね。」


「まだ、最初の冒険すら終わっていないのだがな。」


「えへー。そうでした。」


「ほら、長話になったせいで寝床どころか机に椅子、ついたてまで出来てしまった。早く休むと良い。」


洞窟が完成したのはわかっていたのですが、いつの間にか内装も整えていたみたいです。


「はい、ありがとうございます。」


洞窟の中には土?で出来たベッドと家具が並んでいて、いつの間に集めていたのかベッドにはヤギの皮が敷かれています。


「このヤギの皮ってどうやって運んでいたんですか?」


「世の中には聞かない方が良いこともある。」


「そんな事言われるとよけい気になります。」


結局キリコさんは教えてくれませんでした。





転スラ と ゴブリンスレイヤー

のおかげでメジャー魔物が出しにくい・・・!!

毎回気が付いたら、結局これ影響受けてないか?って感じのネタをボツにするところから始まります・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ